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法制審議会家族法制部会第33回会議議事録読む9~石綿幹事・久保野幹事・赤石委員・北村幹事・原田委員・落合委員・武田委員

 世論は賛成に動いてる

養育権は最高裁へ!

国会も動き出す

議事録を読んでいくよ

○石綿幹事


 幹事の石綿です。第5の養子に関する規律について2点、述べさせていただきます。
 1点目は第5の2の方でして、現状、親権者間に対立がある場合、裁判所が調整をするという規律になっておりますが、実質はあまり変わらないと思うのですが、裁判所が、養子縁組をすることが子の利益にかなうと判断した場合には養子縁組を認めるといったような形の規律を置くことができないかという意見でございます。少し理由を述べさせていただきます。
 現状、代諾については民法第797条第2項で、法定代理人の承諾に加えて、養子となる者に監護者がいる場合は、その同意が必要であり、親権を停止されている父母がある場合も、その人の同意が必要だという規律になっているかと思います。そのため、監護者や親権停止された父母が同意を拒否した場合は代諾養子縁組ができないのが原則であると解されているかと思います。他方、新たなルールとして親権者間で争いがあって、争いがあるということは一方が拒否をしている場合に、養子縁組ができるということになると、民法第797条第2項と、この新しくできた規律の関係をどう整理するのかという問題が生じてくるのだと思います。
 考え方として、民法第797条第2項も変えるということもあるのかもしれませんが、民法第797条第2項が導入された経緯を考えると、それを変えるということはあり得ないのだと私自身は理解をしております。そうしますと、民法第797条第2項とできるだけ平仄を合わせるということであれば、親権者の対立があったとしても、それを上回って養子縁組をすることがこどもの利益にかなうということを裁判所が判断した場合には、養子縁組ができるという規律を置く方が、全体として整合性がとれるのではないかと思います。見落としており、この段階の意見の申し述べで大変恐縮ですが、御検討いただければというのが一つ目の意見でございます。
 2点目は、ゴシックではありませんが、23ページの一番最後の段落に書いてあること、多分第31回の会議で久保野幹事が御指摘になった離縁の際の規律についてということになりますが、できればゴシックにするなど、もう少し明確に分かるような形で御対応いただけるとよいのかなと思いますので、ここの資料に書いてある方向性で更に御検討を進めていただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。2点御指摘を頂きました。1点目は少し説明が必要かと思いますが、前提として、現行法の下では親権者に加えて監護権者が存在するときには、双方の同意がないと代諾養子縁組はできないと理解されているのだろうと思います。それに対して今回、親権者が2人いるときに双方の同意を必要とするわけではないという規律をすると、そこにそごが生ずるというのが出発点の認識なのだろうと思います。現在の提案に合わせて既にある規定の方を直すというのも一つの選択肢ですけれども、御提案はそうではなくて、現在ある規定と平仄が合うような形でここにある提案を直した方がいいのではないかということだったかと思います。もう一つは、離縁の場合についての規定の整備が必要だろうけれども、それはゴシックに書いた方がいいのではないかという御意見だと承りました。石綿幹事、それで間違っていませんか。
○石綿幹事 ありがとうございました。

