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法制審議会家族法制部会第35回会議議事録読む3~向井幹事・菅原委員・赤石委員

チーム森すごい

共同親権どんどん

単独親権制は子どもを不幸にするよね

今日は早くも議事録を読む

○向井幹事 

幹事の向井でございます。2点ほど意見を述べさせていただきます。
 1点目は、先ほど大石委員からもお話がありました法定養育費の一部の支払拒絶についての意見でございます。
 法定養育費制度は、この請求権に対する先取特権の付与とあいまって、簡易・迅速に一定額の養育費の請求を可能とするものですけれども、支払義務者側の負担がその収入等に見合わない過大なものとなることを防ぐための仕組みとして、これまでの部会資料では、法定養育費を支払う資力を欠く場合又は支払によって生活が著しく困窮する場合には、その全部の拒絶をできるものとし、さらに、家庭裁判所は義務者の支払能力を考慮して、その支払義務の免除若しくは減額又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができるとされておりました。
 今回、【P】とされている提案内容は、家庭裁判所による減免等の処分を経ることなく、先取特権を行使する段階で義務者の資力に応じて法定養育費額の一部の減免を可能とするというものですけれども、このような規律を設けますと、今回の部会資料35-2の15ページの(注2)にも記載されていますとおり、義務者の資力に関する審理が長期化・複雑化することになり、法定養育費請求権の簡易・迅速な実現という制度趣旨に反する結果となるということが懸念されます。
 また、執行手続には情報開示義務に関する記述が設けられていませんので、義務者の資力に関する情報を十分に持っていない権利者が義務者の主張に適切に反論を行うことは困難ですし、権利者側の収入や生活も大変な状況にあるといったことを適切に反映することもできないのではないかと考えます。
 更に言いますと、部会資料35-2の15ページの(注2)では、法定養育費の全部の支払はできないものの一部の支払はできるような場合に、執行段階で全部の支払拒絶を認めた上で、改めて家裁の手続で養育費の額を定めるよう求めるのは迂遠ではないかといった指摘もされておりますけれども、そのような場合に、執行手続において法定養育費の一部だけの限度で支払拒絶が認められたとしても、法定養育費は飽くまで養育費が定まるまでの暫定的なものですので、養育費額の確定には別途、家裁の審判等を申し立てる必要があります。その場合に、家裁は執行手続で一部の限度で支払義務を認めた判断には拘束されず、当事者も家裁の手続では、執行手続では考慮されなかった事情も含めて、改めて主張いただくことになり、かえって当事者にとって二度手間となるおそれもあるのではないかと考えております。そのため、執行段階では、義務者の資力が法定養育費額を全額免除する程度に低額であるかという点に限定して審理を行い、具体的な資力に応じた養育費額の確定は、子の監護に関する専門的知見を有し、情報開示義務に関する規律も設けられる予定である家裁の処分によって行うのが養育費債権の適正かつ迅速な実現に資するのではないかと考えております。
 次に、もう1点は、未成年の養子縁組に関するものでございます。
 第5の2の未成年養子縁組及びその離縁の代諾に関する規律の【P】(1)につきまして、養子縁組をすることが子の利益のため特に必要があると認めるときに限り、家裁が親権行使者を指定する裁判をすることができるとされていますが、ここでいう子の利益のため特に必要があると認めるときとは、具体的にどのような場合を想定しているかということを明確にしていただきたいと考えております。
 部会資料35-2の24ページの(4)では、最後の「なお」から始まる段落におきまして、「養子縁組が成立すると実父母が親権者としての権利義務を失うことを考慮してもなお養子縁組を成立させることが子の利益の観点から必要である事情が必要であると考えられる。」と記載されていますが、こどもに対する虐待があった場合など親権喪失事由に当たるような事情がある場合に、この要件に該当することは分かりやすいですけれども、例えば、こどもと別居する実父母が合理的理由なく養育費を支払わない場合ですとか、面会交流について取り決めたのにこどもと別居する実父母の方が面会交流に応じなくなった場合にこの要件に該当するのかといった、虐待等よりもワンランク落ちるようなものがあった場合にこの要件に該当するのかということは定かではないと思います。
 離婚後に父母双方が親権者となる場合には、こどもと別居する親については、同居していないがゆえに暴力を振るうなどの分かりやすい虐待の類型よりも、今申し上げたような養育費の不払ですとか関心の低下といったことが問題になることが多いように思われますので、立法の考え方として、こうした場合を今回のこの要件に含める趣旨であるのかどうかということについては明らかにしていただく必要があると考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。向井幹事からは2点、御意見を頂きました。
 いずれも【P】となっている部分ですけれども、一つ目は法定養育費についてで、先ほど大石委員が触れられた点、「全部又は一部の」という点については、全部のとすべきではないか、それがスムーズな運用を図っていく上でも必要なのではないかという御意見を頂戴したと理解を致しました。
 それからもう一つ、養子の方、第5の2の【P】については、これは規律についてはこれでよいという前提での御発言だったと受け止めましたけれども、子の利益のために特に必要があるということについて、中身を明らかにする必要があるのではないかという御意見として承りました。ありがとうございます。
 菅原委員、それから赤石委員という順番でいきます。

