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法制審議会家族法制部会ウォッチ6(大山委員と柿本委員と水野委員)

改めまして,ストックしていた議事録読んでウォッチの続き

ここから,ドカンとはじまるよー

○大山委員

大山でございます。初めに,この部会に参画させていただいております私の立ち位置についてお話しさせていただきたいと思います。経団連の肩書で参加をさせていただいておりますが,このテーマで経済界を代表して意見を申し上げるということではなく,企業の現場に近い者という立場から,私自身子育て世代のど真ん中におりますので,そういった世代や周りの方々の経験や,私もアメリカに駐在しておりましたので,そのときに感じた世界から見た日本社会に対する見方などを共有させていただき,ご専門の先生方からもいろいろと教えていただきながら,議論に貢献できたらと思っております。
その上で,今後の検討に当たって,視点を3点ほどお話しさせていただきたいと思います。
 一つ目は,少し大きな話にはなりますが,この問題について検討するに当たって,今後,日本はどういう社会が望ましいのかというところからバックキャストして考える,そういった視点もやはり欠かせないのではないかと考えております。例えば,経済界からすれば,正に先ほど来お話がございますが,価値観が多様化する中で,日本経済の活力の源泉として,多様な人材の活躍や,ダイバーシティ・インクルージョンを推進してございますけれども,ミクロで考えれば,一人一人の家族の在り方,考え方というのも多様化しており,そういった中で家族の在り方を考えるということは,経済活動を支える一人一人の働き方,生き方に直結する話だと思っております。そういった中で,社会の在るべき姿として,やはりそれぞれの課題に直面したときに選択肢をどれだけ多く提供できるかというところが重要な視点になってくると日頃から感じております。
 そういった意味では,例えば,法務省さんの調査にもございましたけれども,離婚後に多くのケースにおいて女性がシングルマザーとして育児の負担を負って,社会進出にあたっていろいろな阻害要因に直面しているということも考えられますので,そういったところから法的手当て,そして政策的支援が必要になると思っております。
 二つ目は,諸外国との比較という観点です。海外と比較して著しく不合理な実態や,あるいは海外から見て国内の制度が不自然に映るということがあれば,海外から日本に来て働く人材の獲得や,競争力の確保にも支障が出てくるといった観点も踏まえなければならないと思っております。私がアメリカにいたときも,ちょうどハーグ条約の議論がすごく盛んなときで,世界から日本がどう見られているかというところも肌で感じておりましたが,そういった婚姻をめぐる価値観の多様化も踏まえた視点も必要と思います。
 それから,三つ目は,先ほど来,皆様より御指摘ございますけれども,正に忘れてならない視点が子の利益,子どもたちの自由な意思表示や選択の機会の確保だと思います。正に親の離婚に伴って,経済的な理由から,子どもが貧困に陥ることや,学習や社会進出の機会が失われるようなことがあってはいけないと思っております。そういった意味でも,経済的手当てをどれだけ法的な枠組みで手当てできるのか,また,それにプラスして,政策的にもどういう観点が必要か,さらに,そういった仕組みがあっても,先ほど御説明にもございましたように,知られていないという実態もあると思いますので,そういった広報の観点も含めて検討が必要と思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大村部会長 ありがとうございます。私たちの社会観との関係で考えるべきだという大きな観点から,御意見などを頂きました。

経済界の観点から,そして,国際的観点から頼もしいご意見!!

キーワードは多様性!!

