見出し画像

法制審議会家族法制部会ウォッチ15(落合委員再と赤石委員再と大石委員再と棚村委員再)

○落合委員

 この親権の概念を変えるというようなことは今回の一つの目玉になるのだろうと思うのですけれども,親の責任とか義務という面が強調されることになるわけでしょうけれども,親の義務というのが独り歩きすると,それはそれでまた危険を感じますので,先ほどから,法的な責任と社会的な支援というのはセットでというようなことが何人かの方からも出ていますし,私も国の責任というようなことを申しましたので,それが必ずセットで議論されていくようにというのを少し強調しておきたいと思って,申しました。
 もう一つ,どなたからも出なかったので,一応最初に言っておかなければいけないかなと思ったのが,夫婦というか男女共同での子育て,親が両方関わる子育てというようなことを,男女共同参画ということから,推進しておりますよね。そうすると,共同親権とか養育費のこと,面会交流のことというのは,それと関係して出てくるわけで,にもかかわらず,いろいろ難しいところがあって,ということだとは思うのですけれども,まず,その基本的な方向,男女共同参画ということから導かれる,両方が関わって当たり前なのだけれども,というところは押さえておかないといけないと思いまして,言わずもがななのですけれども,発言させていただきました。
○大村部会長 ありがとうございました。2点御指摘を頂いたかと思います。親権の義務性を強調するということで,義務という言葉,あるいは観念が独り歩きしないようにという御注意を頂いたかと思います。支援と組み合せてということが常に大切である。それから,基本的な考え方としてということでおっしゃられたかと思いますけれども,親が双方関わるというのが出発点だということを考えるべきだという御指摘を頂きました。
 ほかには御発言,いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。まだ時間があれば,皆様さらにおっしゃりたいことがあるのかもしれませんけれども,おおよそのところ,皆様の問題意識などを伺うことができたかと思います。全体の方向性,議論の進め方について様々な御意見がありました。どういう範囲で何から議論するのかというのはなかなか難しいところがございますけれども,それとは別に,実態調査の必要があるということですとか,当事者や現場に近い方々の意見を聴く必要があるというような御指摘が共通にあったかと思います。
事務当局の方で,今日,皆様の御意見を聞いて,この先どうするのかということについてお考えがあれば伺いたいと思いますけれども。
○藤田幹事 皆様,御意見ありがとうございました。まず,この調査審議のために実態が分かる資料をという御意見を複数いただきました。本日,参考資料1-3として未成年時に親の別居,離婚を経験した子に関する実態調査結果資料を提供しておりますが,このような実態に関する資料の追加について,関係省庁とも連携して検討し,皆様にお届けできればと思っております。具体的には,本日にかなり御意見が出ました協議離婚の実態であるとか,今回の検討テーマに関わる未成年養子あるいは財産分与,こういった実態に関する調査について,できるだけ早く検討して,議論に使っていただければと思っています。まずは,その点の報告でございます。
○大村部会長 ありがとうございます。

○赤石委員

 調査のことで少し意見を述べさせていただきたいのですけれども,今発表されています未成年時の親の別居,離婚を経験した子に対する調査でも,もう少しクロス集計などをするとはっきり傾向が出てくるとか,分かる実態があると思うのですが,それをやれるようなローデータを委員で希望者には頂けるのかとか,そういったところを少し御確認いただければと思います。すごく時間のない中で取りまとめていただいているかと思うのですけれども,先ほども私も申し上げたところもありますけれども,まだまだ分析が必要な点があるかなと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。どういう調査が出てくるのかということとも関わると思いますけれども,委員,幹事の方々にどういう形で利用していただけるのか,検討していただければと思います。
○赤石委員 生データがないと,これ以上のクロスで傾向を言えないと思うのです。

