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法制審議会家族法制部会第2回議事録2~ヒアリング光本参考人

下書き用意したのは数日前で、今日は、ラーメンかチャーハンか、Aセットにしか杏仁豆腐がつかないことの問題について思考実験中だけど、議事録を読み進めていこう


さあ本題です!光本参考人のヒアリングだけで、6000字超え

あ、一般子育て世代の有識者の立場、というカテゴリーもあったのね

○藤田幹事 本日の進行について簡単に御説明いたします。

 本日,参考人として合計9名の方にお越しいただいており,それぞれのお立場から各15分程度でお話を頂く予定にしてございます。
 順番の都合で大きく三つのグループに分けて実施したいと考えております。最初に,親の離婚を経験したお子様の立場と,子育て世代の一般有識者の立場,そういった方々から4名の方に,参考人として御発言いただき,質疑応答をお願いしたいと思っております。
 続いて,二つ目のグループとして,監護親の立場,それから,DV被害の問題に支援の立場で関わっておられる方,そのお二方についての御発言と質疑応答をお願いしたいと思います。
 最後に第3グループとして,非監護親の立場,それから,当事者支援の立場で関わっているFPIC様からお話を頂くということで,順次お願いしたいと思います。
 また,今日の部会に時間の都合等でお越しいただけない方がおられますので,今回のヒアリングとは別に,次回に改めまして,ひとり親支援の立場の方,親子問題の相談支援や紛争解決に当たっておられる方自治体での支援の立場,そういった方々からのヒアリングについても更に行うことを予定してございます。
 全体の進行についての説明は以上です。
○大村部会長 以上のような形で進めさせていただこうと思いますけれども,よろしゅうございますでしょうか。
  ありがとうございます。それでは早速,ヒアリングに入りたいと思います。第1のグループということでお話を伺っていきたいと思います。

