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日常と非日常と糸魚川

作家気分で

これを執筆している今は夜中の3時。

はじめて糸魚川に来ました。
新幹線を使って3時間30分余り。日本を縦断。
なかなかの距離です。

非日常の体験で刺激がたくさんあり、頭の中を整理したい、書きたいと思ったのか、目が覚めてしまいました。
旅先の宿で浴衣着て執筆中…なんだか作家みたいです(イメージ)



ついに糸魚川へ

糸魚川は新潟県にあります。私には縁もゆかりもない土地です。

なぜこの場所を選んだのか、いくつかの小さな理由があります。

・ゲーム:マインクラフト(マイクラ)は子どもに人気。
・マイクラでは沢山の原石が出てくるので、子どもは石に詳しい
(マイクラあるある:ゲーム内でダイヤモンドは水色で描かれているので本物のダイヤモンドが無色なことを知らない子どもが多い)
・糸魚川は石のまち。海岸にはめずらしい石がゴロゴロしている。
・石を見に行く、石を拾いに行くといえば、子どももついてくるだろう

・知人と石の話題になり、フォッサマグナミュージアムが良かったよと情報をもらう(たまたまダイビングで糸魚川を訪れていてふらっと立ち寄ったらしい)

親子ワーケーションに興味があった(子どもと一緒にどこか行きたい)

・知っている会社の糸魚川に関する記事をたくさん目にした
(事業でかかわるうちに魅力にはまり糸魚川を推すことになったとのこと)

・私が、やりたいことを全部実行するぞモードに入ったこと
(残りの人生に悔いがないように)

…そうして1年が過ぎ夏になり、ついに糸魚川に来たのです。

駅前で奴奈川姫がお出迎え。

親子ワーケーションに行って来…×

目的の一つは、ワーケーション参加でした。
ワーケーションって単語だけ知っている程度だったので、どんなものか体験してみたかったのです。旅先でワークできるなんて楽しくないわけがない!そこで”親子ワーケーション”に申し込んだのです。
ワーケーションに”親子”がつくと、親はお仕事、子どもはアクティビティ参加と旅先でそれぞれの時間を過ごすもの(たぶん合っている)。

糸魚川駅は昔のレンガ造りを一部残している。

親子ワーケーションに行ってきました!
って言いたかった…けれども。

当日会場まで行ったら、直前で子どもが言いました。
「申し込みする前にちゃんと説明してほしかった、興味ないからやらない」
と、まさかの拒否。ショックです。

去年まではこちらから何を提案しても「やだ」と断り、そのくせ「やってみたら楽しかった、もっとやりたい」と言っていたあの子が…。
自分の興味ありそうなことがわかってきたのか?説明を聞いて理解できるようになったのか?単に団体行動が苦手なのか?プログラムより自由に行動したかったのか?

プログラムでしかできない体験もあるし、家族や学校といった身近な人以外のたくさんの人たちとかかわる機会もあるので、本当は参加してほしかったが…
やむなく不参加となりました。

まあ、何らかの成長をしているには違いないから(キャンセルできず料金はお支払いしたけれど)それでいいか。

駅の観光案内所には石をテーマにした遊び場が。

もうひとつ本音としては、子どもを安心して預けている間、こちらは息抜きして静かな時間を過ごしたかったのだが。
糸魚川には素敵なワーケーション場所があります。そこでコーヒー飲みながらPCをカタカタしたかった…夢は…また今度に…


ワーケーションはただの旅行に

駅にあるヒスイの原石。以後いたるところでヒスイの原石をみる。

初めて来て、糸魚川駅の施設が想像以上で驚きました。

駅にある観光案内所はパンフレットが充実していて、地域の魅力をうまく表現していました。遊び場もあり、バスや電車の待ち時間に重宝します。
隣接している鉄道コーナージオパルは、ジオラマがありプラレールや模型電車の運転体験があり、子どもも大人も楽しめる落ち着いた味わいのある場所でした。(3日間通いました)
グッズも味があり欲しくなりました(いつか買い揃えたいなあ)
スタッフのおじさんたちが子ども相手に接しているのを見て微笑ましい。