養子縁組み基本は不要

○久保野幹事

 幹事の久保野です。同じ点についての発言です。まず、民法第797条第2項と平仄を合わせる形で整理していった方がよいという点は賛成で、見落としていたことを申し訳なく感じております。それで、親権の停止の方の同意というのは、平成23年改正で、停止されている間に養子縁組がされて親権を失うことが不適当だという趣旨で規定されたかと理解しておりますので、その観点からいっても今回、親権の在り方そのものが見直されるということがあるという点との関係もあるとはいえ、基本的にはやはり維持して、それと合わせるということだろうと思っております。
 もう1点も同じ、離縁に関わる点でございまして、この資料で示されている方向での明文化を探っていくべきだというのに賛成ですが、このように民法第811条に当たる離縁後にその法定代理人となるべき者を双方とすると具体化していただきますと、今度はその双方が裁判離縁を求めていくことまで恐らく視野に入れて考えていくということだ、ということに気付かされまして、そうなったときに円滑に離縁といいますか、申立てが2人そろわないといけないかとか、また次の問題があるということに気付かされました。その点の手当てが、例えば、ここでの裁判離縁の申立てをしていくとしますと、例えば一方で申立てができるとしつつ、離縁と、離縁後の法定代理人となるべき者について双方から一方へ変更するという申立てとを併せてやっていく制度設計などを考えていくということになるのかと思った次第です。
○大村部会長 ありがとうございます。久保野幹事は、先ほどの石綿幹事が提出された二つの点について、それぞれ補足の発言をしていただいたものと理解を致しました。1点目については、民法第797条はやはり維持という前提で考えることになるだろうということ、それから、2点目は離縁について規定を整備するということで、考えなければいけないことは実はかなりあるという御指摘だったと思います。詰めて考えるのは大変かもしれませんけれども、そこまでやっておく必要があるのだろうと思って伺いました。

離縁とかむしろ制限すべき

○赤石委員

 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。前回の30-1からの変更点の赤字入りのを見ておりますと、第5の養子に関する規律の2のところで、タイトルに未成年者の利益を損なうような未成年養子縁組に対応するための規律があって、本文には未成年者の利益を損なうようなというのがなかったのです。これに対して、これがあった意味というか、そこが少し分からず、あった方がいいという意見も出ていたので、少しお聞きしたいと思います。
 あと、第5以外も言って大丈夫ですか。ありがとうございます。財産分与は、私も離婚後扶養の観点をどう入れられたらいいのかなと思いつつ、しかし、いろいろな条件があると財産分与というのが非常に複雑になってしまうということもあるので、どちらがいいのかというのは本当に判断がつきかねるというところがあります。
 あと、第7の3、所要の整備というところがあるのですけれども、ここに関しましてはいろいろな意見を出しておりますので、やはりそこの整備が、法律相談の増えることとか、今議論しているものがどういうふうになるかによって違うとはいえ、裁判所への申立てが増えるときに、裁判所が人員を拡充できるのかとか、幾つか意見述べさせていただいたことは一体、所要の整備なのかどうなのかというのが気になっております、ということでお伝えいたします。
○大村部会長 ありがとうございます。3点御発言、御意見がありましたけれども、最初の第5の2については御質問だったのでしょうか、御意見だったでしょうか。
○赤石委員 あった方が、条件が狭まって。
○大村部会長 あった方がというのは。
○赤石委員 未成年者の利益を損なうようなという、要するに、再婚を一方がして、こどもの養子縁組をするときに、そんな再婚は気に入らないというような意見がそのまままかり通ってしまうようなことがあるのか、ないのかというところが少し気になるので、少なくともこどもの利益にならないということの基準が書いてあった方がいいのかなとは、素人考えかもしれないけれども、思いますということで、なぜ削ったのかというところをお聞きしたく思いました。
○大村部会長 分かりました。現在の案が前回との関係でどうなっているのかということと、それから、先ほど石綿幹事からは、代諾縁組の要件をこのままにしないで修正した方がいいのではないか、そのときに、子の利益を要件に加えた方がいいのではないかというお話がありましたけれども、その方向に賛成だという意見として受け止めさせていただきたいと思います。資料について、何か説明があれば。

