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法制審議会家族法制部会第25回会議議事録読む9〜大石委員

すごい闘いだった 頑張った

個人的世界観と世間の注目する世界観のギャップ

子育てしながら、共同親権


議事録読みも一区切り
さて



 最後になるかどうか分かりませんが、今の挙手の状況では、大石委員がまだなので、大石委員、お願いいたします。

あの人から

○大石委員

 ありがとうございます。委員の大石です。私は数回前に資料を提出しまして、現行制度のもとでも、共同養育をするようなケースを念頭に置いた税制や社会保障の取組ができておらず、省庁横断的な取組が必要であるということを主張させていただいたわけなのですけれども、今回のこういう議論の組立てに関して思いますのは、法改正をすると決めないと、各省庁も取り組みを開始できないというような事情があるのかなということです。そうであれば、法改正と取組と、どちらが先かという問題になりますが、しかし、現状ではまだ親権概念についての議論などが尽くされていないと思うところもありまして、なかなかはっきりした意見を私自身、まとめるのが難しいと感じている次第です。
 特に、法改正をするか、見直すかどうかといったところに関しては、共同親権がオプションなのか、それともデフォルトになるのかというところを、セットで私自身は考えたいという部分があります。オプションとしてならば、まああり得るのかなとも思いますけれども、デフォルトになった場合には、現在様々な制度的な支援が非常に不足しており、かつ、先ほどの最高裁の方のお話などを伺っていても、なかなか対応が難しいということになりますと、当事者の方々に甚大な影響が及ぶのではないかと、そういう懸念もどうしても持つというところがございます。そういった少し感想めいたところで、はっきりしない意見を申し上げて申し訳ないですが、現状こういった感想を持っているということでございます。ありがとうございます。
○大村部会長 ありがとうございます。大石委員からは、他省庁が所管する立法や政策との関係、前から御指摘いただいているところですけれども、その点についてと、それから、これも委員、幹事から御指摘がありますけれども、親権概念の整理が必要ではないかという御指摘がありましたが、その上で、親権の共同行使について、これをオプションとするということならば考えられる、しかしデフォルトとするということであれば、それは問題が多いのではないかという御意見だったかと思います。今日のところは、先ほどから申し上げておりますけれども、合意がある場合について、それがどういう合意かという点については更に御議論を頂く必要がありますが、合意があるとしたら共同行使を認めるかどうかという点について御議論を頂いており、共同行使をデフォルトにすることが提案されているわけではないと理解をしております。そういう前提で今の御意見を承らせていただきたいと思います。
 これでおおよそ皆さん一通りは御発言を伺ったかと思います。更に御発言もあるかと思いますが、その前に二つのことを申し上げたいと思います。一つは、先ほどの部会資料24の方について、まだ御発言を頂く必要がありまして、久保野幹事と赤石委員から意見を頂戴するということになっております。この後、休憩を入れさせていただいて、再開後にお二人の意見を頂戴して、それで、部会資料24に関する先ほどの一応のまとめでよかったかどうかということを確認したいと思います。その上で、時間がどうなるのか分からないですけれども、部会資料25に戻って、更に、皆さんの御意見を頂く、今日はとても終わらないと思いますので、今日のところでのまとめをさせていただいて、それで次回へと進ませていただきたいと思っております。
 そういうことで、現在16時34分ですので、10分休憩させていただいて、16時45分に再開したいと思います。休憩いたします。
 
          (休     憩)
 
○大村部会長 それでは、再開したいと思います。
 休憩前に申し上げたように、まず、部会資料24に戻って御発言をいただきます。赤石委員からは先ほど追加の御発言があるということでした。また、久保野幹事が後でいらしたということなので、赤石委員、久保野幹事の順番で、部会資料24の財産分与の部分についての御意見を伺います。

