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北川透 大いなる眠り、禁断の父 橘しのぶ詩集『しなやかな暗殺者』覚書 ④

拙詩集『しなやかな暗殺者』に頂いた北川透さんの推薦文が、素晴らしいので、全文あげます。長文ですので、何回かに、分けて掲載4回目。

 さきの「匣」でもそうだったが、むしろ、わかりやすさと逆の、どこか迷路に誘い込むような謎があって、それが読むものを惹きつけるのである。そして、その迷路とは、とても甘美な無意識の罠でもあって、そこに迷いこんだら、再び、出られないような危うさが付きまとう。しかし、その迷路に近付くな、と強く禁止されればされるほど、迷いこんでみたくなる。作者もその迷路が仕組んでいる甘美な罠に、ことばで触れることに感覚的な快さがあるために、何度もそこから出たり、入ったりしている。たぶん、毒は少しずつ身体に効いてきているはずであり、もはや中毒になっているのかも知れない。しかし、彼女にとって詩を書くとは、おそらくその危なさに身をさらすことでもあり、だから同時にまた、解毒する意味も持っているのだろう。
                 (続く)

北川透さんの文章を書き写して、改めて、平仮名と漢字、読点の配置の巧妙に圧倒された。そして、ご指摘の通り、私はもはや私の詩の中毒になっている。

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