真鍋希代嗣

京大准教授←起業挫折←マッキンゼー←国際機関←米国の大学院留学←ベトナムでラーメン屋開…

真鍋希代嗣

京大准教授←起業挫折←マッキンゼー←国際機関←米国の大学院留学←ベトナムでラーメン屋開業←JICAイラク←PwC(外資コンサル)←キャバクラ…一見、支離滅裂な人生の経験をもとに、仕事やキャリアで悩まれる方々に有益な何かをご提供できれば。 https://x.gd/f24Ml

マガジン

  • 国際開発とビジネスのはざまから

    私が世界あちこちで仕事をした経験から綴ったエッセイをまとめています

最近の記事

イラクで働くということ

■国際問題に興味を持ったきっかけ 大学では物理学を専攻しており、将来は海外の研究機関で仕事をしたいと考えて英語の勉強にも力をいれていました。長期休暇を使っては海外で英語の勉強をしていて、中国やカンボジアなどの途上国の方々と話をする機会にも恵まれ、彼らとの環境の違いを理解するようになりました。 途上国で暮らす人々には、本人がどれだけ頑張っても変えられない現状があるということを知り、ショックを受けました。それまでは人生は自分の努力によって切り開けると思っていたのですが、それよ

    • 日本人にもっとクリティカルシンキングを

      友人に誘われて、社会人向けの勉強会に足を運びました。実際に参加してみてすぐに気づいたのは、それは情報弱者の方々をターゲットとしたセミナーでした。テーマに関する具体的な内容は非常に薄く、根拠の曖昧な精神論のような話が続き、私はうんざりしてしまいました。 驚いたのは、多くの参加者が、その怪しげなセミナーの主催者が提供する有料プログラムにその場で入会をされていたことです。セミナー後の懇親会で彼らと話す機会がありましたが、盲目的にセミナーの内容を信じられている印象でした。そこそこの

      • 市場

        先月、趣味のキックボクシングで試合に出てアマチュア4勝目を挙げました。私はアマチュアなので数千円の参加費を払って出場していますが、プロの方々はファイトマネーをもらう側であります。いくらぐらいかご存知でしょうか?イベントや試合の注目度によって異なりますが、1試合数万円から数十万円が相場です。 日本のプロボクサーの収入(副業などを除き、ボクサーとして得ている対価)は、キックでなく普通のボクシングですが、日本タイトルレベル、つまり日本で一番の選手になっても100~200万円と言わ

        • 物語の力

          これは私が講演の中でよく紹介する、私が実際に体験したエピソードです。イラク、ベトナム、アメリカと5年かけて三か国で色々な仕事をしてきたからか、日本に帰国してからはいろいろなところで講演に招かれることが多いです。 今は経営コンサルタントとして仕事をしているのでクライアントにプレゼンテーションをすることも多いのですが、ビジネスシーンで企業や政府のお偉い方々に説明をするのと、高校生や大学生などの若い方々に講演でお話をするのとでは話のアプローチが全く異なると感じます。 ビジネスで

        イラクで働くということ

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        • 国際開発とビジネスのはざまから
          11本

        記事

          マーケティング

          これまで国際開発とビジネスの狭間のようなところで生きてきましたが、最近はややビジネスよりの仕事をしています。今コンサルタントとしてある日系企業をクライアントに担当しているプロジェクトは、途上国の人々を対象とする新規サービスのマーケティングです。援助機関ではマクロな統計データばかり扱っていましたが、現在は打って変わって非常にミクロな観察をしています。 最近のマーケティングの世界では、ペルソナマーケティングといって、サービスや商品の典型的なユーザー像を描き、そのライフスタイルな

          マーケティング

          断酒

          「宗教上の理由ですか?」 断酒をしていると、たまにこのような冗談を言われます。実際、ラマダンの時期にイラク人の同僚らとともに断酒断食に挑戦したことはありますが、今回はイラクとは何も関係なく、また医者に止められているわけでも、深酒で何かやらかしたわけでもありません。 DCに来る直前のベトナムと日本での1ヶ月間は文字通り毎晩誰かしらと飲んでおりました。それはそれで有意義なのですが、一度飲みに行くとそのまま二次会、三次会…と気づけば4,5時間を平気で使い、また、飲んだあとは仕事

