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法制審議会家族法制部会第31回会議議事録読む7~赤石委員・北村幹事・原田委員・柿本委員

Coそだて研究がライフワーク化

昨日マガジン追加したの

あの当時も気にしてたけど、改めて世間が問題を覚え始めている

共同親権が日々話題に

行動力は敵わない

そんなときに出会う頼もしい先生の発信

いろいろ研ぎ澄まされてるよ

運よく、心ある法曹と出会うこともあるおかげで楽観してる

さて、議事録読もう

○赤石委員 

ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。何点かあるのですが、一応まず養育費のところでお話ししたいと思います。
 先ほどから法定養育費のところでいろいろ議論がありました。遊興費のところで、重ねて言うほどでもないのですけれども、やはりいろいろな福祉受給者に対する差別的な発言がこの10年、20年あったのと、どうしても少しリンクするような書きぶりだったかなと思っております。生活保護受給者はパチンコに行っているのだろうみたいな、それを連想させてしまうのはやはり少しよろしくないのかなと思います。
 法定養育費、ここが決まることは大変歓迎しております。その額についてはいろいろな議論があるのですけれども、この間、自治体で離婚時に何か算定式があるといいですねというような話もしましたが、なかなか難しいのかな、取り入れられてはいないというのは残念ではあるのですけれども、決まっていくことは歓迎します。とはいえ、ここで少し後段のところが気になるところがあります。支払能力を欠くためにその支払をすることができず、またその支払をすることによってその生活が著しく窮迫する、括弧で、ことを証明したとなっていますけれども、ときはこの限りではない、これはどのように規定するのかというのは、条文はこのままなのかもしれないのですが、これを実行するときに一体どうなるのだろうと少し気になりました。
 やはり養育費、部会資料30-2の方の資料でも、窮迫することを気にしているというようなことが書かれていたのですが、一方でこの間の議論で私は、お父さんの方が養育費を払いたくないがために仕事を辞めてしまうというような事例がありますというのは言ったつもりです。相談者さんの中にもそういう方がいらっしゃるので、少しそこはバランスを持って見ていただきたいと思います。養育費を払わないために仕事を辞めるというのは、合理的な行動ではないと私は思いますけれども、実際にはいらっしゃいますということをお伝えしておきます。
 その上で、一体どういうふうにして生活が著しく窮迫するといったことを規定するのかというのが、とても困難ではないのかなと思いました。例えば、今、同居親の方のひとり親の相対的な貧困率というのは44.5%となっております。相対的な貧困率のラインというのは、ここは大石委員の方が全然お詳しいと思うのですが、生活保護ラインとそれほど掛け離れていないといわれております。もし困窮するというラインを何か引くのであれば、日本では生活保護の基準しかないと思うのですけれども、それ以下になったら払わなくていいですよねというふうなことになるのか、でも、それ以下で暮らされている方がほぼ44.5%もいるときに、そこで免除してしまうのでしょうかというのが少し分からない。やはりこどもに養育費を払うということは、非監護者にとっても誇りにもなる、また自己肯定感が上がることでもあると思いますので、少額でも払っていくという方向の方が私はいいと思いますし、生活保持義務というのは、自分の方が苦しくなっても、やはり同等の生活保持をするという義務だと聞いておりますので、この規定がどう機能するのかというのが非常に心配なので、私はこの規定はなくてもいいのではないかと思います。ひとり親の方がいろいろなことを書いてきてくださるのですけれども、法律は弱い者を守るためにあるはずです、その当たり前がかなう世の中になってほしいというふうに私たちに託している方がいらっしゃいます。
