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「カニ食べたい」と言うときに、どの姿と味を思い浮かべますか?

播州人3号です。先日、たわいない会話をしていたときのことです。カニの話題でちょっとした驚きがありました。カニと言えばズワイガニ―。だれもがそう考えていると思いきや、親しんだカニは意外にまちまちでした。「高級食材」であることでは一致しましたが、育った環境でカニのイメージってこんなにも違うもんでしょうか。

そうは言ってもカニといえばズワイガニです。
兵庫県北部でとれるズワイガニの雄は「松葉ガニ」とも呼ばれています。

お待たせ冬の味覚
ズワイガニ漁解禁

 冬の味覚、ズワイガニの漁が6日、富山県以西の日本海で解禁された。兵庫県の但馬地域にある五つの漁港からは、底引き網漁船計39隻が出港。6日未明から網を海に投入し、赤褐色のズワイガニを引き揚げた。
 諸寄漁港(兵庫県新温泉町)からは、漁解禁に合わせて6隻が出漁した。浜坂漁協所属の「美寿丸みとしまる」は、港から1時間ほどで沖合約20キロの漁場に到着。6日午前0時過ぎから9時半ごろまでに計5回網を沈めて、約2200匹を漁獲した。
 網を引き揚げると、甲板は赤褐色のカニで埋まった。サイズや品質ごとに手際よく選別して「浜坂産」などと記したタグを装着。6日午前に浜坂漁港に戻り、正午からの初競りにかけた。船長(60)によると、昨年の解禁日に比べて漁獲量は少ないといい、「水が温かくなってカニが減った。燃料代も夏前と比べて月100万円も高い」と話した。
 県但馬水産事務所によると、この日の1匹当たりの最高値は、浜坂漁港(同町)で競り落とされた250万円だった。水揚げされたズワイガニは、地元の旅館や京阪神のスーパーなどに出荷される。漁期は松葉ガニ(ズワイガニ雄)が来年3月20日、セコガニ(ズワイガニニ雌)が今年12月31日まで。

(2022年11月7日付朝刊より)

優れたネーミングをたたえる「日本ネーミング大賞 2022」の大賞に、カネテツデリカフーズ(神戸市東灘区)のヒット商品「ほぼカニ」が選ばれた、という記事を見つけました。

日本ネーミング大賞に輝いた「ほぼカニ」(カネテツデリカフーズ提供)

紙面に掲載された写真をみると、ズワイガニの身にそっくりです。
「※カニではありません」とわざわざパッケージに明記するのも納得です。

ズワイガニは日本海側の広範囲で水揚げされ、味と名前は全国に知れ渡っています。
各地でブランド化も進んでおり、雄のズワイガニにはさまざまな「異名」がついています。

松葉ガニ「但馬産」でPR
「ワンチーム」他産地に対抗
「津居山」「柴山」… 
多様なブランド名 年明けにも推進組織


 6日に山陰沖で漁が解禁された冬の味覚、ズワイガニ。兵庫県但馬水産事務所(香美町)は今季から、「松葉ガニ」と呼ばれる雄を中心に「但馬産」としてのブランド強化を目指している。漁獲量、漁獲額、操業漁船数はいずれも兵庫が日本一だが、鳥取や北海道などのライバル台頭に危機感を抱き、知名度アップが急務と判断。年明けにも推進組織を立ち上げる方針だ。
 ズワイガニの漁獲量は2002年から15年連続で兵庫が全国1位。17年は942トンで北海道(972トン)に抜かれ、鳥取(888トン)にも迫られたが、18年には1位に返り咲いた。
 雄の名称は山陰地方の「松葉」のほか、福井の「越前」▽石川の「加能かのう」▽京都の「間人たいざ」―など地域ごとに異なる。兵庫のブランドは漁港ごとに、津居山かに(豊岡市)▽柴山ガニ(香美町)▽香住産まつばがに(同)▽浜坂産松葉がに(新温泉町)―と乱立。大きさや傷の有無など独自の選別基準に従い、個々に展開している。
 ところが、近年は「かに取県」と名乗る鳥取県が大々的にPRし、インターネットで「松葉ガニ」を検索すれば鳥取のサイトが上位に出てくる。また、北陸新幹線開通で首都圏の観光客が石川や福井に流れ込むようになり、消費地の注目も薄れがちだ。兵庫の関係者は「関東には松葉ガニの名称が浸透していない」と嘆く。
 浜坂観光協会の会長(60)は兵庫の強みを「漁獲量が1番なので質の良いカニが多いのは当然。供給の安定性でも負けない」と強調。「ワンチームで知名度アップを図った上で、それぞれのブランドに磨きをかければいい」と話す。
 同事務所は年明けにも、漁業や水産加工業、観光関係者で推進組織を設立。但馬産の特長をまとめたパンフレットや統一ロゴを作成するほか、イベントなどで連携して情報発信を強化する。所長は「兵庫の松葉ガニをまとめて〝但馬産〟とアピールし、バラエティー豊富な魅力を打ち出す土台にできれば」と期待している。

