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事業がビジネスとわからない日本政府と寄生虫、IHIのジェットエンジンは韓国に勝てない。


日本の防衛航空宇宙産業振興の根源的な欠点は政府、防衛省、経産省、文科省、メーカーに防衛産業が「産業」であるという当たり前の認識がないことです。
だから世界の市場でどう戦うかという考え方すらできない。IHIに限らず防衛省に巣食っていれば税金チューチューで儲かると思っている寄生虫防衛産業です。ですから自社の事業を産業として伸ばしていこうという発想がない。
端的に言えば税金泥棒です。

メディアも同罪であたかも日本に最先端技術があって世界で戦えるという夜郎自大なテクノナショナリズムをばらまいています。

ついに日の目見た世界最高水準の国産ジェットエンジン
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53545?page=7

>世界のジェットエンジンを乗っ取りつつある日本
>世界のジェットエンジンは、米GE(ゼネラル・エレクトリック)、プラットアンドホイットニー(PW)、英ロールスロイス(RR)の3社が君臨する世界である。
>残念ながら、日本はこれらの航空エンジン大手と異なり、日本企業ブランドのジェットエンジンを作れていない。
>しかし、航空エンジン大手のジェットエンジンは、日本製部品、日本の技術が使用されている。そうした例は枚挙に暇がない。世界のエンジンの内部を日本勢が乗っ取りつつあるように見えなくもない。

> このように見てくると、世界のジェットエンジンは日本の産業技術によって支えられているようにも見える。もちろんXF9-1にはそのような日本の技術が使われる。

以下日本のコンポーネントや素材、製造機械すげーな、軍オタのオナニーのおかずのような話が続くわけです。
その伝であるならばアイシンや、横浜ゴムやフナックがトヨタと同等の自動車を作れるこということになります。

>XF9-1では、推力15トンを超える一流の戦闘機を飛ばせるエンジン全体を開発したのだ。優れた要素技術を持つだけでなく、一流のエンジンを丸ごと作った実績も生まれた。非常に期待を持たせる出来事ではないか。

そして以下のような逃げを打って記事は終わります。
>世界水準の戦闘機エンジンを誕生させたXF9-1回初は快挙であったものの、実用エンジンというよりも試作エンジンであるに留まる。

>XF9-1が追いついたように見えるF-22用のF119エンジンは30年前に開発されたエンジンである。

 >XF9-1が実際の飛行機を飛ばすまでには道のりが長いだろうし、その機会があるかすら確定的でない。また、仮にXF9-1のコア部分を利用した旅客機用エンジンを作るとしても、XF9-1で戦闘機を飛ばすよりもハードルが高い。

>XF9-1によって、日本がジェットエンジンを世界に売っていけるようになったかというと、そうではない。さすがに、これで日本が世界のジェットエンジン一流国になったと言うのは今のところ言い過ぎである。

世間ではこういうのを竜頭蛇尾といいます。この手の記事は多かったし、それはUS-2やC-2などの記事でも多いわけです。


こういう与太記事を政治家まで信用しているから、まともな産業振興ができない。だけども自分たちは世界最先端だという根拠なき自信があるわけです。ある意味「本気出せばできる」とうそぶくできの悪い受験生みたいなものです。

P-1用のF7だって、IHIすげー世界に冠たる国産エンジンと喧伝されました。ぼくは開発以前からP-1専用ということは試験予算も十分に取れず、生産数も少ないので信頼性に問題がある主張してきました。
事実P-1はF7のタービンブレードのトラブルで稼働率が3割程度と低い。現場では深刻な故障が起こる前に、検査ために飛行を停止するのでこういう稼働率になります。
防衛省は整備費増やして装備稼働率を上げるといっていますが、そもそもエンジンに欠陥があるので予算を増やしても改善しません。
F7の改善は行われていますが、それは全部税金で行われています。防衛省もIHIも卑怯ですからこのような事実は納税者に明らかにせず、無敵皇軍、無敵P-1みたいなプロパガンダを繰り返しています。