 もう一つ、養育費の請求権者のことでございます。先ほど大石委員も少しおっしゃっていたのですけれども、今、子の養育を主として行う者、子と同居する者というふうな書きぶりで養育費の請求権者が定められています。部会資料30-1でいうと4ページの(注1)のところでございます。監護者指定している場合には、監護者が同居者側、請求権者となるということも想定できます。親権者、監護者、そして子の養育を主として行う者と、4層ですよね、父母というのがあって、親権者があって、監護者があって、更に子の養育を主として行う者と、この4層というのが本当にいいのかどうか自信がないわけですけれども、少しそれは置いておいて、その場合に、例えば同居親と非同居親の養育時間の分担があって、9対1とか8対2とか、一体それをどういうふうに計るのかという問題もありますけれども、5対5というのもないわけではないだろう等々のときに、子の監護をする費用を、その割合によって減るとか、そういうことを想定しておられるのかどうかということを、御説明のときにも少し聞いたのですけれども、5対5なら払わないということもあり得るようなお話だったかと思うのですけれども、その辺りがどうなるのかというのが少し不安がよぎりました。
 オーストラリアでは、私が聞いているところですと、やはり養育費の支払を回避するために養育の時間の割合を増やすというような親が出てきたり、それが果たして子の利益になるのかといった問題がございます。ですので、こういう解釈になるのは反対であるということを申し上げたいと思います。
 あと、ごめんなさい、言うのを忘れていました。法定養育費は、当然これは離婚時に適用するのですが、婚外子、非嫡出子の認知によるときにも同じようになるのかどうかというのも少し気になるところなので、お答えいただければと思います。
 あと、やはり債務名義が発するというのはとても素晴らしいし、今、年間で20万組ぐらいの離婚のうち有子離婚、未成年のこどもがいる離婚が10何万組で、その方たちに全て法定養育費が付与されるというイメージでよいのですかね。違うと北村幹事が目でおっしゃっているので、後で教えていただければと思うのですけれども、法定養育費を発生する、いろいろ条件があるので違うのかな、その方が大量に発生するとすれば、随分世の中の見え方は確かに変わる、これがうまく機能するところに私たちでさせるには、やはり取立てについての何らかの支援がないといけないと思っていて、そこがやはりこのたたき台の中には明示的でないのは残念に思うということだけ言っておきたいと思います。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。うまく整理できるかどうか分からないのですが、遊興費等をめぐる文言については、追加で御意見を伺ったということでお聞きしておきたいと思います。その上で、法定養育費に関して、法定養育費の4ページの2のただし書の部分、支払をすることができず、又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫するという部分について、特にこの窮迫をするという部分についてはどのように判断するのか、どのように認定するのか難しいのではないか、あるいは窮迫のラインの設定についてはどうなのかということで、窮迫に関しては、養育費を払いたくないから仕事を辞めるというケースもある、これは先ほどの大石委員からの御発言の中でもあったと思いますが、そうしたことも踏まえて考える必要があり、当然に免除するのではなく、少額でもいいから払わせていくということが重要ではないかという、これは御意見であったかと思います。それから、養育費の請求権者に関しては、特に養育時間の分担をするような場合に、それによって養育費の、ここでいうのは恐らく法定養育費の額について、連動して変わってくるのか、必ずしも当然に連動するべきではないという御意見も含んでいたのかと思いますが、そうした御発言であったかと思います。それから、認知の場合について考えられる養育費についてもこの規定は射程に含まれることになるのかといったこと、これは事務当局からお答えをいただければと思いますが、そうした御発言があったかと思います。なお、途中やり取りがありましたが、法定養育費というのは当然に全部の場面で発生するわけではなくて、基本的に離婚に際して子の監護に関する費用、養育に関する費用について協議が得られれば、むしろここで協議が得られてというものが一番望ましいと考えられるのですが、そうした場合であれば、法定養育費には移行しない、ということになるのだろうと思います。
○赤石委員 ありがとうございます。しかし、協議離婚は9割ですので、かなりの割合になるということかと思いますが。
○窪田部会長代理 その協議離婚の中で。
○赤石委員 公正証書というような選択肢もあるとはいえ。
○窪田部会長代理 では、それは事務当局から御説明いただければと思います。先ほどの点も含めて、御説明いただけますでしょうか。