取組先行なんて待ってられないわけよね

○赤石委員 

しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。そうですね、やはりこの財産分与について、離婚後扶養の要素、補償の要素というのをどう位置付けるかということなのですけれども、確かに女性の社会進出は進んではいるのですけれども、十数年前の第一子出生時のお仕事を辞める方、仕事を継続しない方というのは確か6割前後であったかと思います。それがだんだん減ってきて5割から、そのくらいになってはいるのですけれども、そうはいっても第一子出生のときにはフルタイム、正社員からパートタイムに変わったりとか、そういうふうに御自身が結婚生活の中で仕事と子育てをやり繰りすることを考えて仕事を変えてきています。離婚というのは、第一子出生時から5年とか10年とか15年とかたった後に起こることなので、その前にどうだったかというと、かなりタイムラグがあるので、今、女性が社会進出してきましたよねといっても、やはりそこの影響はもう少し前のところであるということを考えると、やはり扶養の要素、補償の要素というのはあると思っているということをお伝えした上で、今の文言については余り複雑化することについては、分かりましたというところで、この文言でよいかなと思います。
 あと、年限なのですけれども、期間制限についてなのですけれども、一応、2年という御意見もあったので、やはりDVがあったりとか、DVがなくても、離婚後のいろいろな衝撃から、お母さんたちからの御意見を頂くと、本当にわらをもつかむ思いで私どもの団体に来て、やっと少し元気になってきたというような御意見も頂いている中で、御自身が財産分与についての行動を起こすまでには少し時間が掛かることを考えれば、3年あるいは5年というのも納得ができますということをお伝えしておきます。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員から2点御発言がありましたが、一つは、ずっと御発言があった括弧付きの補償的要素について、女性の就労のタイムラグということを考慮に入れて考える必要があるという御指摘があり、しかし文言については、一定の範囲で複雑化を避ける必要があることは分かるという御発言だったかと思います。期間については、2年という御意見も出たけれども、置かれている状況を考えると時間が掛かるということもあるので、より長いものを支持するという御発言だったかと思います。

何年夫婦しているケースを想定しているのか、で議論も変わる

○久保野幹事 

 私も財産分与につきまして、原案のような形で進めるということに賛成というのを前回、最後に一言申し上げたいということでした。それで、簡単に理由といいますか、実務との関係で、実務は清算中心であるといわれているということですけれども、しかし清算にも評価的な要素を含んだ基準による判断作用というものも含まれているかと思いますし、また、別途補償的要素ということも入ってよいとは思っておりますけれども、いずれにしましても衡平の文言の入った原案のようなルールを明示していくということは適切なのではないかと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。久保野幹事からは原案賛成ということで、現在の実務の状況についての理解と、それから、提案されているものについての理解について御意見を頂きました。ありがとうございます。
 赤石委員、久保野幹事に御意見を頂きましたが、先ほど途中でまとめさせていただいたものから大きく離れるような内容ではなかったと思いますので、御指摘を頂いた点を踏まえつつ、部会資料24の線で更に検討を進めていくという形で改めて引き取らせていただきたいと思います。部会資料24についてはそのようにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。
 部会資料25についてですけれども、先ほどから一通り皆様の御意見を頂きました。二巡目に入りますと、また同等以上の時間が掛かるかと思いますが、ここまで御意見いただいたところで、大きな意見分布のようなものは了解いたしました。正確に数えようとすると、この方の発言はどちらに分類できるのかといったことにもなりますが、多少ゆとりを持って概数で申し上げると、全体の半分を少し超える方が積極的に賛成という御意見だったかと思います。他方で、慎重論を強く主張された委員、幹事が4名程おられたのではないかと思います。その間に4、5名の方が、この方向で議論するということについて積極的には反対しない、議論すること自体については許容するという立場を表明されたと理解をしております。
 様々な御意見を頂きましたけれども、いくつかのことを申し上げておきたいと思います。一つ目は、この先の議論をしてみないと最終的には判断が付かないという御意見が少なからずあったということです、合意ができている場合はよいということで、部会資料25はできておりますけれども、ではその合意はどういうものなのかということについては、積極的に賛成の方々の中にも様々な御意見があるのではないかと思います。
 二つ目は、慎重論を説かれた方々は4名ということで、数としては少数派だったと思いますけれども、その中の御懸念については多くの委員、幹事が共有されていたのではないかと思います。合意が適切に得られるかどうかということが分からないのではないか、このような規律によって合意を強要されることになるのではないか、特に虐待やDVのケースというのでそういう事態が生ずるということに対する懸念、これは賛成を表明された委員も共有されていたのではないかと認識をしております。
 部会資料25について、今のような御意見を頂いたということを踏まえつつ、具体的な問題について次の回には御議論を頂くということが適切なのではないかと思っております。今日ここでこれを決めて、民法第819条は見直す、それ以外の選択肢はない、どこかを必ず変えるのだということを合意しようということではありません。ですから、さしあたり先に進むということを、私からは提案させていただきますけれども、それに対して皆さんが積極的あるいは消極的に同意していただいたということで、次回以降、禁反言の原則が働くということではないと考えております。議論を先に進めましょうということですので、この方向を前提に次回以降、事務当局から具体的な制度設計に係る案を出していただくことになるかと思いますけれども、今申し上げたような形で議論を進めていきたいと思っております。このような進め方について、それでよろしいでしょうか。

