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研修医に伝えたいこと〜救急外来を生き抜く〜④「発熱のレッドフラッグサイン」

北国は日の落ちる時間がだいぶ早くなってきました。
それも、週末は最高気温5度以下、雪の予報という・・・。
(前日まで最高気温15度くらいだったのに泣)

さて、ますます寒くなってくるこの季節。
救急外来で一気に増える主訴、それは発熱です。
そこで、今日のテーマは「発熱のレッドフラッグサイン」です。

今までの「レッドフラッグサインのまとめ」は、以下のマガジンにまとめてあります。

<注意>
本まとめは「救急外来を生き抜くための必要最低限」に絞ってのコンテンツであり、救急外来でもすぐに使えるように、パッと一目でわかることを大事に、シンプルな構成にしてあります。
そのため、あえて割愛したところもございますことをご了承ください。
もちろん、先輩方からのご助言はいつでも大歓迎です。
お気づきの点がありましたら、ぜひコメントでご教示ください。


発熱

まずはこの流れ!

症例:発熱を訴える患者
敗血症や、迅速な対応が必要な感染症を否定せよ!

バイタルサインチェック(qSOFAの意識、血圧、呼吸数は特に)
 ↓
迅速な対応が必要な感染症ではないか確認
・敗血症
qSOFA項目の異常ありor全身状態不良
・細菌性髄膜炎
発熱+意識障害
・発熱性好中球減少症
化学療法中の患者の発熱
・壊死性筋膜炎
皮膚所見に不釣り合いなほどの激痛
など
①、②で異常があれば、早々に検体採取して広域抗菌薬による治療開始
 ↓
③問診・身体診察(top-to-bottom approach:頭からつま先まで全身を)
 ↓
④検査
Fever Work Upとして最低限考慮する検査
⭐️血液検査・血液培養2セット
⭐️尿検査・尿培養
⭐️胸部レントゲン
⭐️その他、感染臓器と思われる部位の培養及びグラム染色(尿、喀痰、髄液、関節液、腹水など)

特に、血液培養2セットは「迷ったら採る」!
※血液培養を採取した方がいいタイミングは多くの人が悩むところでもあります。筆者は「(発熱がなかったとしても)病態的に何かおかしい!」と思った時に、血液培養2セットを積極的に取るようにしています。
まだ医師人生3年程度ですが、それで救われたことがたくさんあります。
 ↓
⑤必要に応じてエコー検査、造影CT検査など画像検査を考慮


🚩レッドフラッグサイン→敗血症や、迅速な対応が必要な感染症かどうか(血液培養必須)!

⭐️qSOFAの項目(意識血圧呼吸数)をはじめ、バイタルサイン異常あり
⭐️全身状態不良
⭐️組織灌流障害がある(意識変容、尿量低下、冷感・網状皮斑、乳酸上昇)

・ステロイド投与中や脾臓摘出後など、免疫抑制状態の患者の発熱
悪寒戦慄(体が震えて止まらない、止めようと思っても止められない)
 →菌血症を疑え!
化学療法中の患者の発熱
 →発熱性好中球減少症を想定せよ!(ちゃんと熱源検索も)
意識障害、髄膜刺激症状を伴う
 →髄膜炎を疑え!
関節を激しく痛がる
 →化膿性関節炎を疑え!
人工物が入っていて、その部位を激しく痛がる
 
→デバイス感染を疑え!
皮膚所見の割に下肢や臀部の疼痛が激しく時間単位で悪化する
 →壊死性筋膜炎を疑え!
心不全症状や脳梗塞症状を伴う
 →感染性心内膜炎を疑え!(血液培養は3セット以上)


最低限これだけは!

⭐️全身状態やバイタルサインが良くない患者の発熱
敗血症や、迅速な対応が必要な感染症をまずは想起する!
 積極的に血液培養2セットと想定される感染臓器の培養・グラム染色を!


最後に

何科に行っても、発熱患者を診ない、ということはまず無いと思います。
それだけ、発熱という主訴はcommon中のcommonです。
命にかかわるような細菌感染症を見逃さない、というのが、救急外来での使命です。
そこで、病態で迷ったら血液培養をお忘れなく
菌血症だとわかることで得られる恩恵は計り知れないのですから。


参考文献
・内科レジデントの鉄則第4版「発熱」「細菌性髄膜炎」
・内科外来マニュアル第3版「熱」
・京都ERポケットブック第2版「発熱」
・研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス
「発熱へのアプローチ」「感染性心内膜炎」「皮膚軟部組織感染症」


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