働いたら負け、みたいな雰囲気をやめることだよね
働き稼ぐことは喜びになるようにして
親子共に豊かな時間を育んでいくような仕掛けづくりよ

○北村幹事

 事務当局でございます。今、部会長代理におまとめいただきましたように、法定養育費については飽くまでも父母が養育費についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合に対応するための仕組みとして、補足的なものとして御議論いただいているものと認識しております。協議上の離婚の際に養育費についての定めができている場合には、その定めができていれば、第3の1(1)の規律によって、相当な額の定め方については、先ほど沖野委員から御質問があったところでありますけれども、その相当な額の範囲については先取特権を付与するということを想定しております。
 この相当な額については法定養育費よりも高い額を想定しておりまして、なぜこのような金額を置いているのかと申しますと、月々100万円の養育費を定めるような人は公正証書を交わしていただく、あるいは裁判所で定めていただければいいのでしょうけれども、先取特権を付与する範囲をどのように設定するかについては、この部会の中で様々な御意見があったところですので、一般的な養育費の金額にキャップをはめるような形で先取特権を与えることを提示しております。そうすることによって、養育費の合意ができている方については一定額について先取特権が付与されてそれを行使することとなる、合意ができなかったケースについては法定養育費が発生するということになろうかと思います。
 養育時間の話について、養育の分担についてのお話がありました。5対5にすると法定養育費の額が変わるのか、それともゼロになるのかというお話でしたけれども、監護の分担について取決めができる人たちについて、養育費が一切決まらないというのが通常想定されるのかどうか、普通は合意ができるからそういうことが決まっているか、裁判所の審判で決まっているのだと思います。赤石委員が、今、首を振られて、養育費の取決めをせずに監護の分担の部分だけ無理やり合意させられたという御意見なのかもしれませんけれども、養育費の合意ができていない場合には、子の養育を主として行う者が法定養育費の請求をすることができることになります。そして、社会保障との関係でどうなるのかというと、それぞれの社会保障の中でその趣旨に照らして、誰が請求することができるのかを含め、それぞれの法律の中で実態を見て決めるものと理解しております。
 認知の点につきましては、まずは離婚した父母間について御議論いただいた上で、御意見があれば、ぜひ頂ければと思っております。
○窪田部会長代理 どうもありがとうございました。それでは、今手が挙がっているのが原田委員、柿本委員、武田委員、池田委員、落合委員ですね。せかすわけではないのですが、今日できたら第7まで一通り見たいと思いますので、この順番で御発言いただきますが、できるだけコンパクトに御発言を頂けますでしょうか。頼りない司会者ですので、助けると思って、そのようにお願いできればと思います。
 それでは、見本ということで、原田委員、どうぞよろしくお願いいたします。

