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記事一覧
【短編小説】ロボット掃除機『ルンバ』の日
ズビビビビビ。たまに、ガッタン。ウィィィィィン、も聞こえてくる。
あんまり広くない部屋の、床面を這うように進む丸い物体。それを、飽きもせず眺めている様は異様に見えるのかな。
ロボット掃除機のルンちゃんは、うちに一年前に来た可愛い子だ。なんたってご飯をあげなくても自分で充電してくれるし、お部屋の中を一生懸命、でもゆっくり少しずつ走り回るのもいい。それにそのゆっくり具合と丸いフォルムが愛らしい。
【短編小説】ロゴマークの日
「マッキ、アディドス、ナイク、……へーこれもロゴマーク?」
「そうだよ、ちっさいこ抱っこしてるおかーさんだからイメージしやすいでしょ」
「解りやすく図案化したもの、だっけか」
「そう。このマーク持った人が妊婦さんって解りやすいけど、リアルすぎてグロいのは一般に受け入れられないだろうし、こんなかんじの可愛い絵柄になったんじゃないかな。あくまで私のイメージだけど」
「うん、いや、確かに、たまに断面図っ
【短編小説】チューインガムの日
ぷくーっと膨らませて、パチンと弾ける薄い膜。
何度も噛むうちに段々味は消えてきて、何で噛んでるんだろうって思い始めるけど、なんとなく惰性でそのままもぐもぐと口を動かしたままになってしまう。
薄っすらと白からオレンジになりかけの空を教室の窓越しに見ながら、味のしない弾力をぐにぐにしてはぷくっと膨らませて。パチンと弾けてはもう一度を繰り返してたら、いつの間にか待ち人が来てたみたい。
「何してんの