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ピンチのときに陥りやすい「新しいことしなくちゃ病」について

一部のお店を除くと、今って多くの飲食店が先行き不安定な状態にいると思います。

時短やお酒の自粛などで売り上げが立たないうえに、飲食店は今後ガラッとやり方を変えなければ勝ち残れないなんて言われはじめ、なにか新しいことしなくちゃ!売上があがるいいアイディアを考えなくちゃ!っていう気持ちになっている人も多いのではないでしょうか。

私はなんども思っています。とくにSNSなどを眺めていると、よりそう感じます。

超高級な弁当を販売するだとか、オンライン料理教室を開催するだとか、朝からフルコースを提供するだとか、そういう、ほかの人があまり考えなかったような策を見聞きすると、うちも何かしなきゃ!と。

人と違うことを、前人未踏のなにかを、あっと言わせる施策を考えつかなければ残っていけないんじゃないかと、つい思いがちです。

しかしこういうときにこそ冷静に考えねばならないのは、人はピンチに陥ると、とかく新しいことをしようと必要以上に躍起になってしまうこと。

私はこの状態を「新しいことしなくちゃ病」と名付けています。



人は不安やピンチになると新しい何かを求めはじめる

先日たまたま読んだ「暴走する能力主義」(中村高康・ちくま新書)という本の中に、こんな記述を見つけました。

(前略)やはり私たちは「新しい能力を求めなければならない」という強迫観念に苛まされているように思われる。冷静に考えてみれば、これだけ変化が急激で複雑な社会の中で、どのような能力が将来必要になるのかということを千里眼のように見通すことができると考えるほうがどうかしている。にもかかわらずそうした発想に私たちが引き込まれてしまうのは、〈能力不安〉から生じる強迫観念に縛られているからではないか。

この本の著者は教育学の専門家なので経営とは少し畑が異なるのですが、人は不安になると新しいなにかを求める、という点では似たようなものなんじゃないかと思っています。

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