          バーでの出会い

          大学院の夏休みを利用して数日間だけ日本に帰省していました。地元に帰るたびに立ち寄るバーがあります。そこのカウンター席で隣になった、航空会社のパイロットの方から素敵なお話を伺いました。 その方は学生時代からパイロットになることを夢見ていたそうです。日本で旅客機のパイロットになるには主に3つの方法があります。 一つ目は大学卒業時にANAなどの大手航空会社の自社養成パイロットとして採用される方法。給料をもらいながら訓練を受けられるのが魅力ですが狭き門です。 二つ目は大学卒業後

          バーでの出会い

          起業からの学び

          今年の頭、実験的に半年間限定でベトナムのホーチミンで起業しました。小さな飲食店の経営でしたが、この経験を通じて多くを学びました。 面白かったのは、経営者とサラリーマンではお金に関する数字が逆に見えるということです。それまで頂いていたものと支払っていたものが逆転しました。例えばある飲食店のアルバイトの時給を見て、「バイトでこんなにたくさんもらえるのか」と思っていたものが「バイトを雇うのにそんなにかかるのか」になりました。また、メニューを見て「ここのランチは高いなあ」だったのが

          起業からの学び

          水と油

          1994年、日本では歴史的な水不足により全国各地で渇水が発生しました。私の地元福岡でも計画的な断水が実施されました。当時小学生だった私は、タンクに貯めた水で歯を磨きながら、断水とは煩わしいものだな、と思ったのを覚えています。 あれから20年が経ち、私は今イラク国内のクルド自治区で仕事をしています。同自治区の中核都市であるスレイマニヤ市では、各家庭にタンクが常設してあり、水道水はそれに貯められて使われます。水道の利用時間が一日4時間に限られているためです。私は初めにこれを聞い

          感性

          旅行でパリとローマを訪れた。私にとっては10年以上ぶりの日本以外の先進国旅行であった。学生の時にいくつかの国を旅行して、途上国の方が色々な面で日本とのギャップが大きく面白かった。貧乏学生には物価の安い国の方が気楽であったというのもあったのだろう。途上国ならではの苦労も多いが、それもまた旅の醍醐味として捉えていた。それ以降、旅行はもっぱら途上国であった。 しかし、久しぶりの先進国旅行は思いのほか面白かった。それは、街並が美しいとか、食事が美味しいから、というだけの理由ではない

          日常

          日本では「進撃の巨人」という漫画が流行しているそうです。この漫画の中では、人間を襲う謎の巨人たちに人類は追い込まれ、生き残った一部の人間たちが高い壁に囲まれた街の中で生活しています。 これは漫画の中の設定ですが、私は今イラクの首都バグダードでこれと似たような生活を送っています。私が暮らす約10平方kmの安全地帯、通称「グリーンゾーン」は、全体をT-ウォールと呼ばれる高さ5mほどのコンクリートの壁で囲まれています。 壁の外はレッドゾーンと呼ばれ、そこでは巨人たちが常に住民の

          問題解決というビジネスアプローチ

          もしあなたがある事業や部門の立て直しを任された場合、何から始めるだろうか。ビジネスにおいてこのような営みは問題解決と呼ばれる。 経営層あるいは経営企画と呼ばれる方々は日々、正解のない問題に取り組まれているのだが、問題解決というビジネス手法の概念は日本ではまだあまり知られていないようだ。 問題解決の手法はマッキンゼーなどのいわゆる外資系コンサルティングファームによって開発されてきた。英語ではプロブレムソルビング (Problem solving) という。私は複数のコンサル

          問題解決というビジネスアプローチ

          ビジネスの文脈においてロジカルであるとはどのようなことか

          有名な大学を卒業していてもロジカルシンキング能力に自信がないというビジネスパーソンは多い。ロジカルシンキングの概念を広めたのは外資系コンサルと呼ばれる業種であるが、コンサル会社に勤める人であっても自信があるという人は意外と少ない。 ロジカルシンキングの苦手意識をなくすことの第一歩はロジカルシンキングとは何かを理解することだが、それを正面から説明している人はあまりいないようだ。 ここではロジカルに考えるとはどういうことかを考察してみたい。 世間一般で言うロジカルとはネット

          ビジネスの文脈においてロジカルであるとはどのようなことか