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法制審議会家族法制部会第34回会議議事録読む6~赤石委員・池田委員

共同親権になる

3月国会提出で

新聞も調達

議事録読みはハイライトの途中だった!

○赤石委員

 すみません、突然出てくる表現があるので、やはり言っておかないといけないのです。
○大村部会長 分かりますけれども、コンパクトにお願いいたします
○赤石委員 監護者の定め及び監護の分掌のところに行きます。まず、監護の分掌というタイトルに私は違和感がございます。これは前回出てきたのですけれども、そのときに意見を言わなかったのは大変申し訳ありません。15ページですが、先ほど戒能委員がおっしゃったような、監護者の定めがされた場合には身上監護に関する事項全般について包括的に父母の一方が優先的な地位を獲得することになるというような表現があります。外部から見たら優先的な地位を獲得するという形式論になることがあるかもしれませんけれども、これはこどもの利益を考えたら、権利の争いや権力闘争をしているわけではありません。権力闘争のように見えるのは、少し眼鏡が違っていると思います。日常的な世話に関する一貫性の必要性というのを考えたときに、監護者の指定が必要であるということを言っているので、ここについても突然出てきた、この優先的な地位という言い方は非常に違和感がございますので、撤回していただきたいと思いました。
 こどもにとっては、特に年齢が小さければ小さいほど、安心な愛着関係が必要です。法制審議会の第21回会議で渡辺久子先生、乳幼児精神医学会の先生が、こどもの成長発達にとっては最も重要なのは安全・安心を与えてくれる養育者との安定した環境である、離婚後のこどもの養育に関してそれが損なわれるのを心配しているとおっしゃっておりました。この愛着関係をきちんと形成できるような関係がないと、脳の発達から体と心の発達が阻害されていく、こどもの利益にならないということをおっしゃっていたかと思います。このことを実感している親が、やはり監護者を指定すべきであると思っており、私どももそれを考えているということであって、こどもを同居親が一人で抱え込みたいと思っているかのような言説は違うと思います。
 同居親の方たちは仕事と子育てで疲れ果てており、安心して託せる相手であれば当然、託したいわけでございます。社会的支援も必要です。柔軟性がないのではなく、安全・安心を損なわないということが必要なので、柔軟性という言葉も非常におかしな言い方であると思いますので、ここで、先ほどから言っているように、監護者の指定というのはこどもの安全基地を作るという観点からも必要であると思いますし、先ほど監護の分掌というところも非常に危機感を述べさせていただいたのですけれども、面会交流の規定というのがあるわけですので、そこできちんとお子さんのお世話をするということの可能性は開かれているわけですので、わざわざここで監護の分掌というのをする必要はない、そこで、それについては修正していただきたい、このように思います。
 第三者については、意見があれば言いますが、以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。具体的な御意見としては、2の子の意思について書き込むと、明示的にするということについて賛成だけれども、しかし、それに対する懸念があれば対応する必要があるということだったかと思います。最後の点は分掌に反対という御意見ですか。
○赤石委員 監護の分掌というタイトルと、その内容については反対します。
○大村部会長 分かりました。そのように受け止めさせていただきます。それから、補足説明についての御意見を頂きましたが、これは補足説明を見直すということで対応を頂きたいと思います。そのほか2点あって、御質問にわたる点がありましたけれども、期間の相当性とか連絡方法の相当性ということについて、今ここで、事務当局に問うても一義的な回答は出てこないと思いますので、説明の中で可能な形でまた御検討いただきたいと思います。それから、最初の方で認知のことをおっしゃって、これは議論が足らないのではないかということで、問題点になるような点について御指摘を頂いたと思います。あわせて、周知や支援、情報提供などがこの部分で特に必要ではないかという御要望をいただいたと受け止めさせていただきます。
 あと池田委員、武田委員と伺って、ウェブで今津幹事、久保野幹事、青竹幹事ということで、大分いらっしゃいますので、すみませんが、コンパクトにお願いできればと思います。