なんとか前進

○原田委員

 質問ですけれども、具体的な設計というのは、合意の真性をどう担保するかというような話が多分一つあるのと、共同親権になった場合の、例えば親権の行使の仕方とか、監護権を決めるか決めないかとか、そういう話にするということですか。
○大村部会長 はい。
○原田委員 はい、分かりました。

結局前進

○赤石委員

 認知のところをどのように議論するのかということと、未婚のひとり親に対しての調査データがあるのかどうかということを一つお聞きしたいのと、もう一つは、団体の意見書、1時間とかで拝見しているのですが、いろいろな実務に当たっている団体がいろいろな留保条件を付けておられたり、時期尚早だというところで、こういうことをもっとやるべきだとか書かれているところがあったり、もう少し見たいところなのですが、ここの細目について委員と共有するということがおできになるのかというのも少しお聞きしたいところです。
○大村部会長 ありがとうございます。今の点について、まず私の方でお答えして、それから事務当局の方でお答えを頂きたいと思います。赤石委員の御質問は、認知あるいはパブコメの取扱いについてということで、先ほどの部会資料25についての私の取りまとめそのものに関するものではないと受け止めさせていただきました。
 その上で認知の話は、先ほど落合委員がおっしゃいましたけれども、どこかで検討しなければいけないと私自身は思っておりますが、それがどの段階になるかということについては現段階では私自身は腹案を持っておりません。事務当局の方でどういうタイムスケジュールを考えるかということを併せて、どこかの段階でそれを取り上げるということになるのかと思っております。
 北村幹事、私の認識が誤っていたら後で訂正していただきたいのですが、あわせてパブコメについての赤石委員の御質問についてお答えすることがあれば、お願いをいたします。

認知のケースも忘れない

○北村幹事

 事務当局でございます。認知については今、部会長が御指摘いただいたとおりです。どこかのタイミングで御議論いただくことになろうかとは思っておりますが、その取り扱い方については少し今、検討中でございます。具体的な調査については、今お示ししている以外のものは私どもが把握しているものはありませんが、そこは、あるのかないのかも含めて確認します。
 パブコメについて御要望は承りましたが、どういう形でどうできるのかも含めて、少しまた検討させていただければと思います。本日も早い時間に来ていただいて御覧いただいていたり、別の日に来ていただいたりしてはいるところでありますので、また御要望等も承りながら、こちらで検討させていただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。皆さんにパブコメの結果を熱心に見ていただいているかと思います。事務当局の方で整理をしていただいておりますけれども、繰り返しのことになりますけれども、たくさんの量がありますので、全体を詳しく整理するというのに時間が掛かるということもあろうかと思いますが、御要望には、事務当局のマンパワーとの関係で可能な範囲で、できるだけお答えいただけるようにお願いをしておきたいと思います。
 ということで、部会資料25につきましては御意見を伺ったということで、次回に進ませていただきたいと思います。よろしいですか。
 ありがとうございます。それでは、本日の審議をここまでとさせていただきます。
 次回のスケジュール等につきまして、事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。
○北村幹事 次回ですけれども、5月16日火曜日午後1時30分から予定してございます。場所につきましては改めて御連絡いたしたいと思います。
○大村部会長 それでは、5月16日ということで御予定を頂きたいと思います。
 それでは、法制審議会家族法制部会第25回会議、これで閉会をさせていただきます。
 本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。
-了-

大村部会長お見事でした!

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