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◯◯な異国の花々3選

春めいた気分を味わえる植物たちを紹介

 三寒四温も徐々に抜け、一歩外に出れば春の空気を体感する日が増えてきました。今回は春を感じさせるような、異国の花々を3種類を紹介していきます。この3種の花々は、それぞれとある共通点があります。読み進めながら、その共通点がなにか考えていただけたらと思います。

◯ツルニチニチソウ(Vinca major)
 「ニチニチ」という響きがどこかキュートに感じられるこの花は、ヨーロッパに自生する花です。見栄えするそのみた目に反して、富栄養で湿った半分日陰になっているような環境を好む性質があります。

日陰に咲くツルニチニチソウ

◯ヒメツルンバ(Persicaria capitata)
 どこかおしゃれなお菓子のようにみえるヒメツルンバは、中国南部からヒマラヤに自生します。薄ピンクや白色の球状の花序(茎に花がつく並び・配置)が特徴です。

岩の隙間に咲くヒメツルソバ

◯ツタバウンラン(Cymbalaria muralis)
 最後に紹介する花は、ツタバウランです。糸状の茎を地面に這わせる特徴があり、葉には長い柄があります。こちらもヨーロッパに自生する植物です。

岩の隙間から顔出すツタバウンラン

足元に生きる異国の住人たち

 じつはこの花たちは、現在日本でもみられる外来種です。いずれも大正や明治といった時代に、園芸用として日本にやってきた、身近な異国の花々だったのです。春先に花を咲かせる植物たちですので、この記事を読んでいるあなたも、もしかすると最近目にしたかもしれません。もしくは、家の近くにひょっこり花を咲かせているかもしれません。

 外来種ですので、自然界における影響が研究されています。たとえばヒメツルンバは、神奈川県の中津川にて、準絶滅種に指定されているツメレンゲ(Orostachys japonica)の群落の一部で優占(ツメレンゲを超える数が確認)されているそうです。
 またツルニチニチソウは暗い場所でも育つところから、日の光を必要とする植物よりも繁栄しやすい性質があります。ツルニチニチソウは、多くの草食動物にとって有毒な植物です。なので、ツルニチニチソウばかりの環境が増えてしまうと、在来の動物たちのエサがなくなってしまうことになります。

 このように、ネガティブな点が注目されがちの花たちですが、輸入されて帰化した現在、私たちの足元で確かに生きています。春を彩る一員として、時にはじっくり観察してみてはいかがでしょうか。
 新生活が始まるこの季節、あなたが新しく通う職場や学校に今日紹介した花たちが咲いていないか、ぜひ探してみてください。もし、この花たちをみつけられたら、春がくるたびに励まされているような気持ちになるかもしれません。
 
参考文献
・自然環境研究センター『最新 日本の外来生物』平凡社 2019年
・清水矩宏 森田弘彦 廣田伸七『日本帰化写真図鑑』全国農村教育教会 2001年

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