法定養育費制度実際はそう利用ないのかもね

○原田委員

 いつも長く発言しているので、何かプレッシャーが掛かりましたけれども。まず、養育費について、先取特権が認められる範囲は法定養育費よりも高いことを考えているとお話がありましたけれども、先ほど先取特権が認められる範囲と法定養育費の範囲についてのバランスの御発言がありましたので、少し私も懸念を持って、発言しようと思ったところですが、先ほどの事務当局の御説明でよければ、それでいいと思いますが、ただ、先ほどお話がありました破産法との関係で、弁護士会の中で議論したときも、一般先取特権は破産法では優先債権になっているけれども、養育費は非免責債権になっているので、これはどういう関係になるのかとか、そのほかも、法定養育費がある場合に、それは誰が請求するのかとか、義務者の代理人なのか、管財人なのかとか、あるいは権利者の代理人なのか、管財人なのかというような、いろいろな問題が生じるということで少し疑問が出ておりましたので、そこの整理が必要ではないかと思います。
 それから、第3の3の情報開示についてなのですけれども、これは、例えば部会資料30-2の20ページを見ますと、限定された事件類型の審判、調停となっているのですけれども、離婚調停とか訴訟は入らない趣旨なのか、わざわざ入れていないのか、いや、それも入るだろうと思っているのですけれども、そこはどうなのかと、これは財産分与についてもいえると思いますので、そこはどうお考えかをお聞きしたいと思いました。
 それから、第4の親子交流のところで、促すというのはどういう法的効果を持つのかということがやはり私たちの間でも疑問が出されていて、面会交流原則実施論のときには本当に促されて、それに戻るおそれがあるのではないかという懸念が出されています。それを防ぐためには今、ニュートラル・フラットといわれている面会交流の運営モデルで求められている要素、これを条文上全部入れるというのは難しいかと思いますけれども、この立法趣旨、説明の中に、子の心身に有害なということだけではなくて、同居親、別居親との関係をいろいろ、五つか六つぐらい関係が挙げられているので、それを入れる必要があるのではないかと思います。
 先ほどの議論との関係で、こどもが両親から愛情を受けて育つことが理想であることは、確かにこの部会でも異論がなく、私も賛成です。でも、それが共同親権でないと駄目なのかというところが問題で、今行われている面会交流の調停や審判では、親権者でない人、監護権者でない人が子と面会交流をするのにどうしたらいいかということが議論されていて、そのときに、あなたは親権者でも監護権者でもないから面会交流できませんなんて話は全くないわけです。そこを原則としてみんなが同意できることと、共同親権に同意するかということは別のことではないかと私は考えております。
 養子はまた別ですね。以上です。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。原田委員からもたくさん御意見を伺いましたけれども、一つは破産手続における養育費の関係ということについて、いろいろな点で疑義が残っているので整理が必要ではないかということ、それと、これは事務当局に対する御質問ということになろうと思いますが、情報開示に関しては離婚訴訟や調停というのが含まれていないけれども、それでよいのかという御質問、それから親子交流に関しては、促すということがどのような意味を持つのかということで、この扱いによっては面会交流原則実施論に戻ってしまいかねないという部分があるので、ニュートラル・フラットの基準というのを取り込む必要性があるのではないか、といったような形で御意見を伺ったかと思います。今御質問があった情報開示の部分については、事務当局からお答えいただけますでしょうか。
○北村幹事 今御質問いただきました点については、引き続きこちらの方でも検討したいと思います。

共同養育異論なし

○柿本委員

 主婦連合会の柿本でございます。私からは3点、まず、最初に部会資料30-2の19ページ、「自らの遊興費など」の書きぶりについてですが、落合委員がおっしゃったところに私も賛成でございます。そもそもこどもの福祉というのは、やはり父母が幸せでなければこどもも幸せになり得ませんので、ここの表現は変更すべきと考えます。
 それと、資料の30-1の法定養育費のところでございますが、私もこのシステムを作ることについては賛成でございます。そもそも、赤石委員もおっしゃいましたけれども、シングルマザーの置かれている困窮の現状を救うために、が出発点だったかと思います。成立を望みます。それで、算定方式などについては議論を尽くした上で決めていくべきだと考えます。
 そして、3点目は、支払能力を欠くと判断された場合の手当てを並行して考えておくべきだと思います。立替えシステムですとか、公的な取立てシステムなどを考えるべきではないのか?というのが私の疑問でございます。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。2点御発言を頂きました。一つは、先ほどから問題になっている遊興といったような言葉が出てくる部分について、落合委員からの発言と同じで、親も併せて幸せになるべきだといった部分について賛成だという御発言であったかと思います。そして、法定養育費に関しては、この仕組み自体については賛成だという御意見を伺った上で、支払能力を欠く場合の手当てとしては、例えば立替えであるとか取立てであるとか、そうしたことを整備する必要もあるのではないか、考えられないのかという御意見、御質問を含んだものであったかと思います。この点については、事務当局から何か御発言を頂くが必要がありますか。

幸せな親の幸せな子育てが子を幸せにするのよね

○北村幹事

 従前のとおり、その点につきましては民事基本法制の範囲を超える部分がございますので、御意見としては承りつつ、まずは民事基本法制の枠組みの中で、この部会でできることを御議論いただきましたらと思っております。

養育費立替制度は別論ね

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