≪短編≫『睡魔』との「負けたい」闘い
「どしたの?」妻が怪訝そうに、それでいて辿々しい声で尋ねる。
時計は午前1時10分。
「うん、ちょっと寝付けない。寝る前のヨーグルト 飲むの忘れた」
できるだけ小さな声で答える。
「冷蔵庫の一番上の」起きようとしながら発する妻の言葉を遮り
「上の段の右だよね。わかってる。飲んで寝るよ」
そう答える。
「ん、飲んだらすすいで空は捨ててね」
起きかけた彼女は再びベットに横になり布団をかけ直して、こちらに背を向ける。
「あぁ」
短く返す。
眠れないんだと言っても、それは意味のない言