生ビール消すマンの登場
印刷会社には画像のレタッチが付き物だ。
レタッチとはなんぞや、というと、例えば写真に写っている電線を消して欲しい、だとかそういったことです。
お客様の要望としては、
「電線を消して欲しい」
だとか、
「人物のうしろの壁掛け時計を消して欲しい」
だとか、
「髪の毛が茶色くて悪い子にみえるので黒くして欲しい」
だとか、
「あたまのテカりを抑えて欲しい」
だとか、
「となりにいる人物を消して欲しい」
などがあり、われわれもその要求に応えています。
(最後の少し怖い)
なので、例えばリモートワーク中に生ビールを飲んでいて、会社にリモートワーク中の写真を提出しなければならないのに生ビールがたまたま写真に写り込んでしまい、やばい、この生ビール消さないと! というような状況はよくあると思うので(ないわ)、そんなときはあの人を呼ぼう。
助けてっ! 生ビール消すマンっ!
「ジャーン!」
「どうも。生ビール消すマンです」
あっ、ありがとうございます!
ではさっそくこの写真の生ビールを消してください!
「こんなもの、簡単すぎるわっ。こうして」
「こうじゃっ!」
おーーーーっっ!
きれいに消えてるっ!
これで会社に提出できますっ!
(焼き鳥写ってんぞ)
じゃあ、次はこのビールをお願いします!
「……。少しムズくね? ひじにビールかかってて。でも、大丈夫。こうして」
「こうして」
「こうじゃーーーー!」
おおーーーーーーっ!
生ビール消えたーーーっ!
しかも、ひじのところも自然に消えてるっ!
これで会社に提出できますっ!
(だから焼き鳥)
じゃあ、さいご、もう一杯消してもらっていいですか?
はい、これ。
「……。」
「ムズくね?」
えっ?
「ムズくね? 手で持っちゃってんじゃん」
「えーい! こうじゃーーーっ!」
……。
腕ごと消してますよね?
ずるくないですか。
「では、また」
さようなら、生ビール消すマン。