(2019年11月18日付朝刊より)

大阪にある大型看板も「カニ=ズワイガニ」のイメージを定着させたのではないでしょうか。

日本海には、ズワイガニ以外にも有名なカニが水揚げされています。
香住ガニ」として知られる「ベニズワイガニ」です。

秋の美味 1匹50万円
「香住ガニ」初競り

 日本海のベニズワイガニ漁が解禁され、関西で唯一水揚げされる兵庫県香美町の香住漁港で5日朝、今季の初競りがあった。
 「香住ガニ」としてブランド化され、お得な「訳あり品」は同町のふるさと納税返礼品でも1番人気のベニズワイガニ。底引き網漁のズワイガニよりも深い水深帯に生息し、餌入りのかごを連ねて沈め、誘い込んだカニをかごごと引き揚げる。
 1日の漁解禁に合わせ、大型船1隻と小型船8隻が香住沖50~100キロまで進み、水深1キロ前後にかごを投入。例年並みの29トンを水揚げし、前年比2・8倍の約3100万円を売り上げた。1匹の最高額は前年と同じ50万円だった。
 県ベニカゴ協会の会長(60)は「台風が来る前に初競りにかけられてよかった。ボイル、鍋、焼きとシンプルに食べるのが一番」と話した。

(2022年9月6日付朝刊より)

「ベニ」のあるかないかの違いですが、生息する水深や漁法も大きく異なるそうです。
ズワイガニが16世紀から漁獲されていたのに対し、ベニズワイガニの存在が確認されたのは20世紀になってから、とも紹介されていました。

こうしたカニの話題に、瀬戸内沿いの出身者から異論が唱えられます。

 「カニいうたら、ワタリやろ」

「ガザミ」とも呼ばれるワタリガニです。

日本海側のカニとはまるで姿が違います。
身が甘く、濃厚に感じます。
秋祭りシーズンのごちそうとして食卓を飾りますが、最近は漁獲量が減っていると聞きます。

家島町沖播磨灘 ガザミ漁がピーク
旬の雌に濃厚な「内子」

 姫路市家島町沖の播磨灘で、ワタリガニ(ガザミ)漁がピークを迎えている。冬場は「内子」と呼ばれる卵を持つ雌が旬となり、妻鹿漁港や坊勢漁港などで頻繁に水揚げされている。
 坊勢漁港では、夕暮れ時に底引き船が次々と帰港し、エビやシタビラメなどとともに運び出される。甲羅の幅が18センチ以上で脚がそろったものは、県の認証食品「ぼうぜがに」の称号が付けられる。
 坊勢漁協によると、ここ10年で水揚げ量は4分の1程度に減ったが、今年は昨年よりも好調だという。
 同漁協の総務部長(53)は「ちょうど忘年会シーズンが雌の旬。濃厚なうま味を逃がさないよう、蒸して食べるのがお勧め」と話した。

(2016年12月17日付朝刊より)

泳ぎが上手なため、ワタリガニと呼ばれているようです。

海のカニばかりではありません。
こちらが「ふるさとの味」という人もいました。
川でとれる「モクズガニ」です。

冬彩る珍味モクズガニ
漁が本格化
揖保川

 晩秋から冬にかけて旬を迎えるモクズガニの漁が、揖保川などの上流で本格化している。冷え込みが厳しくなるにつれ、その風味も濃厚さを増すという珍味。川漁師たちは顔をほころばせながら、冷たい水の中から川の恵みを引き揚げている。
 はさみが柔らかい毛で覆われていることから「藻屑もくず」の名が付いたとされ、産卵期に川を下る習性を利用し、かごや網で捕獲する。河川周辺の飲食店では、みその濃厚な味わいを生かした汁物などが根強い人気を誇る。
 揖保川漁協(宍粟市山崎町)では10月1日から流域でのカニ漁を解禁し、春先まで続く。子どもの頃は遊び場だったという揖保川支流の栗栖川で30年以上漁を続ける男性(74)は、「Y字」形の網を仕掛けてカニを捕らえる。「癖のある味やけど、喜んでくれる人がおるから」と獲物が入ったかごをうれしそうに持ち上げた。

(2021年12月11日付朝刊より)

中華料理の高級食材として知られる「上海ガニ」の仲間で、みそ汁やかに飯にして食べるそうです。

今回の「カニ談義」には登場しませんでしたが、タラバガニや毛ガニなども食用ガニとして知られています。
過去記事を見ると、「サワガニの空揚げ」が郷土料理として紹介されていました。

<播州人3号>
1997年入社。輸入されたワタリガニを市場で見たことがあります。「○○公司」と記され、辞書のような紙の箱を開くとおがくずに交じって足を縛られたカニが出てきました。動かず、弱っているように見えましたが、水に放されると勢いよく「復活」しました。死ぬと急激に鮮度が落ちるそうなので、長時間の移動に耐えられる工夫があるのでしょうか。

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