最初に,参考人の光本様に御説明を頂きたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。


○光本参考人 はじめまして,NPO法人ウィーズ,理事長の光本と申します。親の離婚を始め家庭環境に悩む子どもの支援ということで,10年ほど関わっております。日頃から子どものことを考えた法制度,支援の在り方について議論をしてくださり,ありがとうございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 私も中学2年のときに親の離婚を経験いたしました。家庭の中に暴言や物が飛び交う状況というのは,今でも鮮明に思い出すことができます。当時,私の父,母は,自分のそれまでの経験や考え方に固執していたのかなと思うのですけれども,自分の立場と価値観を越えて相手の意見に耳を傾けるということがどちらも全くできなかったのかなというふうに子どもの立場から見ております。だから離婚をしたと私は思っております。
 今日この場には,子どもに対する様々なお立場の方がいらっしゃるかと思います。お父さんの立場の方,お母さんの立場の方,研究や調査,支援をされている先生方,親の離婚という状況下にある子どもの気持ちに目を向け,立場を越えて議論がされているということは,あのような父母の争いに心を痛める子どもたちを減らしていく一歩と感じ,大変うれしく思っております。
 本日は,子どもの視点から離婚制度や親子に関する法制度,支援について意見をということで御指示を頂いております。私どもウィーズでは昨年,1,800人を超える子どもたちのLINE相談に対応してきましたが,そこには一つとして同じケースはありませんでした。それぞれ似たような状況でも,子どもによって感じ方も異なります。第三者として話を聴いて,ひどい虐待を受けられたのだなと思っても,その虐待をした親と一緒に暮らしたいという発言をする子もいらっしゃいました。そのため,子どもの声から,これが全ての子どもにとって最善の制度だという共通解を出すことは難しいかもしれません。しかし,親の離婚がその子どもの心にどのような影を落とす可能性があるのかという私たちの考えが御議論の参考になればと思います。
 親の離婚の子どもの養育制度というと,養育費と面会交流が大きく出てくることが多いですが,私自身は別居することになった母から養育費を受け取ってはおりませんでした。父が母との一切の関わりを絶つことを離婚のときに決めていたからです。けれども,私は母には会いたい気持ちがありました。しかし,父も父親側の親族も母のことを憎んでおりました。あいつのせいで,と悪口をさんざん言っておりましたし,私がお母さんに会いたいということを言えば暮らしの場がたちまち大炎上してしまうということは,子どもの目から見ても明らかなものでした。
 会いたいという気持ちは,父といるのが嫌だからとか,寂しいとか,そういう気持ちはなかったように思います。どちらの御夫婦も,離婚をするとなれば負の感情がぶつかって,どたばたするものかなと思います。我が家もそうでした。母と別れるそのとき,母の顔もきちんと見られずに,話すこともできないまま,私たちは家を出ることになりました。だから,今回の離婚について,母の言い分や気持ち,そういったものもきちんと知りたいし,お互いに笑顔で,またねと言えたら,私の中でも踏ん切りが付くのになというのが,私の母親に会いたい最大の理由でした。
 親の離婚でしんどかったのには四つの理由がありました。一つには,一緒に暮らす親たちの表情を見て,自分の気持ちを抑えなければいけないこと,二つ目に,自分の親の悪口を聞くこと,三つ目に,生きる環境が変わること,そして四つ目はお金のことです。これらは,支援活動で子どもたちの声を聴いていても共通しています。日本には,これら子どものしんどさに寄り添う制度,支援がありません。子どもの頃欲しかったもの,子どもたちが必要としているものを柱として支援を行いたいと考え,現在に至っております。
 御参考までに,親権についてですが,こちらは私たちが接するほとんどの子どもが,どっちみち離婚するのならどうでもいいと表現します。親の争いが終わるなら親権はパパにしてくれて構わない,でも学校が替わるのは困るから,住むところはママにしてほしいと言った中学生がおりました。また,共同親権で面会交流が強制されていたら別居親のことをもっと嫌いになっていたかもしれないと語り,現在,別居親との交流を重ねようとしている学生さんもおりました。
 親の離婚を経験しながら成長した20代,30代の方からの声も気になるところです。自分も自分の親と同じように離婚をしてしまう気がする今更ながら親の離婚の傷を消化できていないことを実感したという相談が本当に多いです。自身が結婚するときに結婚式に片親を呼べないもどかしさに直面したり,結婚をして相手の家族との違いに気付いたり,子どもを授かり子育てに悩んだりするのがきっかけになることが多いようです。
 親の離婚による負の連鎖というのは確実にあると感じています。子どもの頃には離れて暮らす親のことは嫌いで,気にもしていなかった,親の離婚をそこまでマイナスに思ったことはなかったと言いますが,離れて暮らす親になぜそのような気持ちを抱えていたのか,両親の離婚の理由は何だったのかと聴くと,なぜなのかはっきりと分からないと言います。きちんと向き合う機会を持たないまま育った結果,次の世代を長く苦しめてしまう場合があることを,親を含めた大人は知っておかなければならないと思います。
 親の離婚によるしんどさを長く感じ続けるか否かというのには,二つの要素が大きく関係しています。一つは,きちんと両親の離婚の理由を父母間の問題として,子どものせいではないということを子どもが理解できているかということ。もう一つは,親の存在や親が離婚していることが自己否定につながっていないかということです。このことは今日の話のテーマからそれてしまいますので,詳しくお話しすることはできません。しかし,子どもへの離婚の説明,子どもが親の離婚を消化することを妨げないことについては,法的手続を行う親御さんがその後に向き合っていくべき課題になりますので,少し触れさせていただきました。
 親の離婚をどう捉えて悩んでいるかということにかかわらず,自分のせいだと思い込んでいた,誰に話しても分かってもらえなかったし,こんなことを考える自分は間違っていると思っていたという子どもが多くおります。子どもたちが親の離婚を乗り越えるために,第三者のサポートがあること,そして,そのような情報が必要なときに手に入る仕組みは必要になってくると感じます。
