見出し画像

不器用でも作れる!プロ的に考えて【最高なワラーチ】の作り方

お久しぶりです
こば@kobakutsuです。

オリンピックの開会式、ついついメキシコ代表の足元を追跡しまうというのは、ワラーチ好きの皆さんあるあるだと思います。
※ワラーチはメキシコ北西部の先住民族の履物

今回は、そんなワラーチ好きの人と、ワラーチをはじめてみたい人に
おすすめの【ワラーチの作り方】と【小技・テクニック】の紹介です!

画像2

暑いから欲しい、おNEWのサンダル

汗が滴り落ちるこの暑さ、多くの方が恋しくなるのは新しいサンダルだと思います。そんなわたしも先月からずっと様々な形の、様々な通し方のワラーチを作って改良をし続けてきました。

※わたしは元々、義肢装具士として靴の製作もしておりました。
それだけでなく、患者さんの靴やサンダルを症状に合わせて改造したり、インソールやサポーターを作ったりと足元全般の製作に従事し、今は独立して靴屋を営んでおります。

手前味噌ですが、割とオフィシャルなプロです。

義肢装具士の知恵と技術を盛り込んだワラーチ

ここ一ヶ月強、ワラーチを毎日履いて歩き、走り、もっと良くならないかと試行錯誤を繰り返しました。そんな取捨選択を繰り返していくと、本当に大事なテクニックと技術は残り続けました。

わたしのフィルターで濾して濾して、不純物を取り除いて残った
知識と技術の上澄み液に近いものを今回はご紹介します。

結果としてみれば、非常にシンプルです。

シンプルだからこそ本質に近いのかなとも思います。
良かったら真似してみてください!

※6000文字+画像を66枚使って解説しています。
それでも分かりにくいところがありましたらお気軽にご相談ください。

また、夏休みの自由研究にも最適です。
ご家庭でサンダルを作ってみてはいかがですか?

では、解説スタート

画像1


こばのワラーチの作り方


準備物

1 ビブラムシート 8338     (7mm厚)
2 パラコード(4mm厚)  (片足1.5mあれば十分)
3 ポンチ(4mm)    (100円ショップにある)
4 ハンマー        (100円ショップにある) 
5 ゴム板      (100円ショップにある)
6 ライター     (100円ショップにある)
7 キリ       (100円ショップにある)
8 ハサミ      (100円ショップにある)
9 紙        (厚紙やダンボールだと良き)
10 ドライヤー    (ヒートガンだと最高)
11 コードストッパー (なくてもOK、あると本当に便利)

※クッションを追加したい方はこちらも
12 クッションシート (EVA2-3mmでOK!もっと欲しい人は重ねてOK)
13 両面テープ     (個人的におすすめの両面テープがあります)


ビブラムシート8338
横13cm×縦33cm×厚さ7mm
一般的に多くの人は、足の長さ+1cmのサイズの靴を履いています。

足の長さは靴の長さではありません。足の長さです。
足に定規を当てて、実際に長さを測ってみましょう!


この商品は縦が33cmの長さなので、靴のサイズが34cm以下の人はこれで十分でしょう。ちなみに、わたしの足の横幅は9cm。この商品の横幅は13cm。
縦も横も多くの人は問題ないサイズだと思います。

※子ども用なら2足分できそうです。

パラコードは様々な色、柄があるのでお好みで。
ただ、穴あけパンチと同じ幅であれば何でもOK!
※今回は、パラコード、ポンチ共に4mm

4mmのポンチなのか確認を!
※100円ショップにもあるようです。
出来栄えと作業に影響しやすいので、良いものがおすすめ。

コードストッパーも100円ショップにあるようです。
穴の径はヒモと同じ4mmを使っていますが、通すのにテクニックがいるので、案外6mmでも良いのかも。


個人的に超オススメの両面テープです!

何にでも使えるので、日常用に持っていても大満足な一品

ワラーチのゴム素材とEVAスポンジでも強力に接着できます。

また、綺麗にスルスルと剥がせるので失敗しても簡単にやり直せます。
ものによっては、くっつかなかったり、剥いだ後にベタベタとしたり、剥がれにくくて汚くなったりします。その心配がない強力な両面テープです。



作業開始

1 紙(厚紙やダンボールだと良き)とペンを準備

足を紙の上に乗せて、ペンで足の輪郭をとります。
それをハサミでカット!

