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「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」のつくり方⑤ - カンフーマスター編

「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」のミニゲーム紹介を通じて、UXデザインのさまざまな側面に触れてきたこのシリーズ記事も、今回が最終回です!

今回は、ゲームにおける「成長についての学び」というテーマを掘り下げ、トライ&エラーを繰り返してクリアを目指す「死にゲー」の面白さに焦点を当てていきます。


ゲーム紹介

「めざせ!カンフーマスター」は、挑戦と成長をコンセプトにした高難度のランゲームです。

ランゲームとは、自動で走り続ける主人公を、ジャンプ等の基本的なアクションで操作し、途中の障害物を避けながらゴールを目指すタイプのゲームです。

ゲームとしてはシンプルですが、あえて結構な高難度に設定していまして、プレイヤーは何度も失敗しながらコースのパターンを学び、徐々にスキルを上げていく過程を体験します。

中継地点まで到達すれば、次回はそこから始まりますので、まずそこまで辿り着くことを目標にプレイしていただくと、徐々にクリアに近づけると思います。

諦めずに何度もリトライ!

(余談ですが、「カンフーマスター」、当初の企画では一対一で強力な敵と戦うアクションゲームとしてのアイデアもありました。諸事情により実現はできなかったのですが……いつか別の機会があったらリベンジしたいです)

つらい… つらい… だからこそ楽しい!?

人間「辛いことはできるだけ避けたい!」と思うものですが、不思議なことにゲームにおいては、必ずしもそうとは限りません。

ゲームの分野には「死にゲー」などと称されるジャンルがあります。物騒な字面ですが、つまりゲームオーバーになりやすい=死にまくりながらクリアを目指すゲームのことです。

「死にゲー」は、しばしばプレイヤーに忍耐と試行錯誤を要求します。

そういった要素を持つゲームは、昔からありました。というより、トライ&エラーはゲームの基本でありますから、名作と呼ばれるアクションゲームは、多かれ少なかれそのような側面があったと思います。(バーチャルコンソールで昔のゲームをやってみると、結構難しいですよね。。)

しかし、近年におけるひとつの潮流を作ったのは、2009年発売の「デモンズソウル」と、それに続く続編的タイトル「ダークソウル」シリーズであることは間違いないでしょう。

こういったゲームでは、そのへんを歩くザコですら、油断するとあっという間にやられてしまうほど手強いことが多いです。数々の初見殺しの罠を潜り抜け、ついに辿り着いた最新部。そこで立ちはだかるボスの強さといったら……。

プレイヤーは一体一体の敵の特徴を学び、正確なタイミングで攻撃や防御を行う必要があります。何度も何度も失敗を重ね、何度も死に戻りを繰り返しながら、クリアを目指すのです。

また、一部のオンラインゲームにも、近しいゲームデザインが見られることがあります。プレイヤーは複数人でチームを組み、長時間にわたり強力なボスに挑みます。たった一つのミスがきっかけで、チームの全員が初めからやり直しを強いられるプレッシャーの中で、正確な操作と連携が求められます。

書いていて胃もたれがしてきました。普段こういったゲームをやらない人からすれば、「そんな辛くて大変そうなこと、何が面白いの?」と感じるかもしれませんね……。

自分を使いこなす喜び

「死にゲー」の魅力は、繰り返しの挑戦を通じて得られる成長の実感と、プレッシャーからの解放感である達成感にあります。

もう少し深堀りすると、「自己操作感」「身体所有感」がキー、と言えるかもしれません。

自己操作感とは、自分の行動が結果にどう影響するかを自分でコントロールしている感覚です。一方、身体所有感は、自分の体の一部を自分のものとして認識する感覚です。

例えば、プレイヤーが、ゲームのキャラクターを自分の手足の延長のように思い通りに操れるようになった時の快感。キャラクターを完璧にコントロールし、これまで越えられなかった壁を突破したときの、ゲーム世界に直接影響を与えている感覚。そこには一種の、万能感のような感覚があるのではないでしょうか。

これはすごく身体的な感覚で、自分の身体を使いこなせるように練習を重ねていくところなどは、すごくスポーツ的でもありますね。自分の能力をフルに活用していると感じるとき、つまり自分がコントロールできる範囲が広がったときに喜びを覚えるのは、人間の生物としての性質であり、だからこそ、多くの人がハマってしまうのではないかと思うのです。

最後に

東京・有楽町で2024年4月14日まで開催中の「人生の大切なことをゲームから学ぶ展」は、ゲームの楽しさを通じて、UXデザインの魅力を無料で体験できるイベントです。開催期間がわずかとなりましたが、この機会に是非展示会へお越しいただけると嬉しいです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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