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「カメムシ」激クサ昆虫の大量発生にご注意を

臭いだけに止まらない
「果樹カメムシ」の害

 また、あの昆虫に悩まされる季節がやってきました。洗濯物を取り込む際にこっそりと侵入して激臭を放つ、茶色だったり緑色だったりする、あの困り者。そう、カメムシです。
 カメムシ、と一言で言っても、ツヤアオカメムシ(Glaucias subpunctatus)やクサギカメムシ(Halyomorpha halys)など種類がさまざまで、なかには背中にハートマークのような紋様があるカメムシもいます。ツヤアオカメムシやクサギカメムシなどは「果樹カメムシ」と呼ばれ、ミカンやユズといった柑橘類やナシ、リンゴなどの果実を好む性質があります。口吻と呼ばれる長細い筒状の口で果汁を吸うことで、果実を傷つけ、その商品価値を下げてしまうため、果樹園を経営する人たちから害虫として扱われています。

洗濯物に紛れ込んだクサギカメムシ

平年の94倍もの数が
予察灯に集合

 その果樹カメムシが大量発生しているとのことで、現在関西地方の県などで注意喚起がされています。今月1日に香川県が発表した内容によると、同県坂出市にある果樹研究所にて、4月21日から25日の間で予察灯(害虫の発生状況の確認や発生予知に用いられる、害虫をおびき寄せる灯)に集まったカメムシ4種を調べた結果、平年の94倍に相当する254匹が確認されたとのことです。果樹カメムシが狙う果実は、実が成ったばかりのものや、収穫する寸前の果実なので、その被害は深刻です。

光に誘因されたカメムシ

体液が付着すると
皮膚炎発症の危険性も

 カメムシは触れると悪臭を放つ性質ですので、発見した際は事前に部屋内を十分に換気したうえで、掃除機で吸い取ってしまう方法が、対処法のひとつとして書籍で紹介されています。また、カメムシの体液は皮膚炎を発症する例も報告されています。そのため、発見した際は素手で触れることはできるだけ控えて、ほうきで外に掃き出すなどして対処しましょう。

 ……そうした対処法をもっと早く知りたかったな、と記事をまとめながら今私は思っています。先日、この記事で使用している写真のカメムシ(ツヤアオカメムシとクサギカメムシ)が室内に入ってきて、異臭を放っていました。それも夜間のことで、寝る前にこの異臭は勘弁と、素手で捕まえて、そのまま外に逃しました。そのときに指先がややしびれるような違和感があったのですが、これはカメムシの体液のせい? と今になって思います。

家の壁に張り付いていたツヤアオカメムシ

 今はもう平常なのですが、指にはしびれとともにあの猛烈な臭いがついてしまって、その日の夜は結局、就寝するまであの臭いに悩まされることとなりました。身近な生き物だからこそ、事前にいろいろと情報を知っておくことが大切だと改めて実感しました。触れてカメムシに余計な刺激を与えなければ、あの臭いも多少マシになったかもしれませんよね……。

参考文献
・野澤雅美『カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方』農山漁村文化教会 2016年
・「「カメムシ注意報」全国で続々、香川県では平年の94倍と大量発生 越冬し活動が活発化」産経新聞 2024年5月2日

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