昔の寝台食堂車を一部再現して展示。
キハ52・・・レトロな車両がすごくいい

糸魚川は定番の観光地ではなく、市販されているガイドブックは見当たりませんでした。(私調べ)そのため、なんとなく観光協会のホームページとかを見て、現地の観光案内で情報収集することにしました。

ノートのデザインが愛らしい観光パンフレット

結局は行動範囲が限られていたので(電車やバスの移動は時間がかかり不便だった)フォッサマグナミュージアムや長者ヶ原遺跡の施設に行って終わりました。車があったらもっといろんなところへ行ったのですが、今回(不便なことで)わかったこともありました。

フォッサマグナミュージアム。めずらしい石の博物館。絶対行くべし
ヒスイが新潟県の石に!よかったね!
石についてこれでもかと学べる・・・石フェス

旅は脳にいいぞ

ご当地ガチャ。つい集めたくなるなる

あるテレビ番組で、スマホが脳にストレスを与えるから、非日常(旅)を経験して脳にいい刺激をあたえるのがいい、という話を子どもと一緒に見ました。そのせいか”日常と違う”行動を意識していたような。

・ゲームよりも気になることがたくさんある
家に居るとゲームとYouTubeばかりの子どもと、いつも以上におしゃべりしました。新幹線に乗っている間も(一度もゲームせず)車内販売ではじめてSuicaでお菓子買ったりとか、新幹線の機能がすごいだとか(普通車ですけど)
いろんな体験してました。

・勉強する気ないけど結果的に総合学習
長時間電車の中は暇なので駅名でしりとりをしました。東京-上野-大宮-高崎~糸魚川。これ、割と子どもウケますのでぜひ。路線を学ぶ。
糸魚川(新潟)ってどこにあるの?地理を学ぶ。
様々な石を見て触って、集めて、調べて、石について学ぶ。
海鮮丼で初めての食材を食べてみる。様々な体験。

・子どもの行動もじっくり観察
ホテルの机の引き出しに石を並べたり。よくわからないものを欲しがったり。何度も滑り台をすべったり(へえ。小4でまだ楽しいんだ)博物館で縄文人のコスプレして踊ったり(へえ。こういうのやりたかったんだ)。
意外な一面があることを発見できて、非日常は大事。

石の種類が書かれた下敷き。勉強のワクワク感がある

石おじさんとの話

糸魚川石フェスの期間だったので、駅で石をもらえました。
4か所の海岸で拾った石を洗ってカプセルにいれて配っていたんです。
糸魚川に到着したらすぐに石を手に入れることができて、うれしいイベントでした。

夏休みも終わりで子どもも少なく暇だったのか、配っていたおじさんがたくさん話かけてくれました。
・もうすぐ終わるから石たくさん持って行っていいよ
・これもあげるよ(石の下敷きとかパンフとかキーホルダーとか沢山!)
・海岸の話(どの海岸にどういう石があるとか、石がある海岸は外の人からは珍しいと言われるが地元のおじさん的には当たり前だとか)
・石の種類の話(ヒスイの見分け方とか)
・宿泊施設の話(私が予約した場所はアクセスの便が良くなかったので、民宿とか駅近くがおすすめだよ)
・大糸線は廃線の危機だとか
観光情報から地元の人ならではの情報まで。

おじさんのおかげでたんなる観光で終わらない情報を得ました。


ジオパルのおじさんとの話

糸魚川のジオラマ。旧糸魚川小学校も

滞在中毎日通っていた鉄道施設ジオパルのおじさんと会話しました。
昔の糸魚川小学校は木造だったこと。
昔は小学校に1500人も児童がいたとか。
昔は観光地でもなく、地元の人が普通に暮らすだけの街だったとか。

糸魚川は『石の町・自然・フォッサマグナ』と観光資源があるので、それをずっと観光のメインとしてきていたのかと考えていましたが、人口が少なくなり地域を活性化するために、新幹線が停まる駅になって、観光やワーケーションに力を入れ始めた…らしい。
古い町並みは生活が残っている古いままで、地元の生活と観光の両方で活用する試みをしているといえるのでしょう。
(地元のバスに乗ったら、古い建物の医院にお年寄りの方が何人か入っていくのを見ました。建物は現役で使われているのですね)

