中野

【連載】教える技術講座#02:必要な時間をかければ誰でも習得できる。

2017年1月20日

(金曜日は現在開講中のオープンカレッジ講座「教える技術」について連載しています)

教える技術の最終的な目標は、すべての人が自分に必要な技能を習得できるようにするにはどうしたらいいのかを明らかにすることです。それは可能なことなのです。

でも、学校で習うことは100%できるようになるわけではない」と反論するかもしれません。もしそうならテストは全員が満点を取れるはずです。しかし現実には満点を取る人はごくわずかで、それ以外の大部分は満点ではありません。落ちこぼれる人もいます。

それが学校システムの致命的な欠点なのですね。クラス全体が決められたスピードで学習を進めていく。そのスピードがちょうど合っている人は全体の3割か4割くらいです。それ以外の人は、スピードが速すぎてついていけないか、あるいは逆にスピードが遅すぎて時間を持て余しているのです。

もし自分が学ぶのに必要な時間が与えられているならば、全員が100%習得できるはずです。これを「キャロルの時間モデル」と呼びます。

キャロルの時間モデルとは、「あることを習得するのに必要な時間をかければ誰でもそれを習得できる」ということです。ある人が、あることを習得するのに10時間かかるとすれば、10時間で完全習得できるということです。

これは当たり前のことのように思われるかもしれません。しかし、同じことを別の人が習得するのに3倍の30時間必要であるとすれば、そのときは、30時間かけなければ完全習得できないということです。

人間には個人差があるために、同じことを習得するのでも10時間で終わる人もいれば、30時間かかる人もいます。これは事実です。この事実に学校システムはうまく合致していないということなのです。

もしキャロルの時間モデルを社会全体が受け入れるとすればどうでしょうか。まず学校は無学年制になるでしょう。何歳であろうが、その人に必要な技能があれば、それをその人が必要な時間をかけて習得することになります。そうすると必然的に学年という考え方を捨てなければならないのです。

そういう教育システムを実現していきたいのです。

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