後から切って短くする事はできるのですが、長く伸ばす事はできません。

後からカットして微調整をする前提で
輪郭から+5mm程度に紙を大きく切ると失敗が少なくなります。

画像3

2 切った紙をビブラムシートに重ねて転写

そのまま両足を個別に転写してもOKです!

左右の足の形や長さがそんなに変わらない人は、左右で比べて
大きい方の足型をシートの上に載せ

右側は表向き
左側は裏向き

でペンで輪郭をシートに写してもOKです!

※この時に【vibram】という文字をどのように残すのかはあなた次第です。わたしは靴底の真ん中に来るように設定しましたが
踵~真ん中にかけて設定する人も多い印象。

画像4

ペンの跡がこのように薄っすらとでも見えていたらOK!
この線をカットします。

画像5

3 ハサミでカット


とった輪郭をハサミで切っていくのですが、上手く切るにもコツがありこの3つを守ると綺麗に切りやすくなります!

1 一太刀をなるべく長くする
2 最後以外はハサミを閉じきらない
3 とは言っても、刃の奥でしか切れないと思うので【なるべく】意識する

では、恐れずに切っていきましょう!ここで失敗したら・・・と最も作業の手が止まりやすい山場であり最難関だと思うのですが、ご安心ください!

①でやや大きめに輪郭をとったのはここでの失敗を見越しての調整です。

画像6
画像7
画像8
画像9

4 微調整

実際に足を載せて微調整を加えていきます。

この時に大事なことなのですが、出来る人は片足立ちになってみましょう!片足立ちが難しい方は片足に体重が乗るようにして立ってみてください。


足は体重がかかると縦・横に伸びます。
これは足のアーチや軟部組織が体重で潰れる事で起こるのです。つまり、

片足立ち = 足が最も伸びた状態になります。

足が最も大きい時であっても、足がソールからはみ出ないことを基準に輪郭を削ぎ落としていきましょう!

ここでまた、ペンとハサミの出番です


※ 短く切りすぎた・・・・となった方でもご安心を


西郷隆盛も履いていた前半分しかない雪駄
【足なか】は踵部分がないようなデザインです。多少切りすぎて小さくなっても、伝統的な日本の履物を踏襲しているんだ!と気持ちを切り替えて前向きに作業を進めましょう!

画像22


画像10
画像11
画像12

⑤ 穴あけ位置の確認

穴を開けるのはこの4箇所

ソールに足を載せ、これらの位置にペンなどで印をつけていきます!

1 1-2趾のつけ根
2 1-2趾のつけ根から1cm前
3 土踏まずの頂点の直下
4 外くるぶしの前

画像13
画像14

土踏まずの直下に印をつけているところ

画像15

1-2趾のつけ根に印をつけているところ

⑥ 穴あけ作業

ポンチ(4mm)とハンマーとゴム板を使って穴を開けます!

硬いものの上で行うと非常に効率的に穴開けが可能です。
また、ゴム板を敷くのですがハンマーで強く叩きすぎると
結構呆気なく貫通してしまいます。

傷を付けても良いものの上にゴム板を敷いて叩きましょう!

おすすめはコンクリートなどの硬い地面です。

画像16
画像17

分かりやすいように、内外の縁から1cmの位置にも印をつけています。
このクロスした部分に穴の中心が来たら最高です!

画像18

上手に開けました

7 ヒモとビブラムシートの加工

※後からやってもOK!


あまりにも長くなるので以前、わたしが書いたものを引用。
ヒモの加工はこちらを参考にこんな風にヒモ先を固めてください。

画像19

カットしたビブラムシートにドライヤーで
趾のつけ根辺りを裏から熱し、このように前後を軽く曲げてください。

画像20


これによって、ただの板だったビブラムシートが

・足に沿いやすくなり
・つま先が地面に引っかかりにくくなります!!!

画像21

履きやすさに大きく影響しますよ!

