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行ってはいけない②

昨日、「行ってはいけない」をテーマに千駄ヶ谷トンネルを紹介しました。

思ったよりも分量が多くなったので、本当に伝えたかった話は今回に回しました。



本当に伝えたかった場所は、

埼玉県秩父市にある

赤平橋(あかひらばし)

※埼玉県HPより

ここは国道299号沿いにある橋で、赤平川の上にかけられている。

多分インターネットで調べても、ここが心霊スポットとして紹介されているものは無いと思う。


しかも、秩父だったら

秩父湖吊橋

の方が有名だろう。

僕は大学時代に2度この近くの旅館で合宿をした際に、2回もこの赤平橋で心霊体験をした。

1度目は大学3年の夏休み。

23時頃に、お腹が空いたので買い出しに行こうという話になり、サークルのメンバーで赤平橋の先にあるコンビニへ向かった。

メンバーは8人くらいいて賑やかだったけれど、赤平橋の手前で雰囲気に違和感を覚えた。

寂しい夜道ではあるが割と大勢で買い出しに出ているから、怖いという感じはなかったけれど、先に見える橋はグニャッと曲がったような、蜃気楼を見ているような感じだった。



「ここ、何か変だわ」

サークルのメンバーに言うと

「ここ心霊スポット?聞いたことない。別に何も感じないよ」

そう言われた。他の人たちを見渡しても、みんな相変わらずふざけ合いながら懐中電灯を振り回して歩いてる。

(気のせいか…)

そう思いながら、橋を渡り切ってコンビニへ行き、買い物をしてから旅館に戻るため、再び赤平橋へ向かった。

(………!?)

橋の中央付近に半透明の黒い煙がモヤのように立ち込めていた。
よく目を凝らしてみてもそういう感じが見える。

こういう煙には悪いイメージがあって、高校1年生の頃、部活を終えて同期の仲間と職員室へ鍵を返しに行った際に、職員室を出て突き当たりにあった壁に黒い煙が立っていたから、近づいてそれをみていた。その煙が徐々に天井の方へのぼっていくからそれを目で追いかけたら、突然、その煙の中から鋭い眼光が見えてこちらを睨みつけてきた。あの時の恐怖は忘れられない。。。

「何か黒いのが見えないか?」

今度はメンバー全員に聞いてみたけれど、みんなは良くわからないといい、

「それなら肝試しする?」

と言ってハシャギ出してる。それは本当に勘弁してくれと頼み、みんなで橋を渡るようにしてもらった。

橋を渡っていき、中央の黒い煙にどんどん近づいているけれど、それがおさまる様子はない。

次第に足腰が重く感じるようになってきた。

そして煙の中に入っていったけれど、みんなはそれに気づいている様子はない。しかも何か臭うわけでも、熱を持っている感じもない。

けれど、苦しい、身体中が重くて、力が抜けてくような感覚に襲われて、歩くことがしんどくなってきた。


「ここ、何か、、、気分悪いね」

呼吸が満足に出来ない中でやっと話すことができた。

目の前にいる仲間が不思議そうな顔をしながら、

「そうだね」

と言ってる。でも話が噛み合ってない気がしたから、もう一度伝えたけれど、さっきと変わらないレスポンス。

本当に苦しくなってきたから、

「悪い…」

といって、仲間の肩に手を回して橋を連れ出してもらった。

橋を抜けて少し歩いたら、さっきまで心身に襲われていた重みから解放された。

(何だだたんだろう…?)

不思議な体験をしたから、肩を組んでいた仲間に聞いた。そうしたら仲間は不思議な表情を浮かべて

「お前、さっきからずっと死にたい、死にたいって言ってたゾ!流石に気持ち悪かったわ」


と言った。僕が橋を渡っているときに話した言葉はすべて

死にたい

に変換されていたのか⁈

心底ゾッとした。

この体験はその後ずっとサークルの間で話題になり、その橋に興味を持った人たちの好意(悪意?)によって、翌年の合宿も同じ旅館になった。

そして夜に、コンビニへの買い出しと称して肝試しをすることになった。
凄く嫌だったけれど、大学4年で可愛い後輩たちの頼みだったから、ついていくことにした。

そうして赤平橋に着くとやはり橋の中央付近には黒い煙のようなものが出ていた。
その煙の付近を歩くとやはり気持ちが重くなる。しかも泣きたくなるような衝動にもかられて苦しい。結局、その年も仲間や後輩にかかえられながら橋を渡り切った。

(ここは絶対に何かある)

翌朝、仲間に頼んで車で橋を渡ることにした。

明るい時間帯だとなんてことは無い。別に普通の橋だった。

「何もねぇな。」

これは気のせいか。そう思ったときに車を運転している仲間が

「あっ…!!」

と言って絶句した。そうして、橋を渡り終える手前で車を停めた。

「どうしたよ?」

「あれ…!」

そう言って橋の近くにある竹藪を指差した。その指先を見ると、

竹藪の枝にいくつものお札が突き刺さってあった。

「ここ、ヤバいやん…」

僕が言うと、仲間は「うん」と頷く。しかし、言葉になっていなかった。

この橋で何があったか知らないし、知るのは怖いから知りたくない。

でも、ここは二度と行くのを止めようと仲間内で決めた。

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