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法制審議会家族法制部会第20回会議議事録5~大石委員・杉山幹事・青竹幹事・菅原委員・井上委員・北村幹事・落合委員

パブコメ書こう

北村弁護士のご活躍がすごい

議事録読んでく

○大石委員 

 委員の大石です。私も意見書に名前を連ねております。私自身の趣旨といたしましては、これまでの議論に横やりを入れようとか、そういうものではございませんし、また、何か特定の選択肢を支持するとか支持しないとかいうようなものでもございません。その点をまず、確認させていただきたいと思います。
 その上で、今、意見書を出した背景として、これから先のことを見通したいということがございます。パブコメを募集するに当たりましても、どのような社会像がこの後、待っているのかということについて、こちらの方でも、政府として準備していますよというようなことはある程度、国民の皆様に伝わるようなものであるできではないか。この中間試案はやはり法律面のみに関してのものでございますので、他のことにも目配りをしているよというようなメッセージを出すことは必要ではないかと考えています。
 私自身の頭にありますのは、例えば、子ども子育て支援新システムを発足させるに当たりましては、内閣府をはじめ文部科学大臣、厚生労働大臣などを含めた省庁横断的な連絡会議が設けられて、その中で進められたというような経緯もあるわけです。ですので、この家族法制の変更に関しましても、社会の根幹に関わるといいますか、大きな問題を取り扱っておりますので、これから先、パブコメの後に向けて省庁横断的な連絡会議なり何なり、検討会といったものを設けて、それぞれのオプションが実現したときにどのような社会像になるのか、どのような運用上の問題が生じるのかといったことについての目配りをする、しているのだよと、あるいは、この部会の中で取り扱えない問題であるからこそ、そういった支援というか目配りを外に求めたいということを出していった方がいいのではないかと思っております。
 また、経済学者としての観点から申しますと、例えば、先ほど赤石委員が扶養控除の問題などもおっしゃっていましたけれども、そういったことの関係で、例えば就労抑制というのでしょうか、扶養控除を持てなくなるから、それを避けるために、今までよりも所得を低くして、様々な手当がもらえるようにするような行動を誘発するとか、制度が人々に異なるインセンティブを与えて行動を変えてしまうというところはあります。もしそのようにして、ひとり親、例えば母子世帯の母親の就労抑制というような方向にインセンティブを与えてしまうようなことになるのだとしたら、それは女性版の骨太の方針などに書かれているような方向性と整合性が取れないということにもなるかもしれません。ですので、ここで法改正がいろいろ多岐にわたる問題であるということを意識した上で、部会としては、この部会の中で取り扱えない内容に関しては、別に対応をとってほしいということを書き込んでいただくことが望ましいのではないかと思い、問題提起させていただいた次第です。
○大村部会長 ありがとうございました。大石委員からは、既に他の委員からも御指摘がありますけれども、制度の影響についての説明が必要ではないか、あるいは民事法制を越えた対応が必要だということについても十分に説明する必要があるのではないかという御指摘を頂きました。ただ、この案そのものについて、この取りまとめで反対という趣旨ではないという御指摘も頂いたところかと思います。