 私たちは無料の面会交流支援というのも行っておりますので,様々な親御さんのお話も伺っております。裁判所を通じて離婚の話合いをしている御両親は勝ち負けの思考に陥ってしまっているように思います。相手の主張が間違っていて,自分の主張がいかに正しいかということを調停委員や調査官に伝える作業を繰り返すわけなので,それもやむを得ないかとも感じますが,これは子どものためにはならないと思います。子どもたちは両親が争うことに本当に心を痛めています。離婚してほしいと言う子どももいますが,聴けば,けんかを見るのが嫌だからと言います。争いを助長したり長引かせたりする制度というのはなくさなければなりませんし,親の離婚で傷付く子どもに更なる負担感を与えることも避けなければなりません
 子どもからの相談でも,このような声がありました。裁判に勝ったといって親は喜んでいたけれども,離婚してほしくないという私の思いはかなわなかったし,どうしたいか,どうなってほしいかと聴かれることもなかった私の希望がかなえられないことについて謝ってくれることもなかったし,決められたことを受け入れるしかなかったという声です。
 また,当事者の御両親間では,離婚理由についてDV,モラハラや,ある日突然,一方の親が子どもを連れて家を出る連れ去りという言葉が使われているのをよく耳にします。両親それぞれの捉え方も異なり,係争の種となる,子どもにとっては怖いワードです。それらに直面する親のつらさや恐怖は理解しますが,子どもの視点で見てということであれば,DV,モラハラや連れ去りというのは,どちらも片方の親を否定するだけの言葉です。子どもにとってはどんな親でも自分のルーツです。親を否定されることは自分の存在を否定されるのと同じで,長く心をざわつかせることになります。
 それを考えたとき,父,母がなぜそのような行動をとったのかというところに,私たちがやらなければならない支援や制度のヒントが隠れているように思います。私の父親にも暴力がありましたが,彼の立場を今考えれば,やるせなさや怒りを感じていたことは十分に理解をできます。それらを受け止めてもらえる場所は必要だっただろうと思いますし,それは母も同様だっただろうと感じます。それぞれの御両親にとっても,子どもを授かるまでに至った経緯を考えれば,離婚は自らの過去の選択の否定にもなります。御両親が,あのとき結婚しなければと思い続けることが,そのまま子どもの,私は生まれなければよかった,につながってしまっています。
 終わりに近付いてきましたので,ここで面会交流と養育費について再度,触れたいと思います。まず,面会交流に関してですが,葛藤の強い両親間の面会交流実施に第三者機関を利用するということは,親同士が顔を合わせたり連絡を取ったりせずに済むという親側のメリットで表現されがちです。しかし,子どもは,先ほど述べたように,両親が争うこと,自分の親が否定されたことを負の影響として抱えてしまいます。親の負の感情を子どもに見せないため,早期に面会交流を実現するためという子ども側の理由で,第三者機関は利用されるべきと思います。
 親子の時間に第三者が入ることは,それだけで子どもに,自分の家庭は普通ではない,第三者が入るのは自分の親がおかしいからだと否定的に感じさせる要素になってしまいます。子どもに負担のないよう配慮した支援を行える機関が裁判所などの関係機関と連携をする必要があると感じます。そして,両親が勝ち負けの思考から脱し,憎しみも怒りも手放して,離婚後の親としての協力関係を構築することが求められると思います。そして,そのことへのサポート体制が整うことが理想と考えます。
 養育費についても,さんざん争った上で嫌々支払われたり,それを生活の支配の道具に使われたりするのであれば,月500円,1,000円でもいいと表現した子が何人かおりました。物理的にもお金がある方がいいとは思いますが,子どもから見ると捉え方が少し違うことがあります。
 離婚を選択した両親それぞれにお話を聴くと,子どものことを一番に考えたいとどちらもおっしゃいます。しかし,子どもたちは,親や大人は子どものことを何も考えてくれていないと言います。この擦れ違いは,父,母,子のそれぞれに理想の家族像があるのに,その家族が離婚という結末をたどってしまうことの喪失感を乗り越えられていないことに起因しています。喪失を乗り越えるためには,まず,それぞれの思いが丁寧に聴かれること,家族に起きた事実を確認することが必要です。支援機関では丁寧に聴くことを,法的機関では事実を確認することを担うことができると思います。それぞれの役割や連携がなされていないと,明確な線引きができずに,当事者である両親を混乱させ,負の感情を高めてしまうだけのように思います。それが今,子どもの思いと反していることです。
 また,離婚が増えると再婚も増えます。家族がステップアップしたり形が変わったりするときに顕在化しがちな問題を親を含めた大人が早い段階で知ることが,子どもが望む家族の在り方を守る上で必要なのではないでしょうか。
 最後に,補足をさせてください。子どもの立場としては,離婚がない方がもちろんいいものの,絶対悪ではないとも思っています。私は両親が離婚をしたことを,これでよかったと思っています。冒頭では,父母ともに自分が全てだったということを述べましたし,私が子どもの立場で感じたことは変わることはありませんが,今は両親に心から感謝をしております。周りにいてくれた人たちのお陰もあって,両親も両親なりに子どものことを考えようとしていたことを理解できました。そして,自分の人生の主導権が自分にあることを理解することができたからです。
 両親の子どもを思う気持ちが真っすぐに子どもに届き,子どもが両親の離婚による負の影響を感じることなく自分の人生を歩んでいけるような制度や支援が必要と考えます。子どもの数だけ,その気持ちを表す声があり,それぞれに異なる事情があります。そうした事例をたくさん御紹介したいのですが,今日はここまでとさせていただきます。お手元に一部のケースを紹介した書面が渡っているかと思いますので,お目通しを頂ければ幸いです。
 本日は御清聴いただきましてありがとうございました。
○大村部会長 どうもありがとうございました。
 委員,幹事から御質問等もあろうかと思いますけれども,まず参考人の方々のお話を伺った上で,質疑応答は後でまとめさせていただきたいと思います。

光本参考人のメッセージがとてもよく突き刺さる いいこと言っている!


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