29. 【書評】わかりやすい英語学習の解説書(鳥飼玖美子『やっぱり英語をやりたい!』)
本日11月29日発売のこの書。朝一、書店で購入しました。
面白さに惹かれ、あっという間に読み終えました。
全体的に、英語学習の要領について初学者の方にもわかりやすいように説明されてました。
NHK「太田光のつぶやき英語」の解説者として出演されている筆者ですが、この番組でゲスト出演された方々のエピソードをふんだんに盛り込んでいます。
そこに、学術的な観点から説明を加え、ゲスト独特の学習法に合理性を見出しています。
私は、著者が編者となっている『よくわかる英語教育学』を読んだことがありますが、これと同じように、英語学習へのアプローチを包括的に行っていますが、説明はあくまでもわかりやすくなされているので、とても読みやすかったです。
一人の英語学習者として、学習の指針を定めるために役立つヒントが多く盛り込まれていました。
特筆すべきは2点あります。
まず、スピーキング能力向上についてしっかり述べていることです。
英語を話したい人は多いはずなのに、巷に出ている英語学習の関連書籍での取り扱いは、読み書き聞くと比べ、手薄である印象を受けています。
採点のしにくさ、評価のしにくさ、話しかける相手が必要となるなど、簡単に語れない分野であることはわかります。
著者は、学習者の経験談から、易しくわかりやすく、学習法への助言をされてます。
とりわけ、話し相手がいない場合、音読を勧めておられ、上白石萌音さんの取り組みも紹介されてます。(pp.106-107)
私もスピーキング能力向上のため音読に取り組んでいます。
自分の向上を客観的に測ることはできませんが、とっさに発言する瞬発力に手応えは感じています。
非常に親切だと思いました。
第二に、生成AIとの付き合い方についての記述です。
もはや、外国語の学習について語るなら、必ず触れなければならないものになってしまった感があります。
著者も、本書にて、頻繁にChatGPTの使用例を挙げています。
活用の必要性を認めつつ、著者は、”学校英語教育のあり方を再考する時期にきている”、”AIができないことの「何を」教えたら良いのか、探求する時期にきています”と述べています。(p.237)
個人学習でも教育現場でも、便利だからとAIを活用していますが、更に思考を深めるべきであるという著者の意見に賛成です。
しかし、AIの不備を理解しなければならないという負担は、現時点、現場で活用する教員一人ひとりの努力に依らなけならず、すぐに解決できる課題ではなさそうです。
今後、この問題は度々取り上げられることでしょう。
多くの芸能人の方の勉強法が多く紹介され、著者の解説もわかりやすいので、買って良かった本です。
参考に、『よくわかる英語教育学』のリンクを貼っておきます。