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【夏はエロゲ】『水夏』プレイ日記③~第3章~


続いています。全4章の折り返し、第3章です。




プレイ中のメモ

・3章

2001.7.14

透子と茜の姉妹との出会い。親同士の再婚で義きょうだいになった?

1章と同じくダブルヒロイン性か 透子さんと付き合っていた男が語り手かな
!? 日焼け跡いいね
あ、3章のラストで出てきた精神科医の診察室だ。若林鏡太郎が主人公「良和(よしかず)」のカウンセラー
精神科医も駅裏のデカい総合病院の中にあったのか。てっきり個人の開業医だと。

入院患者「あたし」視点 誰?


7.16

「毎朝起こしにくる妹」だ!!!

前日(日曜)がまるまる飛んでいたのは、一日中寝ていたから
おはぐ〜(おはよう+モーニング)
頻繁に時間感覚が飛び、精神科のカウンセラーを受けている語り手。これは叙述に仕掛けがありそうですねぇ
物語開始からすでに付き合っている珍しいパターン。
11歳の夏に常盤村の柾木(まさき)家に養子にやられた良和。親の再婚じゃなかった。

真夏でも長袖の透子さん。これは入れ墨ばりばりですわ

……いや、ただ良和が日焼けしないほうがいいと言っただけだった。
健康的に日焼けしている茜と、日焼けしていない透子

肺炎で二宮診療所に入院していた住所不定・記憶喪失の少女:アカネ。浜辺に倒れていたところを「千夏」(あの黒髪眼鏡お姉さんだ)が運び込んだ 茜とは別人?

良和と透子は大学生か。毎日、常盤村から大学まで通っている。バス?電車?
ん? そもそも透子と茜は姉妹じゃないのか。茜にとって「お姉ちゃん的存在」だったってこと?

『夏への扉』
ヤンデレ気味の透子さん。茜にまで嫉妬している
良和の養父(茜の実父)は総合病院の院長/経営者。跡を継ぐために良和は養子に取られたので、医科大に通っていて、透子も一緒に進学した。

お〜 初めから付き合っているから、シーンもドラマチックな非日常や達成の象徴としてではなく、惰性的な日常の一コマとして序盤に描かれる。こういうことを出来るのが、章ごとに主人公が異なるオムニバス形式の長所だよね。
付き合っている(重めの)彼女に対しては不能になってしまい、義妹と寝る夢を見る。やっぱこれじゃあ日常というよりは「日常の崩壊=非日常の始まり」だったわ。再び彼女で勃つようになるまでの復権の物語、ってことだろ?
エロゲでインポテンツが扱われることって珍しめではあるよな。

7.17
欲動。精神分析で解釈するまでもないほどストレートな夢
行動から心理を推測するのが心理学。


おっ。老年まで独身の二宮医師は戦争で南方戦線に従軍した経験から「人間性」や「愛」を信じることが無くなったと語る。

お〜〜 ガッツリ戦争(それもおそらく太平洋戦争)の話をぶっ込んでくるお爺さんキャラいいな。アカネが夢見心地に聴く波の音や、浜辺に倒れていたことなども、「南方」と関連付けて解釈できそう。沖縄か、別の離島か。常磐村には海がないのも重要だろう。(※追記:海あります!)

「有るよ。真実の愛って、きっと有るよ」
「そうか…… お前さんのような若人がそう言うのなら、それはきっと、有るのだろう」

このお爺さん良すぎか? 若い女性の患者に対してもほとんど抑圧的な振る舞いをせず、老害になることを回避している。理想的な老年男性医師。

「私は……真実の愛とは、酷く畸形的だと思うのだ」

わたしもそうおもいます


「愛とは──なかんずく性愛とは、ふたりがひとつになる事と、理屈としては理解している。だが、ふたりがひとつとは、いったいどういう事態だろうか? なるほど、肉体は繋がる事が出来る。しかしそれは、比喩だ。ひとつになっている訳では決して無い。そして、精神。精神こそ、比喩的な意味においてすらひとつになれないモノだ。その実態については、言うまでも無い。……ふたりがひとつ。そこには、止揚され得ない矛盾がある。だが現実は、その矛盾に酷く冷淡だ。等閑視して、かえりみる事も無い。

なんだこの爺さん!? さっき形而上のことは苦手とか言ってなかった? 止揚とか言い出してるんですけど。
突如めちゃくちゃ鋭く哲学的にエロゲの本質(純愛・性愛・性器結合イデオロギー)に迫っていく謎のお爺さんキャラ(立ち絵なし)。
アンチ純愛和姦主義にはひどく賛同したいが、物語的にこの爺さんの思想が乗り越えられるかたちで終わりそうなのが心配だな。でもじゅうぶんに検討を重ねてくれたらそれで大満足ではある。

