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地方総合診療医がMBAを目指すワケ


自己紹介

はじめまして。地方総合診療科医の KOBAです。
2024年3月時点で医師10年目です。5年目から村立診療所でひとり診療所長として勤務してきました。9年目からは小規模病院で内科医師として入院業務も兼務しており、外来・入院・訪問診療とシームレスな対応ができる体制を目指しています。
診療所長として勤務するなかで家庭医療・在宅医療・総合診療専門医を取得しました。さらに医学から少し離れた知識として、介護福祉・会計・社会保障・心理支援などに興味を持ち、ケアマネ・簿記・FP・公認心理師などの試験に挑戦してきました。
そして今回、MBA取得を目指して奮闘を始めようとしています。

なぜ、MBAなのか?

①人材・組織を考える

医師9年目として小規模病院で勤務し始めたところ、ひとり診療所長として勤務していた際と違い、複数医師で構成されるチーム内の調整がさらに重要であることを実感しました。それぞれの「自己実現」が達成できるようにとマネジメントを試みましたが、小さなコンフリクトが気になる場面が増えてきました。私が気にしているだけなのか、全体の問題として捉え調整する必要があるのか、その都度悩みました。そこで、人材・組織の観点から学び直す必要があると考えました。この思考は、北信越HANDSでFaculty Developmentを学んだことがきっかけになっていると思います。

②経営戦略・マーケティングを考える

また、小規模病院では診療部長という役職を仰せつかり、今まで参加したことのない会議に出席する場面も増えました。診療に追われ参加できないこともしばしばで、参加したとしてもほとんど発言しないのが日常です。それもそのはず、発言しようにも経営や運営についての会話についていけないのです。簿記で貸借対照表や損益計算書などを読めるようになったと自負していましたが、実際の病院経営の数字の並びは全く理解につながりません。また、病院の経営を考える際に、どのような指標・評価軸から判断して方針を立てるべきなのかなど全く考えも及びませんでした。末席の私が考えることではないのかもしれないのですが、知らないことを知らないままにするのが気持ち悪いので、経営戦略やマーケティングを学んでみたいと考えるようになりました。

どうやって学ぶのか?

そもそもMBAは、Master of Business Administrationの略であり一般的には経営学修士として知られる学位です。日本や海外の大学院に通学し取得する場合を想定する方が多いのではないでしょうか。
私が挑戦するのは、オンラインで学習を進められる国内オンラインMBAです。オンラインMBAのような専門職大学院で取得できるMBAは、大学院修士課程で授与される修士(経営学)とは違い、経営管理修士(専門職)などと表記される区別があるようです。

地方で働きながらMBAを取得するには?

例えば国内の大学院には、慶応・京都・神戸・一橋などがありますが、勤務を継続しながら入学するのは困難そうでした。一部では、休日通学なども選択肢のようでしたが、土日のほとんどをMBA学習や移動に費やすことは想定できませんでした。
また、海外に目を向ければ、マサチューセッツ・ボンドなどのMBAをオンラインで取得することができるようですが、恥ずかしながら英語のハードルがあり、新しいことを英語で学ぶのは抵抗がありました。
総合診療領域ではMBAを取得された先輩方が多くいて、それらの皆さんはマサチューセッツ・ボンド・名古屋商科大学などを卒業されたとお聞きしていました。しかし、これらは私には少しハードルの高い選択肢でした。

オンラインMBAという選択

そこで私が検討したのは、以下のような国内オンラインMBAでの学習です。
グロービス経営大学院
BBT大学大学院
SBI大学院大学
それぞれ、学費や授業形態、ディスカッション方法などの違いがあり、一長一短に感じました。いくつかの比較サイトや経験談などを閲覧し、オンデマンドでの動画学習やオンライン掲示板でのディスカッションなどにより、自分の時間に合わせて完全オンラインでのMBA取得が可能なBBT大学大学院での取得を目指すこととなりました。

入学までの道のり

専門実践教育訓練給付金

まず情報として大事なのは、専門実践教育訓練給付金制度についてです。ハローワークに申請することで給付が可能となる制度で、学費の1/3程度が補助されるお得な制度です。平日にハローワークに行って、申請やキャリアコンサルティングを受ける必要があるのですが、もしMBAを取得するのであれば必ず申請した方が良いと思います。初めて受けたキャリアコンサルも新たな視点で自分のキャリアを見直す機会になり新鮮な体験でした。

出願書類

出願には下記の書類も必要です。
・エッセイ 3種類
・推薦書 2名分
・成績、卒業証明書
・写真
成績・卒業証明書は出身大学に郵送で発行を依頼したのですが、10年前の自分の成績を改めてみるのは複雑な気持ちでした。発行には、ある程度時間がかかるので早めに行っておくのが良いと思います。
推薦書は、勤務している小規模病院の上司と総合診療科の上司に依頼しました。お二人がどのような内容を書かれたのかは私には見れないのですが、おかげで合格することができました。ありがとうございました。

入学前に思うこと

あとは自分用の備忘録的に入学前に思うことをつらつらと書いておきます。
実は、そもそも本当にMBAが今必要なのかまだ悩んでいます。もう入学金も入金したので、MBA取得にむけて頑張ろうとは思っているのですが、MBAを取得したらどうなるのかはあまりイメージが湧いていません。MBAで学ぶ経営戦略が公的医療機関としての役割とはコンフリクトする可能性があるのではないかとか、いやいやむしろMBAの知識を利用して公的医療機関や村立診療所などの不採算部門を成り立たせるアイデアが生まれるんじゃないかとか、大げさですが夢を見たり絶望したりしています。
そして、実はMBAという学位自体についても悩みが無いわけではないのです。MFA(Master of Fine Arts:芸術学修士)をご存じでしょうか?New MBAとして知られているようです。資本主義社会でお金や経営ばかりが取りざたされる中で、アートやデザインの力を社会に採り入れていくことができれば素敵だなぁと思います。もしかしたら、これからの時代にはMBAじゃなくてMFAなのかもしれない。そんな思いもあったりします。MBAがしっくりこなかったら、次はMFAを目指しているかもしれません。
順調にいけば2年後、MBAを取得した自分が何を感じているか振り返った際にここにある記載がどんな意味をもつのか、少し楽しみだったりします。

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