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【奈良】鹿とのチキンレースに敗れ、シュークリームの美味しさに涙した~私の取材旅行記~

食品に関する取材のお仕事をしていた頃に書き留めておいた裏側のメモを手直ししてnoteします。三回目の今回は1999年11月の奈良への旅から(お店の名前や料理、記事の内容は当時のものです)。


奈良への旅は二度目。前回は観光目的でお寺巡りに興じ、奈良の数えきれないほどの寺院を訪れた。しかし今回は取材ということで、観光予定は入れず、ライター女史と伊丹経由で奈良への旅に出発した。

空港の変わり様には・いつもドギマギする

数年ぶりに伊丹空港に到着。ターミナルがリニューアルされ、案内板の位置も変わっていて迷子状態。バス停も以前とは違う場所にあるのかと探し回り、ようやく奈良行きのバスに乗り込んで二時間ほどで奈良へ到着。

ホテルにチェックインする。シングルを予約していたが「大変申し訳ないのですが」とフロントの方が頭を下げながら「ツイン2部屋でよろしいでしょうか」と提供があり取材前からなにやら得した気分。それぞれ広々とした部屋で、翌日の取材を前に贅沢な気分とリラックスタイムに浸れる時間ができそう。

鹿はあごを上げて鳴くのだ

「前乗り」ということで、取材前の空いた時間に奈良公園に足を運ぶ。

興福寺の五重の塔や東大寺の大仏殿、金剛力士像などを見学。万葉の時代に思いを巡らせながら歩く(と書きたいところですが、小学生の就学旅行の群れや観光客にまじりながら、その団体さんのガイドさんの話を聞きながらの時間をすごす)。
夕暮れの奈良公園では鹿が『きゅぃん』だか『きゃん』だか言いながら、私らに鹿せんべいをねだって来た。「鹿せんべいなんか持ってないから」と言いながら歩きつづける。しかし、その言葉は鹿に伝わらず、その中の一頭は真正面からじっとこちらを見据えて、ジリッジリッと迫ってくる。こちらも『鹿ごときに負けるものか』と…しかし、最初から見えていた結果だが、少々腰の引いたこちらが鹿に道を譲り、すれ違う。振り向くと勝ち誇ったように、その鹿が顎をあげながら『ざまぁねえな』という目でこちらを見て『きゅいん』と鳴いた。

あのシュークリームはもう一度食べたい味

夕食の店を求めながらホテルへの道すがらに小さな「シュークリーム・スタンド」を見つけて立ち寄ることに。シュークリームは美味しそうに並んでいて、おなかもすいていたこともあって、ライター女史と共に立ち止まる。「当たりはずれが心配だが」という不安を抱きつつも、ミニタイプ8個入り200円を買った。「お先にどうぞ」とライター女史に包みの口をむける。私もひとついただいた。その瞬間、クリスプなシュー生地とアーモンドの風味、そしてふんわり甘いカスタードの絶妙なバランスに感激。ライターさんを見るとニコニコ笑顔。「この人、こんな笑顔だったっけ」と仕事以外の表情を始めてみた。
その日はホテル近所の居酒屋での夕食を済ませたのだが、「奈良の夜はシュークリーム」が心に残った。

スムーズに移動しすぎて土産を買えなかった

取材を終えて奈良を後にする際、土産を購入するつもりだったが、取材先の福岡営業所長が伊丹まで電車で同行・案内してくださったおかげで、スムーズに乗り換えなどできて、のんびりと土産物を見る余裕がなくなった。伊丹空港に到着すると、奈良の土産がほとんど見当たらない。シュークリームを買っておけばよかったと後悔しつつ、次の奈良訪問を夢見ながら搭乗口へと向かった。

取材日:
1999年11月25日・26日

≪余話≫
掲載のための編集時にカットした話。ホテルでツインを提案される前に、実はダブルひと部屋にされていました。チェックイン時に「ご同伴お方と同じ部屋がよろしいかと思いまして」と言われて、ちょっと怒ったことをメモに書いてありました。あたかも「不倫旅行」のように思われたのでしょうか。そんなお客さんが多いホテルには思えなかったのですがね。もちろん当時のライターさんには内緒で「別部屋です!」ってフロントさんに求めていました。本文にいれると文章の流れが別のモノになりそうでしたので編集しています。

◆最後までお読みくださりありがとうございました。20年以上前・ミレニアムのお祭り騒ぎの頃に書き留めておいた取材旅行記番外編のひとつです。もしよかったら「スキ(♡) 」を押していただけると励みになります。

※見出しイラストは
カメラマンのイラスト by Loose Drawing
https://loosedrawing.com/illust/1034/

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