手作りの独楽(こま)
製品として作られた独楽はきれいに回る。
家の経済状況を知っているから、ノボルは買って欲しいとは言わない。
だから自分の手で作る。「澄む」美しい回転は無理だが、個性ある回転になる。
ここまで読んで、昨日のスギ薬局とメリッサ(リーガロイヤルホテル大阪)を思い出した。
スギ薬局に入って、すぐ右手がレジカウンター、そこで男女の店員が談笑している。いらっしゃいませ、なし。
商品を2つ手に取り、レジへ。男女のおしゃべりは止まらない。セルフレジをしろ、ということなんだろうが、スギ薬局のそれはハーバード大入試より難しい。
お話中申し訳ないですが・・・という体で人間のいるレジへ行った。女店員は仕方なくぼくの相手を始めた。というか、読み取りと「レジ袋どうなさいますかー」だけだ。後はお前がマシン相手に精算しろ。
メリッサ。ここは老舗で、リーガロイヤルホテルの顔とも言える。
レジに三人女店員がいる、一人が先の客の相手、残り二人は尻向けて何やらやってる。
ここにもスギ薬局と同じマシンが置いてあり、自分で現金なりカードなり何なりやれ。
そういえば、歯科医院も同じマシンで、患者がセルフで精算する。
ある雑誌、定期購読をやめることにした。指定された電話番号にかけたら
「・・・のかたは2を、・・・のかたは3を」
やられ、2回ほどタップすると「長らくご購読ありがとうございました」とマシンボイスがお礼言った。この4月からなんだけど、それでも長いのか。
この雑誌、「定期購読する」までに異常なエネルギーを使ってる。
ちょっと検索すると、あちこちに広告が出てくる。
ビジネス番組でもがんばってる姿見せてた。
でも、この、「カネの切れ目が縁の切れ目」風「退会の空気」はなんだろう。
以前、「エビフライのしっぽ」というのを書いた。
普通、エビフライのしっぽは食べない。でも、食べないからといって、最初から取り除いてしまうと、ビジュアル的に、決定的に、落ちる。ヘタしたらウンコに見える(笑)
機能だけで考えると不要だけど、でも、絶対的に必要なもの、つまり、エビフライのしっぽのようなものって、世の中にはたくさんある。
思えば、スギ薬局談笑男女店員、メリッサ店員、歯医者受付、雑誌のマーケティング思想、すべてレジに置いてある精算マシンと同じく、大量生産された工業製品化している。
そこにエビフライのしっぽは、ない。
吉野せいさんの
「この幼い子の手から生まれたものには、無からはじめた粗野があり、危なっかしい不完全があっても、確かな個性が伴う。おそらく五つが五つ、みんなちがったそれぞれの踊りを潜み持ち、展開してみせるだろう」
これこそが商いの面白さなのに、いまや商いはビジネス化し、大量生産の製品になった。
いまこの本と出会ったのは、必然のような気がしてならない。
手作りの独楽を、目指そう。
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