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成長は一生の旅|子ども一人ひとりのペースを大切に

私の支援学校の教員をしています。主に初任者や初任期の先生たちの指導支援をしています。今年度より小学部、中学部、高等部全ての学部の授業に入ることになりました。昨日、PTAの座談会に参加しました。会長さんから「こはる先生、こはる先生の考えを思う存分、保護者に話してください!」という熱いリクエストをいただいたからです。ありがたい・・・。参加してくださった保護者さんの貴重な時間を頂戴し、私のメッセージを共有する機会を得ました。私が伝えたのは、子どもたちへの深い愛と、彼らを支える保護者さまへの感謝です。しかし、今回はもう一つ、お伝えさせていただきました。


実践からの学び

私は22年間、支援学校で勤務し、発達観に基づいた教育活動を展開してきました。小学部段階においてはとりわけ、0歳から7歳までの発達課題を、子どもたちのそれぞれの力に応じた形で経験することに教育活動の焦点を当ててきました。

ここで、子どもたちの発達段階における具体的な目安をいくつか挙げたいと思います。

・0歳
この時期は、信頼と安全感の基礎を築く大切な時。親との強い絆が形成されます。
・1歳
「〇〇だ!」と自我が芽生え、好奇心が高まり、物事に対する興味や好みが現れます。
・1歳半
「〇〇ではない、△△だ!」という表現を通じて、自分の意見や感情を主張し始めます。
・2-3歳
大小、多少、勝ち負けなどの「対比」を理解し始め、自分の立場を確立しようとします。
・4歳
「〇〇だけれども、△△する」と自分で判断を下し、リスクを理解しつつも新しいことに挑戦します。
・5-6歳
中間を見つける力が芽生え、「だんだん大きくなっていく」などのプロセスを理解し始めます。
・7歳
「みんな違うけど、仲間」という感覚を持ち、社会性と共感性が芽生えます。

これらの各段階は、子どもたちの成長と発達における重要なマイルストーンです。しかし、これらはあくまで目安であり、個々の子どもたちのペースや特性によって異なる場合があります。

一人一人の道

人は同じ道筋をたどるものの、発達のスピードは違います。わたしたち教員はつい、子どもが特定の年齢に達すると、ある発達段階が「完了」したと捉えがちですが、最近、この認識には補完する何かが必要なんじゃないか?と思うようになってきたました。

課題は人生を通じて続く

もう一度、先ほどの0歳から7歳までの発達の目安をみてください。私は思うのです。「あれ、アラフィフの私にも当てはまる!」と。
できるかどうかわからず、不安になったり(2、3歳)、これが正解だ!と思い込みすぎていたり・・・(1歳半)。

人生では、0歳から7歳までに遭遇する発達課題が基礎を築きますが、これらの課題が私たちの成長の全てではありません。これらの初期の課題は人生の様々な時点で、違う形で繰り返し現れるのではないかと私は考えるのです。

生涯を通じて、課題を繰り返し経験をするけれども、それぞれの段階で、新しい視点や、より深い理解を得るチャンスが与えられる。

認知的機能が標準的な指標と異なるレベルにあったとしても、それぞれ自分のペースで、そして自分の方法で、「普遍の課題」を経験し、信頼の形成や自立などの重要なスキルを身につけ、成長している、そんな子どもたちの姿や力を支援学校で何度も見てきました。

子どもたちの経験の重要性

人生は決して平坦ではなく、矛盾や困難に満ちています。だからこそ、子どもたちには多くの経験をしてほしいのです。つまずいたり、くじけたりするかもしれませんが、それによって彼らは成長し、対処するための手持ちの「カード」を増やすことができます。

大人の役割

私たち大人の役割は、子どもたちが人生の旅を安全に、自信を持って続けられるようサポートすることです。私が大事にしてきたのはこどもたちの「涙」や「怒り」を「ひとりぼっちにしない」こと。子どもたちのSOSの出し方はそれぞれ。そんな時、正面で向き合うのではないく、子どもの横に立って一緒にその景色を眺め、思いの背景にあるものを探したい。

ひとりではない

保護者の方々はこれまできっと幾度となく、「孤独」を感じることがあったのではないでしょうか。そして、「我が子の人生を豊かに育めますように」と願い、悩み、眠れない夜が幾晩あったことでしょうか。

お母さん、お父さん、保護者の皆さんは、これまでたくさんがんばってきた。
今もたくさん、がんばっている。

子どもたちと同じように、保護者の方も、ひとりぼっちにしたくない。教師をはじめ、関係機関とスクラムを組み、子どもたちの成長を支えていけたら・・・、チームのメンバーに入れてもらいたいな、そんな思いを私は抱いています。


さいごに

子育て本や発達の課題は「目安に過ぎない」のではないでしょうか。確かに定型発達と言われる多くのお子さんは、この課題をこの順で乗り越えていく。ただそれも多分、私も含めてふわっと乗り越えているから、その後の人生で幾度となく現れる。

大切なのは、それぞれの子どもが(そして私たち大人も)個別の旅をしているという事実を認識することです。

私の役目は、その旅において保護者の皆さんと子どもたちをサポートすること、そして一人でも多くこの思いに共感してくれる教員を育てること、そんなことをこの座談会で話をする機会をいただいたおかげで、振り返ることができました。

そんな仕事を私はしています😊
最後まで読んでくださりありがとうございました🎵

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