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思いと算数

経営に必要なものは
思いと算数。

思いというのはいわゆるコンセプト。

誰が
なぜ
買うか(来店するか)

失敗した店の例で考えましょう。

その店は「キャッシュレス」しかコンセプトが無かった。

カフェなのに

誰に
なぜ
来てほしい店なのか

が無かった。

ただ、「キャッシュレス・オンリー」だった。

売ってるのはハンバーガー。
価格1200円、1300円、1400円、1800円、2000円

ドリンクとのセット価格じゃないよ。ハンバーガー単品の価格だよ。

ハワイやシンガポール、パリ観光行って「円安ですからねえ。円換算したら高く感じますねえ」の価格じゃないよ。ここは日本です。

そして立地、住宅街。

残念な値付けだ。

貧しい。

コンセプトの貧しさは置いておく。

「キャッシュレス・オンリー」はコンセプト面だけではなく算数面でも貧しい。

まず、キャッシュレスにした時点で、現金が入ってくるまでに時差が出る。

食材などの仕入れは先に現金が出ている。

経営はお金の循環、必ず「出」が先。
「入」は後。時間差ある。
「出」と「入」の時間差が短ければみじかいほど経営の健康上良い。

この算数のピンぼけも、カフェの寿命を縮めた。
出ていくばかりでは、運転資金がいくらあっても。

これは算数であり、紫式部であれ、火星であれ、バルセロナであれ、南極であれ変わらない。

紫式部、火星、バルセロナ、南極、いつ・誰が・どこでやっても「1+1=2」。

さて;

江戸時代、越後屋(三井)の発展は「出」「入」時間差縮める「店前(たなさき)売り」と「現銀(金)掛値なし」だった。当時関西は「銀」、関東は「金」が基軸通貨。三井はこの両替でも財をなすが、それはまた別のお話。

大繁盛の越後屋

当時、多くの店は

得意先の注文を聞き、後から品物を持参する「見世物商い」

または

商品を得意先に持っていって売る「屋敷売り」。

支払いは盆・暮の「二節季払い」、または12月のみの「極月払い」の掛売りが慣習だった。

貸倒れや掛売りの金利を価格に乗っけてた。
結果、商品の値が高く、資金の回転も悪かった。

「出」「入」の時間差大きいから。

「客に店へ来てもらう」
「現金で買ってもらう」
その代わり、価格は押さえてますよ。

タブーだった「切り売り」もやった。
これによって、「子どもにもいい反物で着物を作ってやりたい」母の思いが実現した。

三井グループ発展の基礎は「出」と「入」の時間差を縮めたことにある。

あと、算数で大事なのは
いくら売り上げたらトントンか(損益分岐点売上高)
数字でつかんでいること。

方程式がある。

固定費÷(1-変動費率)=損益分岐点売上高

家賃や人件費などの固定費が月82万とする。

「だったら82万売り上げたらラッキー、そっから先は儲けやで!!」

となってしまうかも。これ、間違い。
売上に比例して増えるのが変動費。食材、包装、スプーン、ストロー、箸・・・これらがゼロだったら、(1-0=1)で固定費そのまま。

でも、変動費は必要。

話を簡単にするため、食材費だけが変動費としよう。これが月42万円とする。月の売上が150万とすると、42÷150=28%。
固定費82万なら、
82÷(1-28%)=114
82万のはずの固定費が114にふくらむ。
変動費率が大きくなればなるほどふくらむ。
算数だから、「いや、うちはちょっとそのへん、オマケしてよ」は、ない。

思いと算数、この両輪で経営は成り立ち、繁盛を作ります。

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