○大石委員 

 追加なのですけれども,この調査や,本日の資料についても多分,ホームページに掲載されることと思いますが,この調査が誰を対象として,どのような方法で標本抽出したのかとか,回答者の,例えば国勢調査と比較した場合の学歴ですとか居住地ですとかといった一般的な属性の偏りがあるのか,ないのかといったような点について,ある程度補足していただいてホームページに掲載された方が,一般の方が入手されたときに,より内容を理解しやすくなると思いますので,その点,御配慮いただければ幸いです。
○大村部会長 ありがとうございます。現在行われている調査,それから,この後まとめられる調査について,赤石委員と大石委員から御意見を頂きました。公表の仕方をどうするのかということと,生のデータにアクセスできるのかという御要望を頂きました。これについて,事務当局,いかがですか。
○藤田幹事 事務局ですが,いずれも貴重な御指摘ですので,できるだけ早く検討して,その結果をお届けさせていただきたいと思っております。
○大村部会長 実態調査につきましては,今のようなことで,現在進めているものを更に進めていただくということにしたいと思いますけれども,多少時間が掛かるかもしれません。
 他方,ヒアリングをといった御要望も多くの委員,幹事の方々からありましたので,もし御異論がなければ,次回の部会では少し広い範囲の方々からヒアリングを実施したいと考えておりますけれども,その基本的な考え方についてはいかがでございましょうか。

○棚村委員

 先ほど,できるだけ離婚の当事者とか,今回も多分,未成年の子どもたちというか,子ども時代を振り返っていただいて,20代とか30代の皆さんの声を聴くというのは,今まで余りされなかった調査だと思います。これも,親のことはよく分からないということも回答が出たりというのももちろんあるのですけれども,ただ,素朴に子どもたちがどんなふうに感じていて,例えば,両親の対立とか葛藤がどの程度だったかということも含めて,割合とサンプルを,最近は昔と違ってウェブ調査という形で比較的,質問事項とかいろいろきちんと検討すれば,かなり精度の高いというのですか,そういう作業も短期間でできるものが出ていますので,そのような形で是非アクセスをしてほしいということです。
 それから,私たちは法律の専門ですので,やはり統計学とか,社会学とか,いろいろな分野の方たちがローデータを,赤石委員がおっしゃったとおり,クロス集計をしたり,いろいろして分析をしたりして,もちろんいろいろな見方があるので,それを評価したり解釈することについてもさまざまな見解の違いみたいなものはあると思いますけれども,そういう形で進めてほしいと思います。
 それから,もう一つ,支援団体の方とか,そういう方も含めてということになると,私は兵庫県の明石市で,赤石委員も関わったりしているのですが,非常に積極的な取組を30万人ぐらいの自治体,小さいところですけれども,子どもを核としたまちづくりということで,できそうなところからいろいろな形で支援を広げていこうという取組をしています。面会交流とか,養育費とか,それだけではなくて,無戸籍の人に対する対策とか,いろいろな形で,自治体として身近な住民へのサービス,子どもたちへの支援というのを家庭ぐるみでやろうということで,新聞やメディアでも取り上げられているのですけれども,そこで相談に来られた方とか,されている工夫とか,いろいろなことがあるので,もちろん国や都道府県という大きなレベルでできることと,身近な自治体でできることは限りがあると思うのですが,そういうところの声も聴いて,法制度,あるいは仕組みをどういうふうにしていったらいいかというのを,私たちは検討することによって,より子どもたち
に本当に必要な支援が届いていくという議論になるのではないかと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。調査について,更に追加でウェブでの調査などということも考えられるのではないかという御指摘を頂きました。それから,ヒアリングについては,呼ぶべき人について御示唆を頂いたと思っております。もし次回をヒアリングに充てるということでよろしければ,いろいろ候補の方はあると思いますけれども,事務当局の方で御検討いただいて,最後は私にお任せいただくということでよろしゅうございますでしょうか。
 ただ,もしかしたら,事務当局の方から必要に応じて,御関係の委員,幹事の方々に候補者について個別に御相談をさせていただくかもしれません。こういう人が欲しいのだけれども,お知り合いはいないかというような形で御相談をさせていただくことがあるかもしれませんが,そうしたことがあるべしということで,お任せいただくということでよろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。

第一回議事録もそろそろフィナーレ

第二回議事録や、第三回の参考人の情報がもう公開されているところからすると、棚村委員の示唆が響いていることがわかる

議事録読もうよ会第一回目のウェビナーはこちらでアーカイブされているところ、委員のキャラクターをインプットしながら発言の趣旨の理解に役立つとのご好評をいただいている


共同親権制になるかもしれない!!期待が膨らんでいくー


親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!