不能なのも、酷く疲れていて先週土曜から時間感覚が飛びがちなのも、自分がその時点で記憶を持って造られたアンドロイドだからなのではないかと妄想する良和。夏への扉ってコールドスリープ・タイムリープ物だけどアンドロイド要素あったっけ? 記憶喪失のアカネとも対比されている。不能と機械。ふたりとひとつ。
恋人には勃たないが自慰はできる良和。

──自分という恋人が居るのだから、そんな真似は止めて欲しい。
──あなたから疎外されているように感じてしまうから。

こいつ「疎外」とか言い出しましたよ! 精神分析と形而上学とマルクス主義とSFと戦争体験と…… 思想・批評的な要素が役満になりそうだ。テンションがぐんぐん上がっている
来週月曜23日が茜の水泳地方大会。県大会の日、良和は透子と予定があって応援に行けなかったらしいが本人は記憶がない。
自慰を許さないほど束縛の強い彼女と、自慰にも寛容な妹……と対比されているかたちだが、妹のほうも競技会絶対見に来てよねとか毎朝のモーニングコールとか、かなり踏み込んで束縛してくるのは変わらない。単に恋人として付き合ってるかそうでないかの違い、という気もする。

7.18
電車通学だった。
え〜 透子は茜にキューピッドを頼んで、良和と付き合えるようになった。しかし今ではお互いに嫉妬しあっている?し、良和は透子ではなく茜に欲情している。良い三角関係ですね△
こわっ いきなりBGM止まるんじゃない! 「他の女」ですってよ透子さん恐いですよ

「フィリップ・ディック」を知ってる少女 Kは省略


その「猫を覗いている変質者」の表紙はもう新ver.に変わってしまったんですよ……

これだけ夏への扉やら過去へのタイムスリップやらに言及していたら、逆にこれらがミスリードで、特にSF的なことは起こってませんでしたの線もあるか? だったらとても嬉しいのだけど。

良和-透子-茜の△関係パートと、アカネ-二宮先生の病室パートが交互に語られる。いちおうどちらも2001年の7月で、この常盤村で同日に進行している出来事らしい。片方がもう片方の夢だった的なオチでない限りは。

口淫では勃つんだ。やはり反-性器結合主義なのか? 松浦理英子なのか!?

肉体は問題ない。となれば、残るは精神となる。
鋭い歯の並んだヴァギナは、僕の心の中に伏在しているのだった。それは、不安の象徴だ。

伊藤亜紗『どもる体』に、「吃音についての語りは構造的に心身二元論をとらざるをえない」というようなことが書いてあったけど、「性的不能」もそれに近いものがあるかもしれない。「人間」のなかの動物的な部分──理性でコントロールできない部分──をさらけ出す装置としての「エロ」要素。物語において人間存在を掘り下げるためのそれ。

僕は、母の性交というものを、少なからず目撃した。その音を、耳にしたのだ。

いきなり母の記憶が出てきた。母-妹と繋がるってことか。
文章がキレッキレやな
(俗流の)精神分析ゴリゴリの内容

不能・浮気・近親相姦 ←エロゲにおいて、というか物語一般においてこれほど面白いテーマはない。茜は義妹だけど。
1章と3章の話が好きで、2章が微妙なのは、「三角関係かどうか」にあるのかもしれない。単純!! 2章はヒロインの父親が重要になってくるけど、そういう三者関係だとちょっとなぁ……けっきょく素朴な親子愛に落ち着いてたし。あとはあの後輩ちゃんがもう少し頑張っていれば……
というか、2人のヒロインが男子主人公を好きで、お互いに嫉妬し合って牽制し合い、主人公も自己嫌悪に陥る……という図式が完全に1章と3章同じだ。よくある三角関係に弱い。

7.19
目覚ましが苦手だから妹に毎朝起こしてもらっている良和 「音」と「声」の差異、というのは先程の母親の性交の「音」のトラウマとも結びつくか。人間の出す「音」とは、ようするに非-人間的で動物的な(あるいは機械的な)存在へと分解されていく契機ということで、良和の不能とも関係する。
病室の記憶喪失少女、男女の行為シーンを夢に見て涙する。やきもち? 両親のそれだったら反出生主義っぽかったのに。
ラカン的な精神分析というより、もっと古風のフロイト的な夢診断だな
覗き見(窃視)して傷つく、倒錯的な欲望。

