法制審議会家族法制部会最新資料みる3~資料34ー1~親権者の指定の方法
心ある裁判官がいてもねぇ
支援機関なしなら自由面会交流が叶うのに
現実は厳しい
法改正に期待するが現状はこれ
でも資料は読んでおこう
昨日の続きから
親権者の指定に関してのところね
2 考慮事情の例示に「子の意思」を列記することを求める意見について
たたき台(2)第2の2⑹では、家庭裁判所が考慮すべき事情について「父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情」と記載している。この記載のうち「父母と子との関係」や「父と母との関係」が列記されているのは例示の趣旨であり、家庭裁判所が考慮すべき事情をこれらに限定する趣旨ではない。 この部分について、第32回会議では、「父母と子との関係」や「父と母との関係」に加えて「子の意思」を例示列記に加えることを求める意見があった一方で、この意見に対しては、「子の意思」を明示すると、親権者の定めに関する判断の責任を子に転嫁する結果となりかねないとして、反対意見も示された。 ところで、家庭裁判所が離婚後の親権者を定める際に、様々な考慮要素の一つとして、子の意思(意見・意向)についても適切な形で考慮すべきであることは、この部会において大きな異論はないものと思われる。現行法の下においても、上記1⑴のとおり、家庭裁判所が子の意思を考慮するための手続規定が設けられており、これらの規定は、家庭裁判所が離婚後の親権者を父母双方とするかその一方とするかを判断する際にも、適用されることとなると考えられる(なお、家事審判事件において子が意見表明をする方法としては、事実の調査の過程での陳述のほか、家事事件手続法第42条の利害関係参加をする方法があり得る。)。また、たたき台(2)で提示された文言との関係では、子の意思は「父母と子との関係」を認定する際の事情の一つであると整理することもでき、いずれにしても、子が親権者の定めに関して明確に意見を表明していることは「その他一切の事情」として考慮されることとなると考えられる。 その上で、個別具体的な事案において「子の意思」をどの程度重視するかは、子の年齢及び発達の程度のほか、その事案における事実関係や子が示した意見の内容等によっても様々であると考えられるが、上記反対意見は、「子の意思」が法律に明記されることとなると、裁判所が子の意思を過度に(一律に)重視することとなりかねないのではないかと懸念するものと思われる。また、家庭裁判所が子の意思を考慮することは現行法と変わらないとしても、「子の意思」が法律に明記されることにより、裁判手続に至る前の段階を含めた父母の行動に影響を及ぼしかねないのではないかとの観点 からの検討も必要となると思われる。 そうすると、「子の意思」を例示列記に加えるかどうかについては、裁判所が「子の意思」を考慮(尊重)すべきかどうかというレベルでの議論ではなく、これを法律に明記することで裁判手続やこれを前提とした父母の紛争にどのような影響が生ずるのかについて議論する必要があるように思われる。また、そのような議論の際には、現状の親権者の指定・変更に関する裁判実務において、「子の意思」を考慮するものとする旨の規定が現行民法に存在しないことによって具体的な不都合が生じているかどうかといった観点からの議論が有益であると考えられる。
3 判断枠組みに関する修正意見について
⑴ たたき台(2)第2の2⑹では、「父母の双方を親権者と定めることに より子の利益を害すると認められるときは、裁判所は、父母の一方を親権者と定めなければならない」ものとすることを提示していた。この規定は、父母双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるケースに適切に対応することができるようにする必要があるとの上記1⑵ のとおりの議論を踏まえたものである。その上で、たたき台(2)第2の2の注2では、「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害する」場合の例示として、重大な「マイナスの要素」を列記している(注)。 この部分について、第32回会議では、裁判所が父母双方を親権者と定めるための要件として「父母双方の合意があること」を必要とすることを求める意見や、「子の養育に関して父母が平穏にコミュニケーションをとれること」を要件とすることを求める意見などが示された。
⑵ これらの修正意見について検討するに当たり、離婚時の親権者の定めを身分関係の変動の内容という観点から改めて整理してみると、この場面における裁判所の判断は、父又は母に対して新たに親権を付与するかどうかを判断するものではなく、その双方が親権者であった従前の状態を継続するか、その一方の親権を制限する状態に変更するかという判断をするものと捉えることもできる。そして、民法において、親権者の親権を制限する方向での身分関係の変動を生じさせるためには、「子の利益を著しく害する」(同法第834条)、「子の利益を害する」(同法第834条 の2、第835条)、「やむを得ない事由がある」(同法第837条)などの一定の要件が必要とされている。部会のこれまでの議論においても、離婚後の親権者の定めについての考慮要素を検討するに当たっては、現行法の親権制限の諸規定の内容を踏まえた検討が必要であるとの意見があった。 このような身分関係の変動を子の立場からみると、自らの身上監護や財産管理に責任を持つ親権者が2人の状態であるという身分関係に変動を生じさせるかどうかという問題と捉えることができ、民法ではそのような身分関係の変動について子の利益の観点から判断することを求めていると考えられる。