監護の分掌というタイトルが残った今となっては、ここ注目

○池田委員

 池田でございます。私からは2と3について意見を申し述べたいと思います。
 まず、裁判所が親権者指定をする際の考慮要素として、子の意思を明示的に規定するかどうかに関してです。父母の離婚に当たって、どちらかあるいは双方がどのように責任を負って自分を育ててくれるのかという重要な事項について、こどもが意思や心情を表明する機会を保障し、そして表明された意思、心情を関係者がしっかりと受け止めるということが重要であるというところは、異論がないところではないかと思っています。こうした考え方あるいは子供の権利条約第12条の締約国の義務を根拠としまして、既に手続法上は子が意思、心情を表明する機会を保障する仕組みがある程度整っているところだと思います。先ほど落合委員の、こどもの代理人ということを明記した方がいいのではないかという御意見がありましたけれども、それについても手続法上は、こどもがこうした事件類型について自ら手続に関与して、必要がある場合には代理人を付けるという制度が既にあるところではあります。
 しかしながら、こどもの意見表明権は、こどもが自分の意思や心情を表明する機会の保障という手続保障という意味合いだけで捉えるのでは十分ではないと思います。それをしっかりと受け止めて判断の際には考慮してもらえるという点も重要で、それは実体的な権利であると考えるべきではないかと思います。そうしますと、手続法上の規定では十分ではなくて、実体法、つまり民法に裁判所の考慮要素として、子の意思というものを何らかの形で明記していくという考え方になるのではないかと思います。
 他方で、そのように明記した場合の弊害についても検討する必要があると思います。親権者指定は、どちらかの一方を親権者としないという可能性もあるわけですから、水野委員がかねて御指摘のように、子に親を選ばせる負担を負わせるということになりかねないという弊害もやはり考えられるところです。そうしますと、仮に子の意思というものを何らかの形で考慮要素として明記していくにしても、子の意思という文言でいいのかどうか、いろいろなバリエーションがあるかと思いますし、子の意思や心情を聴いて受け止める場面、考慮していくべき場面というのはほかにもいろいろと考えられるところですので、それとのバランスをどう考えていくのかといった検討がなお必要かと思っております。
 仮に、懸念される弊害をなかなかクリアができず、裁判上の離婚の際の考慮事由としては規定できないという場合でも、後で申し上げる部会資料34-2について少し先行してコメントすることになるのですが、今申し上げたような弊害が考えにくい親子関係の基本的な規律の場面においては、また別の考え方もあり得るということは指摘しておきたいと思います。以上が2①です。
 それから、2②に関連して、6ページの囲みの(6)のところについて一言申し上げたいと思います。先ほど原田委員から御指摘があったところですけれども、「また」以下のところの趣旨としましては、共同親権が不適切なケースにおいて万が一にも共同親権を選択されないようにということを強調する形で、そのようなケースでは単独親権としなければならないという強い表現をしているということで理解しています。そのメッセージは非常に重要かなと思います。
 他方で、この書き方ですと、子の利益を害するとまではいえないとなれば共同親権が選択されるというようになりはしまいかと、そういう運用とならないかという懸念もあるところです。特に、補足説明を拝見しますと、婚姻中は共同親権なのだから、離婚時に単独親権とするというのは他方の親権を制限するということになるので、制限するにふさわしい事由がないといけないというふうな発想に立っているように思われましたので、その懸念というのは強く感じたところです。
 離婚後の親権の在り方を本当にゼロベースで考えるのであれば、そういう発想もあり得るかと思うのですけれども、ここでの議論というのは、戦後80年近くとられてきた離婚後単独親権制度というものを大転換して、離婚後も共同親権ということを可能にする制度を導入すべきかという議論ですから、どのような場合に共同親権の方がより子の利益に資するのかという方向で考えてきたのではないかと思いますので、このような議論の経過も大切にしたいと考えています。その意味では、いずれかを原則とするのではないということが誤解なく読み取れるような規定振り、飽くまで総合判断で裁判所が最も子の利益になる選択ができるような規定振りが望ましいと考えています。
 最後、少し長くなって恐縮です。3(1)について、先ほど原田委員から託されたところを一言申し上げて、終わりにしたいと思います。3(1)で、監護者指定を必須とするかどうかというところですけれども、日弁連の意見では、なお必須とすべきだという意見が非常に強いところです。ここも、申し上げると発想の違いということになるのかもしれません。共同親権で監護者を定めない場合でも、それぞれが日常の行為については単独でできるということになりますので、一定の程度、その監護が生活の安定に資する形で保障されるというか、要するに邪魔されることがないということは保障されていて、それを超えて、重要事項も一方が決定できるようにすべきだというのが監護者指定なわけですけれども、そこまで行く必要があるのか、そうではない場合もあり得るのではないか、当事者の話合いできちんとできるということもあり得るのではないかということは、確かに理解できるところです。
 ただ、先ほどの発想という点で申し上げますと、やはりこれまで離婚後単独親権ということがずっととられてきたと、そういう中で、それは当たり前だと考えてやってきた中で、そこを大きく変えようとするときに、監護者指定が任意だとすれば、やはり何もしなければそうなってしまうわけで、そちらが非常に多数派になると思うのですが、そうすると一定の混乱がやはり生じ得るのではないかと危惧されます。今の制度からの変化ということを考えた場合には、よりスムーズに子の養育が回っていくように、監護者指定で一方が基本的には身上監護について決められるという制度とセットアップで共同親権というシステムを導入するということもあっていいのではないかと考えているところです。
 以上です。長くなりまして、すみませんでした。
○大村部会長 ありがとうございます。池田委員からは2と3のそれぞれについて御意見を頂きました。2①について、子の意思ということを何らかの形で書き込んだ方がよいが、弊害を考えるという観点から文言等を工夫する必要があるというのが一つと、それから、仮にここでその弊害を考えて、これを書くのが難しいとしても、部会資料34-2の方はまた別途考えることができるのではないかという御指摘があったかと思います。それから、残りの2②の関係、先ほど原田委員が文言についておっしゃった、また以下の部分と、それから3(1)の監護者指定必須ということについて、基本的な御意見は、単独親権から共同親権へと変わっていくというこの制度の変化がスムーズに行われるような配慮が必要なのではないかという御意見として伺いたいと思います。ありがとうございます。

監護者指定しないが多数派ね、なるほど

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