8 ひも通し


では、実際にひもを通していきます。
準備段階が終わり、ここからは仕上げ段階です!

まずは、裏返しスタート。
キリを使って親指の穴の下側の裏からヒモを通します!

画像23

通したら、上の穴にも同じように裏からヒモを通します

画像24

キリの腹(側面)を使って押し込むようにすると入りやすいです。

画像25

通し終えたら表に返します。
ここで、ヒモの長さが左右同じになるように引っ張って調整

画像26

次に、ヒモを上から通していきます。通し方は、

親指の下から伸びたヒモ= 土踏まず側の穴に (内側)
親指の上から伸びたヒモ= 足の外側の穴に  (外側)

画像27

一旦足を入れてみましょう!
左右のヒモを上に引いて、鼻緒の当たり加減を大まかに調整。

※この加減は後からでも、作り終えてからでも調整できます。
ヒモを上に引いて、大まかにヒモを足に沿わすのが目的です。

画像28

ここから、ヒモを踵に沿わせていきます。
一旦こんな感じでギュッとしてあげるとヒモが張って通しやすくなります

画像29

左右のヒモを踵側でこのようにグルっと絡ませる

画像30

これを3回繰り返す。
3回グルグル巻きにする事で

・ヒモが硬くなって、自立しやすくなる
・踵のフィット感が良くなり動きやすくなる

とくに、ヒモが自立できると非常に履きやすくなります!

画像58

脱いだ後、このように踵のヒモが立っていたら

足入れが簡単そうですよね?


ヒモだけで出来ているワラーチは、脱いだ後にヒモが混雑しやすいです。
どこに足を入れたらいいのか分からなくなる事が多々あります。

しかし、このようにヒモを交じらせる事で踵側のヒモだとすぐに認識できるだけでなく、ヒモが立ち上がるので足入れも簡単になります。

この一手間は、履きやすさに大きく影響する隠し包丁的な作業です。
しっかりとやりましょう!

画像31

グルグルできたらこんな感じになります。

グルグルが踵の中心にくるように微調整をすると、履きやすくなります。

画像32

グルグルから内側に伸びたヒモを前に持ってきます。

まずは内側から。
※文章で説明するよりも、画像を見てもらうほうが分かりやすいと思います。画像を見てマネしてください。

画像33
画像34
画像35

踵から伸びたヒモが2つのヒモの内側を通ったら
そのまま、ギュッと引き上げます!

これを反対側も同じようにしてください。

画像36

両サイドのヒモを引き上げたらこのような感じになります。

7 ヒモとビブラムシートの加工

※後からやってもOK!

解説した工程をやっていない方 or やったけどヒモ先が解けた方

は7の工程を行ってください。

下の画像のようにヒモ先が丸まったらOKです!

画像37

このようにヒモ先が丸くなったら、コードストッパーに通しやすくなります。あくまでも、ヒモをコードストッパーに通しやすくする作業です。

通るのなら何でもOK

画像38

コードストッパーにヒモを通しました。

画像39

次に、コードストッパーをもっと使いやすくする調整に入ります。

コードストッパーを使って足に固定させたら、このような感じで両ヒモを持ってください。

画像40

ストッパーから伸びたヒモをこのように
鼻緒の外側のヒモの下に通します。

画像41

鼻緒の外側のヒモと、ストッパーのヒモをグルっと通して

画像42

ギュッと結びます。

これで一旦完成!!

※最近は、下の3連画像のようにここからもう一回結んでいます。
解けにくくなるので結構おすすめです!

画像59
画像60
画像61
画像43

このように結んで繋げると

脱いだ状態でもコードストッパーが浮きます

これによって脱ぎ履きが簡単になります!

また、全てのヒモを繋げ一体化させることで構造的に安定しますし、
脱いでまた履く時、どこに足を入れたらいいのか分かりやすくなります。

それだけでなく、ヒモを広げて足を入れる時にも

グルグル巻のヒモは踵側に引くと良いんだ!!
コードストッパーと繋がったヒモは足先に引くと良いんだ!!

簡単に把握できます!

