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実は、ハマスにはいてほしい全世界

 先日の山森みかさんのご解説で、よくわかったことがあります。

 それは、イスラエルとハマスが小康状態になっていることが、全世界にとって都合が良いのでは?という、イスラエルの人たちの思いです。しかし今回は、大虐殺を経験した。この構造を変えなければ、再び同じことが起こるという深い懸念です。

 しかし、それを変えようとすると、全世界が何とかしてイスラエルを抑えようとする。なぜか?その「都合」が悪くなるからという本音なのです。占領だの、ガザの人たちの人権だの、国際秩序が乱れるなど、いろんなことを言っていますが、実は、自分たちの都合が悪くなるからということで、イスラエルだけを非難して、自己中心な動機がまるでないかのようにふるまっているという、偽善、欺瞞がわかりました。

 アラブ諸国は国内での指導層への反発のガス抜きにしています。彼らは本音はハマスをイスラエルが壊滅してくれることを願っているのです。でも、イスラエル寄りになれば自分たちが危うい。だから逆に非難するのです。

 欧米諸国は、国際法とか人道・人権とかきれいに収めたいのです。でも、そんなものは全く通用しないテロリストたちであることを知っているのに、きれいにしたいから、通用しないハマスではなく、話が通用するイスラエルに押し付けるのです。

「援助経済」という最悪の援助形態


 日本はどうでしょうか?日本は、欧米中心の国際秩序の中で、遠い中東のことにも平和協力していますよ、という「体裁」を整えるために尽力してきてきました。そう、本当に中東のことなんか思っていません。体裁を整えているだけです。特に、石油を依存しているアラブ諸国でもない、イスラエルなんて、利害関係がほとんどありません。

 日本国民は、中東は遠いところ、なんかよくわからないし、文明未開のところみたいに見ている、見下げた視線を少なからず持っていると思います。イスラエルだけでない、アラブ諸国に対してもそれであり、例えば最近、朝日新聞がサウジアラビアのことを書くときに、ずいぶん馬鹿にしたような記事がありました。

 しかし、中東紛争に平和的関与をしなければいけないし、石油を依存している地域だから、基本、アラブ寄りですが、欧米の目が気になるからイスラエルにも友好を示し、自ら「中立」(?)を保っているのです。

 なぜこれが自己中心的な思いかと言いますと、パレスチナは確実に「援助経済」になっています。自立した経済ではなく、完全依存型になっています。それが、パレスチナ自治政府の腐敗の根幹になています。被害者ビジネスです。

 そこで選挙でハマスをパレスチナ市民は選びました。しかしハマスも、この利権を狙っています。だから、派手にテロを起こす。今回は、全体の流れがアブラハム合意で、アラブ諸国がイスラエル寄りになっている。彼らは大虐殺をして、イスラエルの怒りを引き出して、それでアラブが非難する立ち位置に戻ったので、万々歳です。これで、自治政府ではなく、ハマスへ「援助金」が流れていくことを期待している。

 こういったかたちで、腐敗やテロの温床となっていて、パレスチナ人の子たちが憎悪を持っていて、自分たちの指導者が腐りきっているのではなく、イスラエルが悪いのだと教育されて、それでテロリストを醸成していく。

 こういったことは、世界のほかの発展途上国では日本は行っておらず、自立した経済の発展のために最大限の努力をしています。JICAなどの働きは目覚ましいものがあります。しかし、ガザだけは、パレスチナ難民の国連機関UNRWA(それ自体もテロの温床となっています)などに丸投げしている。(今回もそう)でも、体裁を整えることが目的ですから、日本国としては理にかなっているのです。日本人が本気でパレスチナ人のことなんか、思っちゃいない。

 それぞれが少しずつ自己中心的な行動をとって、それがガザに吹き溜まりになって、ハマスを通してイスラエルが大虐殺を受けたとも、言えるのです。イスラエルに非がないということでは、もちろんない。しかし、あたかもイスラエルの国の成り立ちがパレスチナを占領しているうえに成り立っている(これも神話ですが・・)ということだけを取り上げ、自分たちは差し置いて、イスラエルだけのせいにしているところに、ひどい偽善があるのです。

 「ハマスにはいてほしい」のです、全世界は。これが本音です。それぞれの事情でいてほしいのです。でなければ、イスラエルの「ハマス根絶」という言葉にどうしてあんなに過敏な反応をしているのでしょうか?アラブ諸国の国内情勢、パレスチナ自治政府の腐敗体制温存、欧米諸国の人権と国際法にある自己矛盾、日本政府の援助経済の体裁、こうした隠れた動機が蠢いているのに、「イスラエル=悪」にしておけば済むのですから、こんなに都合の良いことはない。

 最後に、ハマス創始者の息子の、モサブ・ユーセフ氏の動画をご紹介します。全世界で「パレスチナに自由を」「占領をやめよ」を掲げている、反イスラエルのデモや活動家に対して、怒りに満ちたメッセージを送っています。主な内容を下に要約します。

だれのパレスチナの話をしているのか?ただ自分たちの憎悪を、虐殺を受けて悲しんでいるユダヤ人の傷口に塩をぬっているのだ。どこの「パレスチナ」なのか?ハマスのパレスチナか?自治政府のパレスチナか?イスラム聖戦のパレスチナか?お前たちパレスチナに行ったことがあるのか?その痛みがわかるのか?俺はそこにいたのだ。
お前たちは自分たちの国の政治家に訴えていればよい。俺たちには、中東のやり方があるのだ。ハマスを除去するのだ。ハマスのしている仕業は、イスラエルを痛めつけているだけでないのだ、ガザの人々も痛めつけているのだ。神の怒りを買っているのだ。

(注:kiyoman70の要約、こちらに全訳があります)

 
 こうした中東のやり方に囲まれているのがイスラエルです。でも体裁を整えたい国際世論に付き合わなければいけない。でも、それで1400人が殺され、200名以上が人質になっている。ガザの人たちも、悲惨。だから、「そんなのどうでもいい!」と言っているのが、モサブさんの言っていることです。

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