養子縁組との関係は気になるところ

○菅原委員

 ありがとうございます。委員の菅原です。
 第1の(1)の二つ目の【P】について、意見を述べさせていただきます。
 先ほど御説明もありましたが、「子の年齢及び発達の程度」というのは是非入れていただきたいと思います。
○大村部会長 菅原委員、第1は後でやりますので、第1を除いてお願いします。
○菅原委員 すみません。大変失礼しました。
○大村部会長 御意見は、そうすると第1についてということですね。では、後でということでよろしいですか。
○菅原委員 そうです。大丈夫です。
○大村部会長 分かりました。

あとで

○赤石委員

 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。ありがとうございます。
 第1は後だということなのですが、第2の前に、この資料の位置づけ等の部会資料35-2のところで少しだけコメントさせてください。
 パブリック・コメントについての言及が部会資料35-2の冒頭にございました。パブリック・コメントの手続をしたり、追加のヒアリングをしていたということはそのとおりでございます。8月に出たパブリック・コメントのまとめは暫定版ということになっております。となりますと、パブリック・コメントのまとめの何というのでしょうか、完成版といったらいいのでしょうか、といったものがいつ出るのかといったことがやはり気になるところでございます。
 その暫定版のときに、乙案に賛成と甲案に賛成、中間まとめのですね、2対1であったと、個人に関しては。団体に関しては逆であったというようなことが書かれていたということなので。では、私どもの議論は、こういったパブリック・コメントの手続でいただいた議論を正確に反映しているのかどうかということはやはり問われているのだと思いますので、審議会の要綱がまとまるときに、パブリック・コメントの完成版が出てくるというのはやはり避けた方がいいと私は思いますし、多くの常識からいうとそうであろうと思いますので。となりますと、やはりかなり時間は限られているのですが、いつ、完成版と言えるようなものが出てくるのかは、やはり言及があるべきかなというふうに思っております。ということを申し上げて、第2の方にいきたいと思います。
 ちょっと第1のところにも関わってしまうのですけれども、第2の2の(1)のエのところで、「父が認知した子に対する親権は、母が行う。」というような規定があります。これについては、前回も申し上げましたけれども、婚姻によらないで生まれたこどもに関する権利義務というのは、やはり議論はしていくべきであるというふうに思います。
 ここにいらっしゃる先生も、そうした議論で論文など書かれている先生も何人もいらっしゃるように見受けられます。やはり、父親が任意認知の場合には一方的に認知が行われ得るという制度になっていることに関して、ここでそれをそのまま認めてよいのか、あるいはここでは全面展開できないにせよ、やはりやや、私の目から見れば、家父長的な認知制度に関して、何らかの今後には改善が求められるということがやはり言及されるべきなのではないのかなというふうに思うということはお伝えしたいと思います。
 それから、先ほどの第2の1の方に戻りまして、急迫の事情についてです。法理論的に急迫の事情がどの範囲なのかということは、本当に今いろいろな議論がされているので、私は法律については疎くはあるのですけれども、一体どこまでカバーできるのかといったことは、非常に現実に親と子が生きていくときにトラブルにならないような規定であってほしいということは強く願うところであります。
 各委員の先生も、そういうおつもりでいろいろな御議論をされてきたと思います。ここに部会資料35-2の方にも幾つかの事例がありますけれども、DVや虐待における避難に関わる居所指定や医療契約、入学、高校だけではなくて、この頃は中学のときにもいろいろな選択肢が出てきておりますし、小学校でもいろいろな選択肢がございますので、それを入学の契約というのか、届出というのか、高校の場合には学校法人との契約になるのかなと思いますけれども、あと、例えばシッターさんの派遣ですとかですね。
 それから、これは身分行為になるのか分かりませんが、パスポートのこともございました。こういったことが丁寧に漏れなく網羅していただけるとよいというような御意見もあったかと思いますので、ここについてはやはりきちんと1回は議論をしておきたいというふうに思います。
 また、学校や病院などが、やはりこういったことで覆されたりする事件が例えば起こってしまったり、裁判が起こってしまったりすると、その後、学校法人なり病院の経営的に非常にトラブルを避けたいということになるので、あらかじめ両親の関与を求めるというようなことが行われ得るのではないかというふうにちょっと危惧しております。そうなりますと、急迫の行為として一旦医療契約をしても、覆される事例が出てきてしまったら、結局はどうなるのだろうかというところが危惧されており、こういう場合がないのだろうかというのが気になります。
 あと、先ほど戒能委員から、DVの場合といったのを追加でエとして御提案があったのですが、そういうふうに直接的に書かれるのは、ドメスティック・バイオレンスがあるとき、おそれがあるときを提案されているのですが、それも一理あるなというふうに思っております。ただ、今言ったいろいろなところの契約とかは、また別にきちんと議論しなければいけないというふうに思っております。