把握ができたら、履き口を綺麗にガバっと広げる事ができます。

・ヒモがごちゃごちゃになって絡まる事を防ぎ
・もっと分かりやすく履ける

これも隠し包丁的な作業です。
これをするだけで快適さが随分と変わりますよ!!

画像44

どこに足を入れるべきか一瞬で分かりますね!

どの程度分かりやすいのか比べてみました!

画像62

左は連結していない方、右は連結した方

右の連結した方は終始安定して履き口が広がっていたのですが、
左の連結していない方は、脱ぎ方によってこのような変化をしました。

画像63
画像64
画像65

特に厄介だったのが、踵のヒモの下に回った時

単純に絡まった状態になるので、処置がめんどくさいです。

鼻緒のヒモと結ぶという一手間だけで
使い勝手が大きく改善します!

騙されたと思って結んでください。

画像57


ここからは番外編です。


ワラーチにクッション性が欲しい方はまだ終わりません
ワラーチに追加のクッションが不要な方はお疲れ様でした!
また、もっと楽に使いたい!という方はインソール調整が可能です。


が!


インソールの調整だけは専門知識が必要です。

生兵法は大怪我のもと

ワラーチとカラダに詳しい人に任せるのが吉です。
わたしの場合は、カウンセリングからはじまり、計測、効果測定をして履物と足との相性や関係を把握し、必要な機能を見極めてからお作りしています。


⑨ クッション補強(欲しい人は)

ホームセンターで買った2-3mmのEVAスポンジシートを使用。
※100円ショップにも売っていますが、基本的にパステルカラーです。

ワラーチ製作とほぼ同じ工程で進んでいきます。
クッションに切込みを入れて差し込むタイプで、固定は両面テープを使用


まず、紙がある人への解説。

クッションの上に1で使った紙を乗せて、型を転写しカット。
穴の位置も転写し、穴あけを行います。

画像67

紙がない方は以下のように転写し作ってください。

画像45
画像46
画像47

こんな感じで型をとって、ハサミでカットします!

画像48
画像49

裏から当てて、全ての穴位置を転写。

画像50
画像51
画像52

紙で作った人はここから合流

下の画像のように外側からヒモ穴にハサミで切込みを入れます。

ここをヒモが通り、安定して差し込めます!

画像53
画像66

こんな感じでざっくりと両面テープを張ります。


わたしは
・つま先2箇所
・踵に1箇所

合計3箇所に張りました。

個人的に超オススメの両面テープです!

ワラーチのゴム素材とEVAスポンジでも強力に接着できます。

また、綺麗にスルスルと剥がせるので失敗しても簡単にやり直せます。
ものによっては、くっつかなかったり、剥いだ後にベタベタとしたり、剥がれにくくて汚くなったりします。その心配がない強力な両面テープです。


こんな風にヒモを穴に通す感じで、重ねます。
両面テープは重ね終わってから剥がし、グッと押して接着すると確実です。

画像68
画像54
画像55

重ね終わったらワラーチからはみ出たクッションをカット!!

画像56

完成です!!


追加のクッションが欲しい方はさらに重ねましょう。
部分的に追加したい方は同じ要領で部分的に貼りましょう!

下のブログを参考にどうぞ


わたしはこんな感じでワラーチを作ります


良くも悪くもこのような感じで履きやすく、使いやすいワラーチを日々模索しております。ただ、ベースにあるのは靴作りの知識、義肢装具士としての足のトラブルを考えた医療知識、日常生活動作を考えた靴屋の知識です。

今、足のトラブルや症状に対してのワラーチも実験しております。
ただ、より集中して行うためにはコーヒーが必要です。

少しでも良いなと思われましたら、下の方からコーヒー代をサポートして頂けますと捗ります。よろしくお願いします~~~

冗談はさておき

どうしても製作が難しい方は足のデータを頂けますとアドバイスや代理製作も対応しております。何でも良いのでお気軽にご相談ください。

こばでした!

カラダに関する情報を国内外問わず分かりやすい形に直してどんどん発信していきます。頂いたサポートは次の文献購入費用に宛てております。 もし、よろしければ文献購入費用のお手伝いをして頂きますと幸いです。よろしくお願い致します。