唸りのようで目が覚める 雪をとかいて洗顔に 今宵な時分は鍬投げる 囲炉裏を囲んで語りけり 春を待てずに外出ば 青黒目玉にさらわれる
朝モヤの湖畔に 手招き一つ 凝らして見れば 無数の石祠 湖上に一つ古船あり 朽ちた帷子 向かって来るは いつしか一本柳の木 シルクの揺らぎは 波紋の瞳
競うことが重要なんじゃない 楽をすればいいわけじゃない 大切なことは、 前を向いて一歩でも努力すること そこにこそ原石がある
何でもない草 何でもある草 踏みつけられて 刈られても またすぐに生えてくる そこに根を張るわけは 何でもない草だから 何でもある草だから
路地裏の石畳が妙に眩しく 古時計と麹の香り AMラジオは蒸気に消され 火鉢のカケラは炎の肥やし 緑は記憶を連れ去り 風を呼び込む 煎れた珈琲は遠くを鮮やかに 庭の玉露に眩しさ覚え 空には火星が待ち侘びる
夜露をまとい 竹はしなる 和音は色づき ししおどしひとつ うろこの無い魚は目を剥き 葉っぱの気孔は口を開け 朝もやの準備を始める 梅雨のはじまり
天にこぼれた ミルクの流れる先に 山の麓の湖にきらめく カニやサソリや魚が 沢山グルグルしていて 湖畔には 剣を持った牛飼いが 乙女を狙ってる グルグル グルグル 天にこぼれた ミルクの流れる先に 遠くの 遠くの方に 湖を作るのだろう もっと もっと ずっと 遠くの湖に 希望と絶望を求めて 天にこぼれた ミルクはグルグル 流れていくだけ
く確かなリングを星屑にして 光の糸は汽笛に響く 250万光年の石ころを求めて 老体に油を指すブリキの体 望遠鏡を覗いたならば そこはもう超新星 それでも光に乗って 宇宙と化すdark matter
地球のふくれっつら 雨粒の冷ややかさ 下水道のキラメキ 木目の昼下がり コーヒーに滲む木漏れ日 ミツバチのバイオリン アートの涙
ハナムグリ ハナモゴリ スゴモリ ・・・ ハナモゴリ?
尾っぽが優しく音を揺らす ゆらゆら ついていく たまに葉っぱでひと休み そしてまたゆらゆら ついていく せんとうは何処 ゆらゆら あゝらくちんらくちん
風のしっぽ 雫の手 雨の予感 生の予感 雨上がりの喜び 生きる喜び 岩苔の匂い 草露の一滴
風のココロはどこにある 遠く遠くの向こうの空から 何かを伝えて 時には力んで強風になったり 時には風邪をひいてしまって コントロールが効かなくなって 嵐になったり でも、一生懸命に伝えてくる だから、ちょっとだけ 優しくなって澄まして その声を聴いてみよう
デジタル デジタル 都市の繁華街 欲望のうずまく 眠らない街 アナログ アナログ 地方の廃れたシャッター街 機能するだけの 地味で斜陽な街 地方移住 デジタルからアナログへ アナログ蛍は 幽かに確かに生きている
風の中に風はいた 若葉の震え 葉脈の鼓動 青虫のダンス 雷雲は遠く久しい 陽の光を抱き抱え 風は巣立ちした トンビに誘われ 高く舞い上がる 清々しい太陽を浴びての さわさわする急降下 風のひと時の安らぎ
都会のゴミ溜めにうもれた 無邪気な原石 何千何万億光年の異質な光を放つ 原石を光へ導ける唯一は 出来損ないの岩 かつての光を放つ石ころ 全宇宙の異質な光を育て愛しめて