Kitsune-Kaidan (狐怪談)

実話会談、フィクション、ファンタジー、お化けの話、人怖、スピリチュアルな話、絵本など……

Kitsune-Kaidan (狐怪談)

実話会談、フィクション、ファンタジー、お化けの話、人怖、スピリチュアルな話、絵本など…、不思議で怖い話にまつわることを書きます。オリジナルの挿絵やアートも作っています。

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「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第1話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

あらすじ 主な登場人物 プロローグ・コダマの死 コダマが死んだ。 身体の震えが止まらない。春先の肌寒さで震えているわけでもなければ、訃報のショックで震えているわけでもない。心の中に秘めた怒りが静かに震えているのだ。私はその怒りを、真っ白な布でおくるみのようにぐるぐる巻きにして、頑丈な木製の棺に収めた。そして、その上から鎖を巻きつけ、重い南京錠を何個もかけ、心の奥底にそっと埋葬していた。その存在を誰にも知らせず、ずっと暗い心の隅に適当に埋めたままだった。その棺が開け

    • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 最終話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

      虚無感 パトカーの赤色灯が、桃色の夕焼け空を照らしていた。 若手の岡島刑事が中心となって、事情聴取と現場検証が長時間に渡って行われた。教頭室の奥の部屋、そう、コダマのあの監禁部屋に部員がひとりずつ呼び出されていた。 私は恐怖と不安でパニックになり、足の震えと冷汗が止まらなかった。あれ以来、密閉された空間が怖くてたまらないのだ。中に入れずに廊下で立ち尽くしていた。 シワだらけのヨレヨレのコートを着ている岡島刑事は、パイプ椅子に浅く腰かけている。挑発するような態度

      • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第8話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

        悪夢 誰もいない教室の中に般若のお面をつけたコダマがいる。教壇の上からコダマが私の成績表を床に落とす。ヒラヒラと床に向かって落ちていった成績表を慌てて拾おうとすると、コダマはゲラゲラと笑いながら私の指を踏みつける。 「痛いっ」と、私は叫ぶ。 般若のお面をかぶったビキニ姿の女子生徒たちが突然現れ、私を嘲笑っている。コダマは女子生徒の体を触りながら、ヨダレをたらして高笑いしている。そして、彼女たちが持つ三宝の上に置かれた成績表を鷲づかみにし、ひっきりなしにそれらを撒き散

        • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第7話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

          スキー旅行 私たちは無事に冬休みを迎えた。駅前で待ち合わせ、それぞれ好きなお菓子や飲み物を買い込み、六人、いや七人でバスに乗り込んだ。紀香と彼氏、私と信玄、バナ先輩の横は空席があり、通路を挟んで幼なじみが座っている。もちろん、その空席にはヨウコ先輩が座っていた。 紀香と彼氏にヨウコ先輩のことを紹介したことはなかったが、ふたりとも感がいいのでなんとなく察知していた。バスの中は、例の不気味なメモの話で盛り上がった。 「これで、マキさんとホソカワもつながったってわけか」

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        「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第1話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

        • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 最終話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

        • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第8話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

        • 「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第7話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品) CW

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第6話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          謎を解く 昼休み、私たちはいつもの用具室の前の廊下に集合していた。初めて噂のボッコリ現象を目撃した信玄と幼なじみは、目をまんまるにしていた。ヨウコ先輩の姿が見えないのが残念だと、幼なじみがボソッと言った。 「ご存知の通り、ヨウコは自殺じゃない」 バナ先輩は堂々と言った。私たちはいっせいに頷いた。黙って首を縦に振るヨウコ先輩の顔には安堵の様子が見えた。みんなの理解を得られたことが嬉しかったのだろう。 「ヨウコ先輩も頷いています」と、私は手短に通訳した。 「問

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第6話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第5話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          アニメ部訪問 一階の用具室の近くにあるガラスケースの前に、私は立っていた。軽い金縛りになった後、ボッコリが現れた。そして、いつものように背後からバナ先輩が現れ、ボッコリの方を再び振り返ると、ヨウコ先輩が立っていた。 「本当は、ヨウコ先輩のこと、見えてるんじゃないですか?」 登場するタイミングがあまりにも良すぎる。合わせているのではないかと疑うほど、ふたりの息はぴったりだ。だからこそ、ふたりがこの世でもう一緒にいられないことを思うと切なくなった。 「さてと、さっ