 それから、第2の2の(1)のキですね。キのところで、暴力に関して、父又は母が、①、②が出てきまして、3ページですね、部会資料35-1の。ここが(注)にあったものがきちんとゴシックで書かれたことに関しては、一定の前進があったというふうに思っております。とはいえ、やはりDV、ここで言っている、心配が募るのはですね。この、DV防止法にかなり連動した表現のときに、DV防止法の保護命令を想定しているのか、はたまた違う手続を想定しているのかが分からないので、保護命令というのは本当に私ども御相談を受けていても少ないのですね、保護命令が出ておりましたという方は。
 となると、ここで何を想定されているのかという、ちょっと1回議論していただけると有り難く、相談履歴があることをもってDVがあったというふうにして、支援措置を掛けたりとかいろいろなことを今、DVの被害者の方の救済のときに運用しております。これが何なのかというのは、やはり議論しておいた方が大変安心感がある。やはり、保護命令、大変出ていないのですね。それはいろいろな基準があるからでありますけれども、ということは、私はDVの方だけを扱ってはいないですけれども、やはりよく聞くことでございます。なので、議論していただきたいと思います。
 それから、第2の2の(2)の②ですね。協議離婚だと思うんですけれども、親権者の指定を求める家事審判又は家事調停の申立てがされているときは、離婚の届出をできるということになっているということですよね。ここも余り議論しないで要綱まで来てしまっているような気がしていて、もう一度考えておく必要があるかなというふうに思っております。
 20万組の離婚のうち、毎年ですね、9割の協議離婚があって、この方たちがどういう行動をとることになるのかということなのですけれども、私が想像しているのでそうではなかったらいいのですが、一応親権の争いがありましたと。それで、審判を申し立てたら離婚が成立しますということでいいですか。
 そうなったときに、審判の方で親権が決まる前に一応離婚手続が成立しています。ということは、ある種の何というのですかね、そこの期間を短縮化できるというか、いつも親権の争いで1年、2年過ぎてしまったというような方にとっては朗報であろうと思われている面がある一方で、その審判手続がどの程度簡便になるのかとか、そこに至る法律支援の必要性がここでもうものすごい量で増えるわけですね。9割の方ですから、今、調停に申し立てている方たちではない方たちも対象になるわけなので、ものすごく法律支援の必要性があるということと、審判手続がどのように行われ得るのかということがまずありますよねということと。
 一方で、何かこう、早く離婚して、早く新しい異性関係ができていて、その異性と関係をもう一回、再婚したいというような配偶者がいたとして、弱い立場の妻子ということになるのかもしれないのですけれども、そういう人たちにとっても便利な制度になるのか、その辺りのちょっと仕組みが、果たして本当に弱者に不利にならないのかということをちょっと考えたいなと思いました。
 離婚不受理届というのを一旦出しておいて、養育費ですとか財産分与とかが決まらないうちは受理されないということになっていれば、相手方が早く出そうとしても、一応ここで防波堤になるというのは存じているのですけれども、こういったところの仕組みがドラスティックに、多分ここが一番範囲として大きいので、しかもDVとかと関係なく多いので、そこのところがどうなるのであろうかみたいなところが気になるので、一応お伝えしておき、御教示いただければ大変有り難いです。
 この親権が決まっていないで、監護者も決まっていない、あるいは事実上の主たる養育者はいるというような場合に、これはもう一度申し上げることになりますけれども、こどもへの支援制度とか社会保障制度とかのリンケージが不明であるので、この点についても関係省庁とのきちんとした検討が必要かなというふうに思っております。
 長くなったので、監護のことも言いたいのですが、ここで一旦打ち切った方がよさげな、全然、そん度してここで一旦打ち切ります。
○大村部会長 ありがとうございます。だんだん整理をするのが難しくなっておりましたので、大変助かります。
 赤石委員からは、最初に、補足説明に付いている資料の位置づけについての御意見を頂いたと思います。パブリック・コメントについてのまとめを早く、最終まとめというのがあるのならば早く出すべきだという御意見を頂戴したかと思います。
 それから、部会資料35-1の方については、第2の2の(1)のエについて、認知の問題がありますけれども、御意見は、ここでの前提になっている認知制度そのものについて見直す必要があるのではないかという御意見でしたので、ここで議論することはちょっと難しいかと思いますが、認知制度に問題があるという御意見として承りたいと思います。
 それから3番目、急迫の事情について、こういう場合がどうなるのかということについて御指摘ありましたけれども、それらも含めるべきだという解釈上の御意見として承りたいと思います。あわせて、一旦なされた決定が後で変更されるという場合はどうなるのかということで、これは一般論として出てくる問題としてですが、そういうことは増えるかもしれないので、解釈論としての対応が必要になるかもしれない、そういう問題を御指摘いただいたものと受け止めました。
 その次に、2の(1)のキの①、②、先ほど戒能委員が触れられたところなのですけれども、ここは保護命令並びというのでは狭いのではないかという御意見として承りました。
 それから最後、第2の2の(2)の②についてですけれども、これについても、この申立て自体についての法的な支援が必要なのではないかということと、他制度との連携についてそごがないような配慮を求めたいという御意見として承りました。さらにありましたら、後でお願いをしたいと思います。
 それで、今、落合委員、それから菅原委員の手が挙がっているかと思いますので、その順番で伺いたいと思います。

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