「出歯亀は、テレパシーの代償行為のひとつの手段だろうと私は思う」

「出歯亀」って言い方はじめて知った。 良和のトラウマとも似ている。
このアカネちゃんも妹:茜なのか。良和に恋して、気持ちを知りたがる透子。さっきの夢の男女はこのふたりか。

「私の事……嫌いにならないでね……」
囁き声が聞こえてきた。
僕は、安心させるように透子の肩を叩いた。
そんな真似をしながら、僕は実にねっとりとした自己嫌悪を感じていた。
──透子より、優位に立っている。
我ながら、反吐が出そうな考えだった。
僕は救いを求めるように、透子のほっそりとした身体をきつく抱きしめた。

完璧か?
透子は学園生時代、水泳部のマネージャーでモテモテだった。良和も水泳部員。

7.20
若林先生はカウンセリング中、助言などはせずに話を聞くだけ。すげぇまともなカウンセリングだ。

夢をひもとけば、何かが見えてくるというのは、幻想に過ぎないのだろうか?

いいね
えっ!? 若林さんも昔、透子に恋をしていた!? なんだそれ 気まずすぎるだろ……
海へ行く電車に送れないように全速力でダッシュし、駅前で財布を落とす良和。それを拾ってくれた青年。これ1章のやつだな。
電車で一時間半くらいの穴場の海。

「タイム、イズ、マネー」とか露骨に茜とアカネに同じフレーズを言わせている。CVも同じだよね? また茜は生霊パターンか?
茜が海で溺れる。アカネと同じように浜辺で記憶喪失になるかと思った。人工呼吸シチュ
太平洋側なのか。
えっ!? あ、良和と茜が寄った海辺の診療所にアカネは入院してるのか! ミスリードだなぁ〜〜てっきり常盤村の総合病院かと……。これでアカネと茜が別人であることは確定した? 転生後とか? ほんとにタイムスリップなのか

7.21
えっ、夜中に良和と茜の家に透子さんが忍び込んでる? こわすぎるだろ

7.22

えっ!?!? スペースキーで文字・UI非表示にできるじゃん!!! ずっと勘違いしてたわ!!!! ごめんなさい……

これアカネと茜が邂逅して消えるのか? ハラハラしてきた

>茜を求める
えっ 胸の大きさも伏線? アカネが本物の妹だとしたら、こっちの茜は? 未来から来た? まったくの別人?

こわっ こわいこわいこわい・・・ どういうこと? 茜=透子 ってこと?? 本物の茜(アカネ)は自殺未遂をして、良和たちは死んだと思っていて、その現実を認めたくなくて良和は透子を茜だと思いこんでたってこと? なるほど〜〜 たしかに透子と茜が同時に出てきてないもんな。

すげぇな 2次元キャラクターの身体と記号の問題でもある。われわれは移り変わる"それ"を如何にしてそのキャラクターだと認識できるのか。マンガ論でもありがち。1章の双子ヒロインのテーマをさらに推し進めているとも読める。

とすると、けっきょく透子に対して不能になっていたのは、妹を亡くした喪失感が、妹を求める性的欲望として変換され、透子という恋人へ欲情することは妹に対する裏切り(不謹慎)になると無意識に思っていたからってことか。恋人への裏切りではなく、妹への裏切りの不安。透子さん、恋人がとつぜん自分のことを妹だと認識し始めたらそりゃ鬱になりますわ。

いや〜〜おもしろすぎるな・・・・・・ まさに1章で感じた「古典的ながら完成度が高い巧みなシナリオ」の再来、更にいや増してすらいる。認識反転トリック、統合失調症的な幻覚、人物誤認……べったべただけど面白いよ〜〜 これは章のさいしょから読み返したいと思わせられる。おそらく気づいてない細かい伏線がたくさんある。
さすがに電車で1時間半ほどの病院に入院してる記憶喪失患者と、その近くの海に飛び込んで死んだことになっている人物が結びつかない情報伝達の悪さは非現実的すぎるだろ、とツッコミが入るが、まぁ田舎だしな・・・で許せちゃう。

カウンセラーの先生が良和に催眠・暗示をかけたのか。良和が勝手に誤認していたわけではない
えぇ…… この精神科医が良和に茜の幻覚を見せる狙いのひとつは、透子と良和の仲を引き裂くため? こわい人しかいないよぅ

これバッドエンドだ! こわいよ〜〜〜〜 サイコホラーだよぅ〜〜〜〜〜
なぜ透子より自分を選んだ良和を、茜(本物)は即刺殺したのか? わからん……狂人しかいねぇ……

えぇ…… 二宮老医師も、「畸形的な愛」を密かに望んでいた? こっわいラスト!