○柿本委員

柿本でございます。いろいろ御意見を聞かせていただく中で,私も落合先生の御意見と同じでございます。子どもの養育について当事者間だけの問題にしないで,子どもはやはり社会全体で育てていきたいと考えております。そして,養育費不払いの解消の方法など,子の利益を中心に考えていきたいと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。子育てを誰が担うかということで,社会や国家という観点も重要であろうという御指摘などを頂きました。

さて,短いけど主婦連より
ここもアンコンシャスバイアス入っちゃう自分に反省 今後に注目

さあここから,ドカンドカンだよー

○水野委員

この問題が非常に難しくなっておりますのは,協議離婚の問題が根本にあるのだと思います。落合先生が西洋法的な観点ばかりではといわれましたが,協議離婚という制度は近代法的に,西洋民法的に考えますと,非常に非常識な制度なのです。このことをやはり前提として考えて自覚しておきたいと思います。明治民法ができたのは,まだ江戸時代の延長線上で,家業として自営業を営む家が主体の社会で,地域共同体や大家族による,言わば群れによる育児が存在していた時代でした。そして,明治民法は,すべてが裁判離婚という面倒な西洋法の離婚法ではなくて,家のメンバーのやり取りとして家同士の合意だけで成立し,公的機関が全く関与しない協議離婚を立法したわけです。戦後の改正は,その極端な,家の私的自治を,当事者の私的自治に横滑りさせただけの改正でした。
 でも,日本の社会はもうすっかり変わってしまいまして,そういう群れによる育児という安全弁が失われて久しくなりました。孤立した家庭の中で,例えば暴力がありますと,とても危険な状態になっています。
 父母の離婚は子どもに重大な影響を及ぼすものですから,特に協議離婚の場面において父母に任せ切りにさせているという状況について,やはり何らかの見直しに向けた検討が必要であろうと思います。家族法が最も考慮すべきなのは,子どもの利益ですし,離婚時には離婚後の子育てのことを制度的に配慮することが必要なのではないでしょうか。欧米では基本的に皆,裁判離婚ですので,離婚が成立する段階で公的な監督下で養育費も全て決まっていることになりますけれども,日本はそうなっておりません。養育費を決めてその債務名義を取ること自体が,当事者の非常に大きな負担になっています。
 ただ,日本の家裁の体制で,西洋並みに全てを裁判離婚にするという解決は現実的ではありません。例えば,ひとつのアイデアですが,養育費はもう一律の金額で自動的に具体化してしまって,強制執行まで可能にするという方向性も,日本の改正法の方向としては十分に考えられるように私は思います。それから,養育費の強制執行も子どもの生活の重要な権利であることを考えますと,強制執行をしやすくするために,国家が強力にサポートするというのも許されることだろうと思っております。
 一方,面会交流なのですけれども,こちらは更に難しさがあります。背景には,家庭内に暴力があるときには,本当なら婚姻中から社会が介入する必要がありますのに,日本は残念ながら,それができていないという問題です。フランスとの比較で言いますと,フランスの少年事件判事は年間9万件以上,約10万件の親権制限判決を書いております。そして,そういう少年事件判事を大体9,000人以上の専門職がサポートしているという体制です。国民数がフランスの倍の規模の日本では,親権喪失も親権停止も,どちらも100件に満たない,二桁の数しか下されておりません。こういう子どもの保護がないところで,ただ離婚後共同親権にしてしまうのは,危険が大きすぎるように思います。同時に,少なくとも子どもの利益の観点からも,子どもの利益にかなう面会交流が取り決められているにもかかわらず,それが実現しないという事態に対しては,やはり何らかの対応を検討しなくてはならないでしょう。
 取りあえず,これらのことを考えたいと思っております。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございました。たくさん御指摘いただきましたが,協議離婚を当事者任せにしてよいのかということと,しかし,裁判所の資源も限られているということを勘案して,どういう制度を考えるべきか。養育費や面会交流についても,負担が小さい,しかし実質的なよい結果を導けるようなものをどのように作っていけるかといった問題意識を御披露いただいたと思っております。

水野先生のご講演を受講して(フランス大使館のあれの前だよ),直接お話をうかがい,直々に共同親権のことを懇親会でお話いただいたこともあるのだろうけど,だから,一貫して,群れで子育てする日本の特徴,協議離婚のこと,その辺りのことをよくわかった上で,あえて危険と言い切ってしまう鋭さ

お見事だな~と感心する

ここから,スイッチが入っていった

つづく

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