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優秀なマーケター=外資マーケではもはや、ない理由。現代の優秀マーケターはXXにいる

小林幸平です。
自己紹介すると、1990年生まれ、京都大学・大学院医学研究科卒業後、フランス化粧品会社ロレアルに新卒で入社。4年間日本でプロダクトマーケティング、デジタル、イーコマースに携わり、その後アジア統括本部である上海に駐在し、Regional Marketing Manager。2021年にロレアルを退職し、ノバセルに参画して現在執行役員。個人では自身の化粧品ブランドを経営しています。

おかげ様で私もこういったNOTEでの発信を通して、いろんな会社の経営者やマーケターから質問頂くことが増えました。
その中でも一番多いのが、「優秀なマーケターを採用したいのだけど、どこから引き抜けばいいの?」ということです。
これは結構おもしろいトピックになりそうだなと直感的に思ったので、今日はマーケティングのキャリアについて考えていきます。

まずこの話には続きがあり、多くの場合こういう会話をします。

「優秀なマーケターを採用したいのだけど、どこから引き抜けばいいの?」
私:いまはどのあたりに目を付けてるんですか?
「やっぱ外資メーカー系ですね。P&G、ユニリーバ、ロレアル、コカ・コーラとかのマーケターを採用したくてアプローチしてますが、全然採用できず」
私:なんで外資マーケターがいいと思うのですか?
「いやそれはやっぱ・・・ すごい人多いじゃないすか?」
「あ、てか小林さんもそこ出身じゃないすか!誰かいい人紹介してくださいよ!」
私:うーむむむmmmm

感覚ですが、60-70%はこういう着地になることが多いです。
まずこの手の相談を受けた時に必ず伝えているのは、新卒で外資マーケに入るのは日本で40-50人/年(主要外資消費財メーカーでカウント)なので、中途採用で狙うとすると、かなりレア度が高く、通常の採用ではほぼ不可能だということです。
どうしても、ということであればLinkedInで狙い撃ちするか、知り合いづてで紹介してもらうしか巡り合うのは難しいでしょう。

ただ一方でそれ以上にいつも疑問なのが、
『なぜ優秀なマーケター=外資マーケターだと思っているんだろう?』ということです。


それに対する私の仮説ですが、日本のマーケティングキャリアの歴史を作ったのは外資マーケターだから、というシンプルな理由だと思います。
そもそもマーケティングは海外がかつてから強いキャリアで、そのマーケティングという職種が重宝される=出世コースであると定義されるのが外資系消費財企業です。
それらの会社がその文化と高いマーケティングノウハウを持って日本に参入したところから日本におけるマーケティングキャリア論が創られたとすると、日本最古のマーケキャリアの発祥は外資メーカーであり、一番歴史があるので勿論一番優秀だと捉えられやすいはずです。
一番歴史のある名門で、歴史あるフレームワークを学んで、それなりの高給で仕事するんだからすごいに違いないと思われるんじゃないかなと思います。

そんな私も8年前新卒の時は外資マーケティングキャリアに憧れてそのキャリアを選び、しっかりと出世コースに乗っかって海外まで行っていたので、正直周りから上記のような目で見られ続けてきましたし、それで得をしていることはたくさんあるので、結構身をもってこの世の中の時流を感じています。
なのでぶっちゃけこう捉えられるのは、僕にとっておいしいです。笑

でも、時代は流れ、2023年、いまでも本当にそうなのかというある意味自己否定的な疑問が頭に浮かびます。
30-40年前はもしかするとマーケティングを学ぼうとすると外資メーカーにいかないといけなかったかもしれないし、まずは守破離で世界の進んだマーケティングを学ぶというのは理にかなっていたと思います。
でもいまはどうでしょうか。
マクロでこの数十年のトレンドを捉えると、結構大きい潮目が変わってきたなと感じています。

大きな変化1:HOWがとにかく細分化された
私がキャリアを歩み始めた2015年でもまだ、「ほぼ多くの投資がTVCM」でしたが、それから時代は流れ、WEBマーケティング投資の平準化・SNSマーケティングの市場=投資する企業は増え続けています。
インスタを見れば半分くらいはBTOBセミナーの告知が流れてきていて、セミナーやカンファレンスへの投資はもはや当たり前になってきました。
これまではHOWがそんなに数がなかったので、何より戦略ファーストで良かったと思いますが、ここまでHOWが増えそしてまた拡張することが確定している中において、HOWの重要性が相対的に増しています。

大きな変化2:マーケティングとセールスの垣根が壊れ始めている
ここ最近ではMarketing & Salesという部門の名前を聞くことが増えました。
コンサルが資料作りだけでなく実働の部分まで担うようになったトレンドと似ていて、机の上で戦略を語るマーケターではなく、じゃあそれをお客様に販売するところまで一貫してみることが増えてきたということです。
上流の戦略だけではなく、下流まで見る事でPDCAが回り、一つのエコシステムを創れることがマーケターの仕事になってきました。

つまり何がいいたいかというと、
マーケティング=売れる仕組みを創ること

と定義したときに、その「売れる仕組み」を創ることが昔よりも難易度が構造上上がっているということです。
外資マーケター=戦略設計に強い人、の価値は変わらず重要ですが、この複雑化したHOWへの深い理解と体系化及びセールスの知識や経験なくしてこれからのマーケティング戦略は創れない時代になったんじゃないかということを最近強く思います。

では、現代の優秀なマーケターはどこにいるのか?
もっといえば今の新卒はどの会社に入ればいいのか!

私の答えは下記3つの条件を満たす会社です。
①経営者がマーケティングという職種を本質的に重要視している
→それだけのプレッシャーと経験を積むことができる
②マーケティングのJob Rotationができること
→様々なHOWに対応できる柔軟性
③Salesが経験出来ること
理想論の戦略ではなく、売れるマーケティング戦略を創ることができる

逆に冒頭の「優秀なマーケターを中途でどの会社から採用すればいいの!?」という問いには、この①-③を満たしている会社から採用すればいいと思います。

いやじゃあそれはどの会社やねんというのはぼくもここまで言っておいてまだあまり見えていないので内緒にしておきますw

では!

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