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いつもそばに

 私の新しい詩集、『水栽培の猫』の帯の背のところに、編集の方が「いつもそばに」と添えてくださった。どうしてか私は、ここを目にするたびに泣いてしまう。目には見えないけれど、いつもそばにいてくれると、信じようと思う。
 それは、死んだ猫であるかもしれない。亡くなった父や母であるかもしれない。もしかしたら遠い日の少女の私自身であるかもしれない。目には見えない形で、いつもそばに寄り添って私を支えてくれるものたちが存在することを信じようと思う。

橘しのぶ詩集『水栽培の猫』思潮社
  5月31日発行 2420円

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