再婚への口出しではないよ

○北村幹事

 今の見出しの部分については、部会資料30-1については従来の議論の経過が分かりやすいように同じ形で見出しを付けていたものですけれども、ゴシックの本文の内容が御議論の過程で変わってきたということもあり、見出しも修正した方がよいのではないかと御意見いただいて、修正したものです。石綿幹事、久保野幹事からも頂いた御意見も踏まえ、今後またゴシックの記載について、更に議論があれば当然、資料を見やすくする観点から考えることはあり得るかなとは思ってございます。
○大村部会長 ありがとうございます。そうした形で受け止めさせていただきます。それから、第6については、判断要素を付け加えるということもあるかもしれないけれども、しかし余り要素を付け加えて複雑になるのもどうかということで、そういう考え方をお述べになったと受け止めました。最後、第7のその他の所要の整備ということなのですけれども、その他所要の整備をするものとするということについて、事務当局の方で何か御説明があれば伺いますが。
○北村幹事 通常、所要の整備として書かせていただいているものは、本文が固まった際に、それに影響してそれぞれの法律、あるいは同じ法律の中で影響がある条項については修正するという意味で書かせていただいております。それ以外、民事基本法制で受け止められない部分については、御意見として頂戴しつつ、我々として、まず所要の整備の中にはそういうものが入るという形で整理をしていきたいと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。こういう場面で所要の整備をするというのは、基本的には今、北村幹事がおっしゃってくださったように、法案を出しますと様々なところに波及しますので、それの調整をしなければいけないということで、必要な調整を図るということかと思います。このほかの御要望については、今後考えていくといったことかと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。

養子縁組本気でやるなら深すぎる

○原田委員

 委員の原田です。第6の財産分野に関する規律のところで、戒能委員が言われたような形で、弁護士会では稼働能力の得失という条項を入れてはどうかという意見を入れて出していると思います。現行の財産分与に関する処分がこのようなことを考慮されているのかという点で、基本的に財産分与は清算的なものと扶養と慰謝料的要素といわれていますが、現在の実務では清算的要素と、時に扶養的要素が入ることがあるということだと認識しています。その場合、ここに書いてある各要素はどこに該当するのかということを考えると、更に論点が増えるのではないかという懸念があって、もし稼働能力の得失とかいうことを入れないのであれば、現行の条文でも、1996年に法制審の答申が出た後採用されたというか、一般的になったのは、清算的分与の場合に寄与の程度は2分の1に考えるというのが基本的に定着していると思うのですが、そのような解釈がされて現行行われていて、特に問題があるということでないと私は認識しているので、そうであれば、変えなくてもいいのではないかと思います。逆に、その異なることが明らかでないときとか、ここに書いているいろいろな要素についての争いを更に起こすのではないかという懸念があり、現行法で稼得能力の喪失が考慮されないということを是正しないのであれば、変える必要はないのではないかと思います。
○大村部会長 御意見としては、変える必要がないというのは、1を置く必要はないという御意見ですか。
○原田委員 はい、現行のままでいいのではないか。
○大村部会長 分かりました、そのような御意見をいただきました。

2分の1清算以前に制度告知徹底しないと、財産溶けちゃう

○落合委員

 落合です。私も戒能委員の発言に続いてと思ったのですけれども、賛成をするつもりで手を挙げたのですけれども、今の原田委員のおっしゃったことが、そこが少し複雑なのですけれども、私は稼得能力の喪失というようなことがここにもう1つ列挙されてもいいのではないかと思っています。結果としては2分の1ということになるのかもしれませんが、ここに並んでいるものの中に稼得能力を失ったというようなことが入っていませんので、それを目に見える形にしておくというのもよいのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。書き方はともかくとして、戒能委員の御意見に賛成ということだと承りました。

結婚して増えることもあるだろうけど?

○武田委員

 親子ネット、武田でございます。従来から述べておりますが、第6の財産分与の2、期間を2年から5年に改めるものとするということに関しまして、なぜ5年まで延ばさなければいけないのだろうかというところがやはりどうしても腹に落ちなくて、ここに関しては、中間試案でありました3年ということにできないのかということを改めて申し述べさせていただきたいと思います。
 いろいろな財産分与の対象物、別居タイミングでの双方の共有資産を積んでいくということをやって、それが基本的には2分の1ルールだということかと思いますけれども、なかなかもって5年になりますと、多分別居から数えると8年とかになると思っていまして、8年前のものをまたそこからやっていくのかというところ、これは逆に2年を3年にしても、申立てできないのではないかというところが、やはりどうしても引っ掛かる部分でございます。したがいまして、このゴシックの部分、2年を5年というところを、3年という形での意見を述べさせていただきます。
○大村部会長 ありがとうございます。武田委員は、6の2について期間5年ではなくて3年というのがよいという御意見として承りました。
 ほかにはいかがでしょうか。

3年にこだわる

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