取りまとめに反対ではないね

○杉山幹事

 幹事の杉山でございます。私も様々な委員、幹事の意見を聞いた上で、最初の石綿幹事始め沖野委員、その他の先生方と同じような考えで、中間試案の内容それ自体についてはこのままでよいと思っております。8月の段階から若干の修正が施されたとのことですが、形式的なものですし、これまで、法制審議会のこの部会に与えられた任務の範囲の中で実質的に議論を尽くした結果が反映されているものと理解しております。
 赤石委員ら4名の先生から頂いた共同意見についてですが、方向性自体については私のみならず、ほかの委員、幹事も共感されているところはあるかと思いますけれども、これまでの議論の経緯などからは、この点について具体的な提案ができる状態になっているわけではございません。また、このような方向性について賛同することを越えて具体的な議論が十分にされてきたわけでもないので、沖野委員が御提案されたように、触れるとしても補足説明の中で、この中間試案の位置付けとの関係を示すのがよろしいのではないかと思っています。
 4名の委員による共同意見の二つ目の税と社会保障の問題ですけれども、こちらについても問題意識自体は共有できていると思いますが、この部会から具体的な提案ができる状況にはなっていないと理解しております。また、一つ目の支援の問題につきましても、例えば養育費の問題一つを見ても、養育費不払い解消に向けた検討会議の最終取りまとめの段階から、支援の必要性については触れられているところでございますが、そこで提案された支援の内容は多種多様なものでして、この家族法制部会に諮問された範囲を越えるものであり、具体的にどうすべきかという提案が出せるものではないと思います。
 例えば、養育費の問題については、かねてより省庁を越えた検討がされているところで、そこでの調整に期待をする一方で、そこでは十分に取り扱えない個々の法的制度、具体的に裁判法制をどうしたらいいのかといった問題を扱うのがこの部会の役割だと認識しておりますし、その点は中間試案に至るまでの過程で十分議論がされて、中間試案でも議論の結果が反映されていると思います。また、民事法制を整えることによって、それを支えるべく、裁判所の人員も含めた体制もあわせて整えられていくことになっていく、整えないと法制度が回りませんので、そうせざるを得ないと考えております。
 逆に、このような波及的な問題、税とか社会保障、あるいは支援の問題について、具体的に検討することによって、この民事法制等を整えるという作業自体が遅れていくのも、よくないと思います。したがいまして、私たちに与えられた権限の範囲で検討した結果を示した現在の中間試案について、なるべく早く国民の皆様の意見を聴いて、その後の最終的な取りまとめに向けた検討をしていくのが望ましいと考えています。
○大村部会長 ありがとうございます。沖野委員その他の委員のお考えに基本的に賛成だということでしたけれども、更に具体的に、様々な支援の方策について部会で具体的な提案ができるという状況ではないということと、他方で民事法制を整えるということの意義について御指摘があったと理解を致しました。

進もう、前へ

○青竹幹事

 幹事の青竹です。よろしくお願いします。赤石委員と大石委員、戒能委員、柿本委員からの意見表明を拝読しまして、問題意識を共有いたしました。多くの委員の方、幹事の方は、どちらかというと反対されていたようですけれども、(前注3)に税制、社会保障の整備の必要性を盛り込むことについて、私自身はおかしいという印象は持っておりません。絶対やめた方がいいということでもないように思いました。大石委員のおっしゃったように、注意を喚起するためにこの部会の任務ではないけれども、(前注3)に盛り込むということもあり得るのではないかという印象を持ちました。
 ですけれども、今の段階で修正することの混乱というのも理解いたしますし、また、(前注3)で挙げるよりも、多くの先生方がおっしゃっていたように、補足説明の方に書き込む方が効果的に、少し長く書くこともできますし、赤石委員が提出された調査なども盛り込むことも不可能ではなく、そちらの方がふさわしい、より充実した記述ができるというように考えました。できる範囲で補足説明に今指摘されたことを盛り込んでいくようにするのがいいのではないかと思います。
 そして、もう一つ、税制と社会保障ということですけれども、やはり赤石委員が調査報告されましたように、家庭裁判所や調停制度の整備が必要であるということも、理解いたしました。このことは正に改正案に非常に影響することですので、その点についても補足資料において説明するとよいのではないかと考えました。
○大村部会長 ありがとうございます。青竹幹事からは、(前注)に加えることは考えられなくはないけれども、結論としては補足説明に加えるのがよいのではないかという御意見を頂きました。

補足説明に結局入ったっけ?

○菅原委員

 ありがとうございます。まず、部会資料20-1に関してですけれども、前回の会議のときに、もう少し分かりやすくなるとよいのではと意見を出させていただいた者としましては、今回、形式を整えていただきましてありがとうございました。特に、例えば条文の810条など条文名の後に条文のコンテンツが分かるように書き込んでいただいたことは、これからパブコメに付すに当たって、国民にとって親切で分かりやすくなったと思います。また、3ページの親権者の選択の要件のところに甲③案という形で起こしていただいたのも、また分かりやすくなったかなとも思っております。この部会資料20-1に関しましては、パブコメに早く掛けていただけるとよいのではないかと思います。
 また、今、議論になっております大石委員、赤石委員、それから戒能委員、柿本委員から御提出いただきました意見表明につきましては、共感するところでございます。しかし、今回パブコメに出す中間まとめにつきましては、(前注3)にしろ、補足説明にしろ、この点について深く議論して適切な文言を作成していくことが時間的に難しいと思います。外へのメッセージを私たち部会として出していくことは非常に重要になると思いますので、もう少し練った上で、最終的な要綱を出していく際に補足の中に入れていくというチョイスもあるのかなと感じた次第です。
 以上でございます。よろしくお願いします。
○大村部会長 ありがとうございます。菅原委員からは、部会資料20-1について表現ぶりは分かりやすくなったのではないかという評価をいただいた上で、これに賛成するということ、それから、赤石委員始め4委員の御提案については今後、別の仕方で何か意見を表明した方がいいのではないかという御意見を頂戴いたしました。
 ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。井上委員、どうぞ。