トゥルーエンド(多分)いくぞ〜
>茜を求めない
えっ!?!? そういうこと!?!?!? 茜の自殺未遂の原因はお兄ちゃんに迫ったものの拒絶されたから、というのが「半分は嘘」なのどういうことだと思ってたけど、茜が真に愛していたのは透子だったのか・・・ああ、さっきのバッドエンドはそういうことか。てっきり、茜は完全に狂ってしまって、透子が自分を良和だと思いこんでいるのに愉悦を感じるために演じているのかと・・・。
じゃあなんであの日に兄に迫ったんだ? 拒絶されて飛び降りたんだ? 

あぁ、茜は村の海沿いの崖から飛び降りて、電車で1時間半離れた海辺に漂着したのか。すげぇ漂流してんじゃん
いやいや……これで透子と無事ハッピーエンドで感動はできねぇよ。だって透子さんの超絶ヤンデレ独占欲がこわいもん……

え、良和と茜は実は血が繋がっている本当の兄妹で、それを確かめるために茜は血液鑑定を頼んだが、若林鏡太郎医師は「血が繋がってはいない」という嘘の結果を茜に教えたってこと? 良和と茜をくっつけて、透子を手に入れるために……
いや違うらしい。嘘を教えるよう指示したのは透子だった!


第3章の感想

おい!!! こっちのほうがある意味でよっぽどホラーなバッドエンドじゃねえか!!! 狂気的な2人だけの恋人関係。
自身を包み込む透子の愛を良和がそれでも受け入れてしまうのは幼い頃の母親の愛の欠如だった。
えちょっと待って? やべぇやつしかいなさすぎて全然よくわかってないんだけど。けっきょく茜は良和のことが好きだったの? 透子のことが好きだったの?
このエンドで茜は二宮老医師のもとに夏休みじゅう身を寄せているというのも非常に不穏だ。あの病室での2人の空間だけが癒やしだったのに・・・!!
3章のシナリオは全開放されてる〜〜〜 逆にこわい〜〜 これで全部かよぉーー…………

えーと…… ここにきて、素直に感動することはできない、かなり不健全というか狂気的な相互依存なサイコホラー恋愛関係をぶっ込んできてこられて、反応に困っている・・・

「ふたりだけの世界」と彼らが思い込んで終わるんだけど、この作品にとってこの話は単なる一章に過ぎなくて、常盤村では同時進行で別の男女のあれこれも起こっている。物語は次の章へと続く。すなわち、作品構造がただちにこの章の結論を相対化しているところがクールではある。オムニバス形式の強みというかなんというか。

てか、あのバッドエンドでもゲームオーバーじゃなくて、次の章に進めちゃうのやばすぎるだろ。透子と茜のやべぇ同性カップルが手を繋いで闊歩する常盤村でほかの主人公とヒロインの物語が行われているパターンもあるってことでしょ? まぁトゥルーエンドも相当に恐ろしいけど……

とりあえず、最後のほう以外はめちゃくちゃ自分好みの三角関係痴話だった。二宮医師とアカネのパートもものすごく好き。しかし、終盤に一気に登場人物全員狂気のサイコホラーと化してしまい、困惑。『虹ヶ丘ホログラフ』かよ。

あと読み終えて気づいたけど、透子より茜のほうが圧倒的に好きだわ。こういう妹キャラが好みというわけではないけど、透子さんのヤンデレ具合がこわい(わたしはヤンデレキャラが得意ではないようだ)ので相対的に好みだというのと、日焼け跡がナイスなので…… しかし最終的には茜さんもけっきょく何がしたかったのか全くわからん……
このなかでは主人公の良和がいちばんまともで、行動原理が理解できる。まぁ主人公で内面描写が多いから当然ともいえるが。
大人(医師)組の若林鏡太郎はまともなカウンセリングするかと思いきや医師失格も失格の、私情にまみれた未練タラタラ男だったし、唯一の良心かと思われた二宮おじいさんも、戦争体験で純愛を信じられなくなった反動からか、もはや互いに自分のことしか考えていない倒錯的な二者=一者関係を肯定する不気味な役割(バッドエンドのオチ)を負わせられるし……
この章に関してはネットの解説を読もう……


~おわり~


第3章をプレイしての最終的な感想が「ネットの解説を読もう……」なのはとても情けなく、徒労感がすごいですが、とりあえず4章終わらせて完走してからで……



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