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空気が、繁盛を生み出している。

楽しみにしていたツアーが「催行中止」になった。
旅行社から手紙。

4月を申し込んでた。まだ日がある。ぼくが営業部長ならハッパかけるところだ。
しかし、早々と「人数満たないため、中止」と。
いや待てよ。いま営業部長と言った。そもそもここに人間はいるのだろうか。

「桜の季節に疎水を舟でめぐる。◯◯社でツアーやってるみたいよ」

知人から聞き、前から行ってみたかったからWebで申し込んだ。

この間、人気(ひとけ)、ゼロ。
そしてこの手紙。中止。ひとけ、ゼロ。

たぶんこの旅行社、このツアーに関して人の手ほぼゼロなんだろう。

機械的に、「催行◯◯日前で、この集客数、だから中止。代替日程書いた書面を用意し、申込者へ郵送」という流れでぼくの手元に届いただけ。

職場には、空気がある。

これ、転勤や部署異動、あるいは転職した人なら体験したことあるはず。

人はその「空気」で判断したり意思決定したりしている。論理より空気が勝つ。行動の基準にもなっている。

この旅行社はWebで集客し、
たまたま集まったらツアーをする。
たまたま集まらなかったらツアーしない。

という、恐るべき「偶然任せ」の空気なんだ。

ある食品メーカーの方からいただいたメールをシェアします。
社名など、特定される部分は改変しました。

◯◯にその会社名が入ります。
パンダでも、ラッコでもお好きな名前を入れて読んでください。

「Tビル」というのはその会社が入っているビルの名称です。

<挨拶は皆を幸せにする>

Tビルで、ある印刷会社の幹部の方との商談を終え、1階の玄関までお見送りに行った際に、一番偉い方が

「今までいろんな会社を訪問しましたが、掃除が行き届いているのは当たり前として、傘立ての傘がすべてしっかり傘紐で結んだ上に同じ方向に向いて刺してある会社はありませんでした。さすが◯◯さんだと感心しました」と。

私は当時Tビル長をしていましたが、言われて初めて気づいたのと同時に、会社としてそんなルールを決めた事はなく、誰か従業員が気を利かして整理整頓してくれているのだろう…と感激し、誰がやっているのかを調べてみました。

多分あの人だろうと思いつく人2-3人に聞いてみたのですが、「いや、私ではありません。でもすごい事ですね~誰なんでしょう」という感じです。

結局わからないままで時が過ぎました。

ある雨の日、Tビルの4階に入ろうとしたら、掃除の担当の女性(管理会社から派遣されている方)が、傘を整理してらっしゃる場面に出くわし

「あーーー、あなたでしたか!! 先日ある会社の方から、〇〇の傘の整理整頓が素晴らしいってお褒めの言葉をいただいたのですよ。社員に聞いても誰がやっているかわからず、悶々としていたのですが、あなたでしたか。本当にありがとうございます。あなたのおかげで◯◯の株が上がりました。」

と感謝の言葉を述べました。

するとその女性が

「こちらこそ、いつもお世話になっています。私は◯◯さんが入る前からこのビルの清掃を担当しています。

〇〇さんが入られて、最初に気づいた事は、皆さん挨拶がとても素晴らしいという事です。

私のような掃除している者にも、皆さん笑顔でご挨拶してくれますし、中には大変ですねとかこっちの体調を気遣ってくれるような方もいらっしゃいます。

あと◯◯さんがお客様を一階の玄関までお見送りしてらっしゃる姿を見て、この会社は少し他とは違う…と感じました。

そこで私も何か◯◯さんのために出来ないか…と考え、今までより清掃に力を入れる事はもちろんですが、傘立ての傘の整理整頓を思いついて、毎日気づいたら傘を紐で止めて同じ向きに並べるようにしました」

と信じられないような言葉をいただきました。

この事を日報で報告したら、社長からそれはすぐに◯◯の全事務所で実施しよう! という事になりました。

加えてそんな大切な事を気づかせていただいた掃除担当の女性にT事務所全員のお礼の言葉をしたためた色紙と感謝の気持ちの商品を差し上げましたら、その方は涙を流して喜んでおられました。

「これからも私も◯◯の一員という気持で、ビルの清掃をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
「この色紙は一生の宝物にします。こんな仕事しててこんな素晴らしい物をいただけるとは…」

私たちも涙が出てきました。

挨拶はこんな効果を生み出す魔法の言葉でした。

会社としてそんなルールを決めた事はなく
が、効いている。

空気がそうなっているんだ。

この会社は「お客様はもちろんのこと、そこで働く従業員、その家族、地域住民の皆様、取引先、パートナー、運送会社さん・・・・関係するすべての人をファンにしたい」というビジョンのもとに、「経営企画部ファンづくりチーム」という部署が旗ふり役となって全社活動している。

ぼくは、いまのブランドは、
money
social      
love
という3つの資産(capital)
が必須と言っている。

ファンづくりが関係資産(social capital)になり、そのままスキスキ資産(love capital)につながり、結果、さらに繁盛する。

この会社の製品はとっても美味しい。名前を言えばみんな知ってる製品ブランドだ。

でも、「美味しいから、それでいい」と立ち止まってない。

「今日お客さんがいなくなるかもしれない」

という強迫観念におそわれているかのようにファン作り活動をしている。
空気が出来上がっている。空気が、繁盛を生み出している。

Web任せで
たまたま集まったらツアーをする。
たまたま集まらなかったらツアーしない。
空気とは真逆。

ちなみに旅行社から蹴られた「疎水舟めぐり」ツアー、個人で申し込み、十分の一の代金で行くことにしました。なんのこっちゃ。最初からそうすれば良かったやん。ちゃんちゃん!!

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