パブコメ早く

○井上委員

 連合の井上です。ありがとうございます。4名の委員の皆様から出された意見については、やはり重く受け止めるべきではないかと思っておりますけれども、後ほど補足説明のところで議論するのかと思いますので、そちらの方で発言はさせていただきたいと思います。
 中間試案に関しては、8月の第19回会議から変わっていないということなのですけれども、3ページの甲③案が(注)の中に入りました。ほかの(注)のところには全部、考え方があるとか、考え方もあるという記載なのですけれども、ここだけ甲③案になっていて、そうすると、前提がどうなっているのかというのが少し分からなくなってしまったので、事務当局に質問します。甲①、②があって、甲③があると、このこと自体、個別具体的な事案に即して親権者を父母の双方にするか一方にするかを裁判所等で定めるのであれば、現行の原則単独親権の維持ではなく、そもそも親権者の決定において原則がなくなるということなのか、あるいは、飽くまでも選択の要件や基準に関する規律を設けないだけで、現行の原則単独親権は維持されて、司法の決定によっては共同親権が選択できる想定なのか、今までは2案だったものが1案増えたようにどうしても思えてしまうのですけれども、なぜ甲③が入ったのか、その説明を頂ければというのが意見です。
○大村部会長 ありがとうございます。井上委員からは、今まで出ていなかった点として、部会資料20-1の(注)に付された括弧書きの甲③案というところについて、このように書いた趣旨を質問したいということだったかと思います。

甲③の謎

○北村幹事

 甲③案、こちらに付記したものについては、3ページの(注)の中に「考え方」が二つあるということもあって、意見をお出しいただく際に符号を付けた方がよいと考えたというのが一つでございます。この考え方については様々、この部会の中で御議論いただいて、原則というものを定めるのかどうかについてもいろいろ御意見があった、その結果として、この(注)に入っているものを従前から記載させていただいています。内容については、こちらに書いてあるように、個別具体的な事案に即してということで、合意ができれば合意なのでしょうけれども、合意ができない場合、協議ができない場合、家庭裁判所に行った場合に、そこの原則、例外というものを特に定めずに、その御夫婦の個別具体的な事情に応じて、お二人を親権者にするのか、それとも一方を親権者にするのかというのを家庭裁判所の判断に委ねるという考え方、この部会の中でもこちらを御支持いただく御意見もそれなりにあったかなとは思ってございます。従前からこちらは挙げていただいていたところでありますが、「考え方」は二つ(注)の中にあるので、意見集約という観点からこちらに符号を付けたというものになります。
○大村部会長 井上委員、よろしいですか。
○井上委員 というと、原則がなくなって、ケース・バイ・ケースで決める、という内容ですね。分かりました。

甲③は、ケースバイケースってことに

○落合委員

 ごく短くなのですけれども、(前注3)に入れるかどうかの問題なのですけれども、ごく一般的なことをそこに入れて、もう少し詳しいことは補足説明のところに書くというようなことが妥当なのではないかと今、皆さんのお話を伺っていて、思いました。そこに何にもないのも、大石委員がおっしゃったように、法律の改正の提案をしているのだけれども、それの波及効果とかについて私たちは全く分かっていないわけではないよと、それも大事だと思っているよということを示しておくと、そういう意味では、文言としては、少し御提案もありましたような、こどもの最善の利益のためには様々な何とかの協力が必要でとか、法律を越えた制度的な枠組みを検討する必要があるというようなことを書き込むということは、国民が安心するのではないかと思うのです。もちろんそれ以上詳しいことはほかの場所の方が適当だという、それは皆さんおっしゃっているとおりだと思います。全く踏み出してしまうのは何なのですけれども、つま先を少し出すぐらいのことをしてみたいなと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。

前注3は結局ないままよね

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