それでもF7を一里塚としてIHIが完成品メーカーとして内外の市場に打って出る気があったのであれば、そのための勉強代として税金でだめなエンジンでも面倒をみるという意義はあったかと思います。
ところがIHIに完成品エンジンメーカーとして世界の市場で勝負するきも戦略もサラサラない。外国の大手メーカーの下請けと、トリッパグレとリスクがない防衛省の仕事だけをして国に寄生虫のごとく張り付いて、税金を吸っていればいいと考えている。
確かに下請けとしては優秀でしょう。ですが、完成品メーカーと下請けでは見える世界が全く違う。エンジンの分野で世界の市場で相応の市場シェアを占めるとなれば苦難の道が待っているでしょう。それをやる気はサラサラないわけです。

そしてこれは政府も関係してきますが、ジェットエンジンメーカーの統廃合をする気がまったくない。エンジンやそれに付随する関連メーカーはIHI、MHI、KHIなどがありますが、これらの事業を統廃合して規模を大きくし、世界の市場で戦えるメーカーに育成するという気が、政府、防衛省、経産省にもありません。

対して韓国はぐんぐん力を付けています。

韓国ハンファエアロスペース、1万基目の航空エンジン出荷…「これからは独自エンジンに挑戦」
https://s.japanese.joins.com/Jarticle/317490

>1979年にGEエンジンのライセンス生産を始め2004年に3大エンジンに対するライセンス生産記録をすべて確保したハンファは独自のエンジン設計・生産に挑戦する。この日同社は2030年中後半までに韓国政府とともに1万5000ポンド級先端航空エンジンを独自開発するというビジョンを発表した。KF21戦闘機に搭載されたF414と同級エンジンを開発するということだ。現在F414エンジンはハンファエアロスペースがGEのライセンスを受けて生産し韓国航空宇宙産業(KAI)に納品している。ハンファエアロスペースはさらに次世代戦闘機である第6世代戦闘機のエンジン開発も推進するという。

>同社のイ・グァンミン航空事業部長は「未来の戦場の核心であるドローンもミサイル拡散防止条約の規制を受けるためドローンの輸入と生産に制限が多い。独自のエンジン技術を基にドローンを直接生産してこそ未来の戦場に備えられる」と話す。イ部長はエンジン産業の経済的側面を強調しながら「エンジンはさまざまな素材と多様な部品を使うため経済に及ぼす2次・3次波及効果が大きい」と話した。彼はハンファエアロスペースが2029年までに売り上げ16兆ウォンを達成し、2032年までに売り上げ20兆ウォンを達成するのが目標だと明らかにした。市場調査会社モルドールインテリジェンスによると、世界の航空エンジン市場は2024年に618億2000万ドル規模と推定され、毎年13%ずつ成長し2029年には1139億9000万ドルまで成長する見通しだ。ハンファエアロスペースが航空機エンジンの独自製作に注力する理由だ。

>ハンファグループは最近防衛産業に力を集中している。5日にハンファは防衛産業と産業ソリューション事業を分離する人的分割を実施し、ハンファエアロスペースが防衛産業・航空・宇宙事業にだけ専念するよう再編した。

確かに30年前なら日本方が技術的に優れていたでしょう。ですが単なる下請けに甘んじ、クズでも何倍も高くても買ってくれ、リスクがまったくない防衛需要で食っているうちにどんどん差は縮まっていくでしょう。

戦闘機、ヘリコプター、ミサイル、火砲でもそうです。韓国は国家として明確な軍事産業育成の戦略を持っており、市場での厳しい試練にさらされてきました。国内であれば
なにか不具合があっても軍は穏便に済ませてくれるでしょうが、海外の顧客はそうは行きません。
厳しい市場で、性能、品質、コスト、アフターサービスなどの質が問われるわけです。いい加減に仕事をしていては食っていくことはできません。

こうして日本の政府、政治家、役所、メディアがウリナラマンセーという白日夢に老けている間に韓国は着々と、技術力をあげて、コストを下げて、世界の市場でシェアを広げているわけです。海外向けに開発もするわけですから、開発のペースも早い。
いまだに同じ分野で弱小メーカーを保護しており、あまつさえ防衛装備の利益率をあげて甘やかそうとしている日本が太刀打ちできるはずがありません。

どうせ勝てないのであれば国内調達は諦めて防衛産業は潰した方が納税者のためです。付与な調達をやめて予算を浮かせて、海外メーカーを競わせていい条件を出させたほうが、国防の面でも有用ではないでしょうか。

無能な味方ほど大きな国防の敵はありません。



東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない
やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
https://toyokeizai.net/articles/-/744651


月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。


軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

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