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【台湾発祥】台湾学生SNS「Dcard」利用規約を読み解いてみた

利用規約ウォッチャー みなしボウイです。

中国企業の真実として「TikTok中国本土版」と「腾讯(Tencent)中国本土版」の利用規約をウォッチしましたが、海峡を挟み対岸側である台湾発祥のITサービスの利用規約がどのようになっているのかを見ていきたいと思います。

台北の夜景

Dcard(ディーカード)」は、2011年に林裕欽氏や簡勤佑氏をはじめとする台湾の学生たちによって立ち上げられたSNSサービスです。現地台湾の大学生を中心に急速に利用が広がり、2023年11月時点で台湾で800万人以上の会員、月間2000万人以上のユニークビジターを抱えています。2018年以来、香港、マカオ、日本など新たな市場にも展開しています。

Dcard(ディーカード)

今回、「Dcardユーザー規約(Dcard用戶使用協議)」をウォッチしていきます。重要な3つのポイントに注目して利用規約をウォッチしていければと思っています。


最後までよろしくお付き合いください。

「Dcard用戶使用協議」の原文は繁体字中国語であるため、今回は、Google Translateによって日本語へ翻訳されたものを利用します。この翻訳版はDcardが用意している公式版ではなく、翻訳により原文とは異なる解釈となる場合があります。あらかじめご了承ください。


台湾のネット事情

Dcardユーザー規約をウォッチする前に、台湾のネット事情について簡単に触れておきます。一般的に「台湾」とは、中華民国政府の施政下にある台湾島/澎湖諸島/金門島/馬祖島のことを指しますが、本記事においても同一の解釈で進めていきます。

インターネット上の自由度

国際NGOフリーダム・ハウスが発表している、インターネット上の自由度に関する報告書「Freedom on the Net 2023」によると、台湾のスコアは100点満点中78点自由度が高いと評価されており、全体6位となっています。ちなみに同報告書では、日本のスコアはドイツと並び77点で全体7位、続いてアメリカ/オーストラリア/フランスは76点で全体9位、以降割愛しながらになりますが、シンガポールが54点で全体35位インドが50点で全体41位ロシアが21点で全体66位中国本土が9点で全体70位となっています。

インターネット自由度の高さだけが国民の幸福ではないとは思われますが、台湾は先進国並みのインターネット自由度を持っていると言えます。台湾国内では、「デジタルプラットフォーム規制案」がかつて検討されたことがありますが、国民の大反発で撤回されたこともあります。

国家通訊伝播委員会(NCC)が推進する数位中介服務法(中介法、デジタル仲介サービス法)草案は、フェイスブック(FB)やYouTube(ユーチューブ)などのプラットフォーマーに対し、行政院傘下の経済部、交通部などの主管機関が不適切な言論と認定し、警告したにも関わらず削除しなかった場合、最高1000万台湾元(約4600万円)の罰金を科すなどの内容が盛り込まれている。対象企業は強く反発、市民の間でも「言論の自由を脅かす」などと反対の声が高まり、野党が「中国式の言論統制だ」と批判する中、蘇貞昌・行政院長は22日、部会(省庁)間で協議し、誰もが納得できるようになってから進めると述べ、事実上の撤回を迫られた。

威志企管顧問股份有限公司 経済ニュースより抜粋

SNS利用度

台湾では、日本と同様に外資系SNSがよく利用されています。台湾のすべての世代において使われているSNSはFacebookInstagramであり、LINEも使われています。

外資系SNSのシェアが軒並み高い中で存在感を示しているのが、今回ウォッチする台湾発祥(いわゆる台湾国産)SNSであるDcardになります。


適用法、裁判管轄

Dcardユーザー規約によると、適用法は中華民国法であり、台北地方裁判所(臺灣臺北地方法院を第一審裁判所とする定めがあります。

1. 本契約の適用法は中華民国法とします。
2. 両当事者は、本契約に起因する紛争または相違をまず誠実な交渉を通じて解決するものとし、合理的な期間内に合意に達しない場合、両当事者は台湾の台北地方裁判所を第一審の裁判所とすることに同意するものとします。

Dcardユーザー規約 準拠法および管轄裁判所
臺灣臺北地方法院

禁止事項

発言や表現の自由が確保されているDcardですが、利用者が学生主体であることから、青少年保護に注力しているようです。このあたりは日本のSNSに近いものがあると思われます。

ユーザー コンテンツには次の情報を含めてはなりません。
1. 削除ルールや禁止内容は各掲示板ルールにあります。
2. 児童や青少年の性行為やわいせつな行為を映す写真、写真、ビデオ、またはその他の同様のアイテム。
3. 人為的な性的取引を誘発、仲介、ほのめかし、または促進するのに十分な情報。
4. 児童・青少年の性的搾取の防止等に関する条例第2条第1項第1項から第3項までの規定に児童又は青少年を誘導、あっせん、示唆し、その他の危険にさらすに足りる情報。
5. 公開されたコンテンツは、児童または青少年が関与した刑事事件に関連しており、関係当事者の名前またはその他の当事者を特定するのに十分な情報が記録されています。
6. 他者の知的財産権、肖像権、プライバシー権その他の権利を侵害する内容。
7. 本契約に違反するコンテンツ、または他者に本契約への違反を奨励するコンテンツ。
8. 法律の強制条項または禁止条項に違反するコンテンツ。
9. 公序良俗に反する内容。

Dcardユーザー規約 ユーザーコンテンツの制限

台湾では「兒童及少年性剝削防制條例(児童・青少年の性的搾取防止条例)」が制定されており、児童や青少年の性交やわいせつな行為への誘導やポルノ作成などの性的搾取に対する罰則が設けられています。

またDcardユーザー規約では、ハラスメント、わいせつ、脅迫、詐欺、いじめに関する言動についても制限があります。

台湾では、オルタナティブ教育やギフテッド教育へ注力し、教育の多様化に対する先進性が評価されつつあります。しかし、いじめは台湾にもあるようで、35歳の若さで台湾のデジタル担当相となり新型コロナ対策で活躍した唐鳳(オードリー・タン)氏も幼少期にはいじめ体験があったそうです。


今回は、このあたりで終わります。ありがとうございました。

なお本投稿における、発表内容は発表者個人の見解に基づくものであり、本投稿にて取り上げられている組織及びサービスの公式見解ではありません。

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