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退職を伝えた日のこと。

 会社を辞めようと決意をした翌日にはマネージャーと面談の場を設けてもらいました。おそらく疲労が溜まっていたのが僕の表情から伝わっていて、気遣っていただきながら朝イチに二人で話をしました。この時の緊張は復職初日と同様レベルで、ドキドキし過ぎて口から心臓出るんちゃうかと感じました。

 マネージャーも僕が退職を切り出す可能性を多少は感じていたと思います。最初の会話で、業務的な話というより、自分が今後会社で何をしていきたいかや今どんな気持ちで仕事をしているのかを聞かせて欲しい、と投げかけがありました。モチベーションが上がらずに仕事をしていた自分にとっては痛い質問でしたが、心は移住することで決まっていたので、結論とその背景に関しては自分の言葉で伝えることができました。

 東京時代に適応障害となったこと、復職して大阪に戻ったこと、営業職での働き方、仕事への充足感など。回りくどい説明だったかもしれないけど、現状に対して何も出来ていない自分を変えたい、中途半端な状況は良くない、だから辞める。自分の意思はハッキリしていました。

 マネージャーからの最初の反応は驚いた様子もなく、基本的には僕の意思を尊重してくださいましたが、会社の中でもっと出来ることはあるのではないか、という投げかけもありました。いま振り返れば、自己成長の為に社内でできることはあったかと思います、例えば部署を変えてもらうとか。でもその当時の僕は現環境や生活習慣を続けること自体にストレスを感じてしまっていたので、移住という選択をとった訳で、次なにするかの話をする必要があり、移住して農業をすることを伝えました。

 さすがに農業をすることは想定に無かったようで驚いた反応をされていました。たぶん同じIT業界内での転職を考えているくらいの想定だったのでしょう、それが農業だったら驚きますよね。僕自身も農業が単にやりたいから移住するのではなく、生活環境の見直し等を考えていることや、実際に現地にも行っている話をして、マネージャーも納得。具体的な退職時期などは後日決定するとして面談は終了となりました。

 会議室を出ると、ちょうど全社朝礼の日で社員の皆さんが起立し始めていました。そそくさと自席に戻って、隣の後輩から「何話してたんですか?」という表情を読み取りつつ全社朝礼が始まる。伝えきる事ができた安心感とこの会社にいるのも残りわずかという寂しさも少し感じていたら、あっという間に全社朝礼が終わっていたのでした。


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