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言葉のあや なんでわざわざそれを言う?

今日は芥川賞直木賞のニコ生中継を見ていました。

豊崎さんと杉江さんが加わってくれてよかったです。
私は井上さんが苦手なのですが、長年この番組を担当してるってことは人気あるんですかね。

豊崎さん、井上さんの見当違いな相槌を受け流さずに「それは違う」って毎回否定してました笑
あれくらいの強靭さを持ちたいです😅

それはともかく、直木賞の一人目の垣根涼介さんの会見を見ててあれれと思いました。

記者からほとんど質問が出なかったのです。

これは非常に珍しく、半年に一度のこの番組を以前から見ていて、私は初めて見ました。

記者からはいかにも作品を読んでなさそうな質問が毎回山のように出ます。

受賞者の故郷の新聞社の定番は

「故郷の○○が作品に与えた影響は?」
「故郷の応援している皆さんに何かメッセージを」

地方新聞なんてその程度の興味しかないのでしょう。

大手の新聞社も

「受賞はどこで知りましたか?」
「最初に誰に知らせましたか?」
「いまのお気持ちは?」
「受賞を伝えたい人はいますか?」→おそらく家族と答えてほしい質問。

こういったテンプレみたいな質問が毎回飛び交うのに、垣根さんの会見ではそれもなし。

私には一つ心当たりがあります。

垣根さんが会見の冒頭で、

「今日は暑い中、皆さんわざわざ来てくださってありがとうございました」(文意)

と笑いながら言ったのです。

この発言に私は違和感を持ちました。

「わざわざ」の部分です。

試しに辞書で調べると…

「わざわざ」

1  他のことのついでではなく、特にそのためだけに行うさま。特にそのために。「―出掛けなくても電話で済むことだ」

2 しなくてもよいことをことさらするさま。故意に。「御親切にも―忠告に来る人がいる」

デジタル大辞泉

となっています。

「今日は暑い中、皆さん来てくださってありがとうございました」

「今日は暑い中、皆さんわざわざ来てくださってありがとうございました」

は、かなり印象が違うように思います。

なんでわざわざそう言ってしまったのかと思うくらい、余計な4文字に感じました。

記者の人はどんな天候だろうが、取材に来るのが仕事です。

にもかかわらず、2の意味である「ほんとはしなくていいのに」的なニュアンスを画面の向こう側の私も感じました。

これでは嫌味に取られても仕方ありません。

もちろんそういう意図ではなかったと思いますが、調べてみたら若い世代ほど「わざわざ」を2の意味で捉える人が増えているようなのです。

なんだかこの一言で会場の記者を敵に回してしまったような印象すらありました。

垣根さんの小説はかなりの長編らしいので最後まで読みきっていた記者がそもそも少なかったのかもしれませんが、次の永井さんの会見では作品と無関係な「易しい」質問もわりとあったので、垣根さんの会見ではあえて質問しないという態度が記者が選んだように感じました。

あくまで勝手な推論ですが、日本語のちょっとしたニュアンスで相手に悪い印象を与えることは少なからずありそうです。

「今日は暑い中、皆さん来てくださってありがとうございました」

で済むのだから、この方がすっきりしてますよね。

言葉って難しいです。

今日びっくりしたのは、いつも記者を指名する司会のおじさん(日本文学振興会=文藝春秋の方?)が垣根さんに質問というか、作品に関する話を振ったことです。

質問者がおらず会見があまりにも早く終わりそうだったので、助け舟を出したのでしょう。
このおじさんも候補作読んでるんだ!と思いましたね😅

このナイスパスのおかげで、その後質問する記者が2、3人出て、それなりの長さの会見になりました。

この司会のおじさん、GJですよ。W杯レベルの絶妙なパスでした😆

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