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農家として働きはじめる

 移住してから荷解きも落ち着き、農家としての生活が始まります。有機野菜を作っている農家さんで研修生としての受入れです。ITから農業という振れ幅に面白みを感じつつ、身体を動かすこと、食べること、料理をすることが好きな僕にとって期待の膨らむお仕事のスタート。

 出勤すると自分のデスクもPCもありません。荷物を置くロッカーがあるくらいで、身体が資本のお仕事。仕事の流れとしては、午前中に収獲~出荷作業を行い、午後が畑作業となります。朝イチ作業場に行くと、その日の収獲予定量がホワイトボードに記載されており、各々が二人一組くらいに分かれて収獲へ。

 オフィスワーク時代にも朝の朝礼はありましたが、終われば個人作業や営業へと出ていくので、比較すると物理的に協働作業が多いのが農業であったり現場仕事の特徴です。収獲への移動も誰かと一緒なので雑談したり、収獲中も会話をしながらすることが多く、コミュニケーション量は圧倒的に多いなと感じます。

 重たいものを一緒に運ぶ、作業行程を分けて連携する、声がけしあいながら作業を進める、などオフィスワークには無かった連携がたくさん。最初は新人として教えてもらうことが多く、気も遣いながら仕事をしていましたが、慣れてくると普段の生活で困っていることを相談したり、趣味の話をしたりも。仕事をしているのだけど会話を楽しむ時間が多い、そんな職場でした。

 とはいえ、大して身体を動かしてこなかったので、農作業の辛さも経験します。筋力はもちろん無いので、重たいものを運ぶのも一苦労。収獲バサミを使う作業も、1時間を越えてくると握力が弱って力が入りません。冬からのスタートだったので、にんじんや大根など根菜類の収獲も多く、腰へのダメージが特に辛い時期でした。

 中腰になって手作業でにんじんを何百本も収獲する時間は慣れるまでかなりキツイ。にんじんを抜くコツも握力もなく、それらの作業を支える下半身の強さもありません。イタタタっと言いながら、腰回りをストレッチしながら収獲する一方で、手慣れた農家さんや先輩スタッフはサクサクと収獲作業を進めていきます。

 「頑張らないとなー」と思いつつ、黙々と手を動かし続ければ必ず終わります。農作業の良いところは、作業を終えた時に美味しそうな野菜がコンテナ一杯になっていたり、世話をした野菜がイキイキする様子がみれる瞬間です。新環境の楽しさもありつつ、充実感の積み重ねが心の安定をもたらしてくれる、そんな環境でした。

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