モハマド・ラスロフ『グッドバイ』イラン、"国内で疎外されるなら国外で疎外される方がマシ"
モハマド・ラスロフ長編6作目。テヘランで出国ビザを求める若き弁護士ヌーラの物語。ジャーナリストである夫のことも含めて、ヌーラは当局によって弁護士資格の停止、唐突な家宅捜索など様々な嫌がらせを受けている。仕事がないので生活費を切り詰め(部屋の中は基本的に真っ暗)、箱を作る内職をしながら宝飾品などを売ってブローカーへの支払いに当てていた。おまけに彼女は妊娠中だが、自らが望んだとはいえ今ではポジティブに捉えられていない。すべてが真っ暗な状況でヌーラは、出国に向けてたった一人で準備を