⑶ また、第32回会議では、離婚時の親権者の定めについての父母の争い にはいくつかのバリエーションがあることを示唆する意見も示された。すなわち、離婚時の親権者の定めについて想定され得る主張としては、① 自己のみを単独の親権者とすることを求める主張(=他方の親権を制限することを求める主張)、②他方のみを単独の親権者とすることを求める主張(=自己の親権を辞することを求める主張)、③父母双方を親権者とすることを求める主張(=親権に関する身分関係に変動を生じさせないことを求める主張)が考えられる。 このうちの①や③の主張をする当事者は子の養育に責任をもって関わっていく態度を示していると考えられることから、父母双方が①の主張をしているケースや、その一方が①の主張をして他方が③の主張をして いるケースにおいて、裁判所が父母の一方のみを親権者とする旨の判断をすることは、子の養育に責任をもって関わる態度を示している者の親権を制限する旨の判断をするものと捉えることができる。 そして、父母の一方が①の主張をするケースの中には、当該父母の一方が子の養育に関して他の一方との共同関係の維持を強く拒絶するケースも想定される。部会のこれまでの議論の過程では、このような主張がされている場面を念頭に、共同関係の維持を当事者の意思に反して「強制」すべきではないとの意見があった。このような意見の背景には、離婚後の父母の間に子の養育に関して一定の信頼関係がなければ、父母双方を親権者とした場合に円滑に親権行使することが困難となり、子の利益に反する結果を招くのではないかとの懸念があると思われる。 このような意見を重視する立場からは、たたき台(2)第2の2⑹の規 律について、裁判所が父母双方を親権者と定めるための要件として「父母双方の合意があること」を必要とする旨の修正を求める意見が提示されている。このような修正をすると、父母の一方が①の主張をした際には家庭裁判所が父母双方を親権者と定めることが禁止されることとなり、結果的に一種の「拒否権」を父母の一方に付与する結果となる。 しかし、このような意見に対しては、父母の一方が①の主張をする理由には様々なものが考えられ、その主張を採用することが子の利益との関係で必ずしも適切であるとは限らないとの反論がある。部会のこれまでの議論においては、家庭裁判所は、一方当事者が①の主張をしていることのみをもって特定の判断をするのではなく、その主張の理由や背景事情を含めた様々な事情を総合的に考慮して、子の利益の観点からの判断をすべきであるとの指摘がされた。このような指摘を踏まえ、たたき台(2) 第2の2の注2においては、「親権者の定めについて父母の協議が調わない理由その他一切の事情」を考慮することとしている。 そこで、裁判所が父母双方を親権者と定めるための要件として「父母双 方の合意があること」を必要とする旨の修正を求める意見については、結果的に一種の「拒否権」を父母の一方に付与する結果となることを子の利益との関係でどのように正当化するかという観点から議論する必要があるように思われる。
⑷ このほか、第32回会議では、父母双方を親権者と定めるためには「子 の養育に関して父母が平穏にコミュニケーションをとれること」を要求すべき(又は「平穏にコミュニケーションをとれないこと」を「マイナスの要素」として列記すべき)であるとの意見も示された。この意見に関しては、たたき台(2)第2の2の注2の文言を前提としたとしても、家庭裁判所が「父母が共同して親権を行うことが困難であると認められる」かを判断する際には、子の養育に関して父母が平穏にコミュニケーションをとることができない事情の有無及び程度や、その事情に合理性が認められ得るかどうか等についても、「・・・親権者の定めについて父母の協議が調わない理由その他一切の事情」として考慮され得るとの指摘が考えられる。
(注) 第33回会議では、たたき台(2)第2の2⑹で提示された裁判所の判断枠組みについて、まず「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害する」事情があるか否かを判断し、これがあれば父母の一方を親権者として定め、これがない場合には裁判所が改めて子と父母との関係や父と母との関係を考慮した上で父母双方を親権者とするかその一方を親権者とするかを判断するという枠組みとすべきであるとの意見もあった。この意見は、「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害する」事情がない場合であっても裁判所が父母の一方のみを親権者と定める旨の判断をすることができるようにすることを求める意見であると理解することができるが、このような意見については、子の利益を害する事情がないにもかかわらず親権をめぐる身分関係に変動を生じさせることをどのように正当化するかについて、議論する必要があるように思われる。
なお、このような意見に関して、たたき台(2)第2の2の注2に列記された事情は飽くまでも「マイナスの要素」のうち重大なものを例示したものに過ぎないため、「父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害する」と認められるかどうかは、注2に例示された事情の有無のみで判断されるのではなく、父母と子との関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮して判断されることとなるとの指摘があり得る。
↑ブラックボックス?というより、ちゃんと議論している気がする!
骨抜きだ~といって単に批判するのともまた違って
期待してしまう!!
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