観光客にとっての非日常が、地元の人には日常なんですね。

古い町並みが残るメイン通り

地域の魅力を再考して、ほかの土地にない強みをいかに発信できるか?
暮らしと観光を両立させるにはどういう施策がいいのか?
人口減の日本では、今後どの地域でも直面する課題のようです。


地方って大変なの

ご当地ガチャ・・・ローカルなネタの宝庫

SNSの投稿をのぞいてみたら、大糸線応援隊のことが。
国道が通行止めになったときに交通手段として残しておいたほうがいい、都市の電車にない魅力がある、といった内容でした。

地域の問題(国道の整備だったり、地域社会だったり)をもっと身近に体験している人はたくさんいます。そういうのを知るともっと切実な問題を抱えているのだとわかります。

地域でそれぞれが抱えている問題はその地域固有のものですが、根っこを掘り下げると、もっと一般的でどこにでもあてはまる共通の問題になることもあります。
ローカル線の廃線の危機、地域のインフラ、地域の活性化の低下…都市部よりも地方で顕著にみられる光景。
なんとか解決をしようと地域を盛り上げようと各地の自治体や民間で工夫をしています。

糸魚川もすごく頑張っています。


『〇〇応援隊』の本当の意味

今回旅先で大糸線を使いました。
ホテルから1駅使用しただけだったのですが、無人駅で1両で開閉が手動だったりなんとも味のあるローカル線です。
全線乗ったらもっともっとすばらしい景色に出会えるようです。

電車は昔の風景そのもの。(バスも昭和のまま)
姫川は無人駅。こんな風景が。
車両から見た景色。工場のある風景。なんだか不思議なところに来た感じ

大糸線応援隊のチラシを目にしました。
最初は(鉄道好きの人向けかな)と思ったのですが、石おじさんから廃線の危機とそのための応援隊募集と聞いて、”応援隊”には、もっと強い願いが込められているのだと知りました。
廃線の危機(地元のインフラの危機)に対して、維持していくために賛同者を集めて目に見えるようにしたい。
ローカル線や鉄道の愛好家だけが応援隊ではなく、
訪れたその地域を自分ごととした人が応援隊になる

1駅のっただけなのに愛着が。
廃線を救うためには応援隊に登録してほしいと、石おじさんに言われた

地元の人がすごく頑張っていても、地域の活性化には外部の人の協力が必要なんだとわかりました。
例えば、その地域に訪れたり、お金を使ったり、人と交流したり、発信してよりたくさんの人に魅力を広めたり、外から見た魅力を教えたり。

糸魚川市では(移住まではいかないが)関係人口をつくるための取り組みをしています。地元の小学校への体験入学だったり、宿泊施設の後押しだったり、糸魚川応援隊という施策もあります。

そして多分、世にある”〇〇応援隊”はこういう切実な事情も含まれているものが多いのでは。


ラディカルな潤沢さを

私は今回、大糸線応援隊に入りました。
関係した以上、カジュアルな気持ちで応援したいと思ったのです。

その土地にしかないもの。地方にある自然や風景や資源。
水が豊富にあると、その有難さに気づかないことがあります。
物心ついたときからずっと接していたら気づかないけれど、周りから見たらありがたい恵まれた環境が地方には点在しているのです。
気づいていないだけで、かけがえのない価値が潤沢にあるのです。
ラディカルな潤沢さ”を体験するために、私たちはその土地を訪れるのです。そうして潤沢さを知ることでその場所と関係ができ、何度も訪れたり、気軽に応援したりといった”カジュアルな選択”ができます。

たくさんの場所と関係を気づくには、このくらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。
(ラディカルな潤沢さについては斎藤幸平氏の本を参照ください)


そういえば
kintoneエバンジェリストも
サイボウズ商店membersも
もともと”〇〇を応援する”は自分に合っているみたいです。
そうか。私の活動はなにかを応援したい気持ちが原動力だったんだ。

今回の糸魚川への旅は、観光旅行を超えてたくさん得るものがありました。

日本海。今回できなかった石を拾いに再訪したい。

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