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第5話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第4話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          バナ先輩の彼女 「ハハハ」 一部始終を見ていたバナ先輩が、私の情けない表情を見て笑っていた。ただでさえ毎日暗い部活に耐えているので、これ以上ショックな出来事を増やしたくなかった。笑い飛ばしてくれる人がいたことが救いだった。私の代わりに信玄に謝ってもらうようお願いした。 「そういうのは、自分で謝った方がいいよ」と、あっさり断られた。 バナ先輩は、今度機会を作ってあげるから、自分の言葉で謝るよう提案してくれた。そして、ちょっと悲しそうな顔をしてこう言った。 「懐

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第4話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第3話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          ゴミ屋敷訪問 まだ残暑が厳しい新学期、帰りの長いホームルームが始まった。コダマは相変わらず成績の悪い生徒を見下し、名指しで叱りつけていた。ただの腹いせでこんなことを繰り返していることに、みんなとっくに気がついていた。数学が苦手な私は少々苦戦していたが、英語と国語が得意科目だったため、総合的に見るとそこまで成績は悪くなかった。 「お前なんか、いい点を取れるはずがない」 コダマはそう言って、私の成績一覧が印刷された細長い紙を教壇からヒラヒラと床に落とした。私は思わずコ

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」 第3話・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW 

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第2話 ・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW

          廊下の怪談 「どうしよう…」と、今にも泣き出しそうな女子が呟いた。 学校祭が近づいたある日の朝、教室に入ると女子たちは深刻な顔をしていた。理由を尋ねたとたん、泣きそうだった女子の視線が私の背後に釘づけとなり、彼女は言葉を失った。私は背後に奴の気配を感じ、ゾクッとした。 「楽しみだ。実に楽しみだ。これでユートピアに一歩近づいた」 コダマがものすごい力で私の肩を押さえつけながらそう言った。指名された女子はビキニ姿で学校祭のステージに立ち、昔のアイドルの歌を歌うよ

          「体罰・すべての被害者たちへ捧ぐ」第2話 ・怪談長編小説(note創作大賞2024・ミステリー小説部門応募作品)CW

          霊感とは 実話

          はじめに 今回は私(Kitsune-Kaidan)の霊感の歴史について書いてみたいと思います。霊感は実に人それぞれだと思います。私の霊感とみなさんの持つ霊感は似ているところと、違うところがあると思います。さまざまな霊感を比べてみるのも面白いのではないでしょうか。 以前 は、第六感と霊感について五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の観点から箇条書きにして書き出してみました。こちらから読めますので、あわせてお読みください。 それでは、不気味な世界へとつながる扉をお開けくだ

          「緑のやつ」 ショート実話怪談

          はじめに これは私(Kitsune-Kaidan)がキャンプに出かけた時に緑の妖怪を見たショート実話怪談です。いまだにはっきりとした正体はわからないのですが、あの時に目撃した不思議な緑色の存在を今でもはっきりと思い出せます。 それでは、不気味な世界へとつながる扉をお開けください。どうぞお気をつけて、行ってらっしゃいませ。 買い出し あの夏、久しぶりの遠出でワクワクしていた。ところが、この町に入ってからはなんとなく落ち着かず、私はソワソワしていた。 (かなり田舎だな

          「緑のやつ」 ショート実話怪談

          「廃墟ホテル」 ショート実話怪談

          はじめに これは私(Kitsune-Kaidan)が地元のある温泉ホテルに泊まった時のショート怪談です。あの時の私は、過去の記憶がまるでスッポリと抜け落ちてしまったかのような状態でその不気味なホテルに宿泊しました。 夜に起こった身の毛もよだつ怖い体験をきっかけに、そのホテルの場所にまつわる過去の記憶が突然フラッシュバックしました。まさか時を経て同じ場所で2度も怖い体験をするとは思ってもいませんでした。実はそのホテルがあった場所は地元ではかなり有名な心霊スポットで、幽霊の

          「廃墟ホテル」 ショート実話怪談

          「鬼門(きもん)・あの世とこの世の境目」 ショート実話怪談

          はじめに これは私(Kitsune-Kaidan)が、亡き父と永遠の別れを交わしたある夜のできごとの話で、鬼門にまつわる実話ショート怪談です。半分夢で半分現実のようなフワフワとした不思議な感覚なのにハッキリとした記憶があり、現実だと信じざるを得ない証拠がありました。 それでは、不気味な世界へとつながる扉をお開けください。どうぞお気をつけて、行ってらっしゃいませ。 眠れない夜 当時の私は絶不調だった。父を亡くしたショックも相まって夜はなかなか眠りにつくことができず、深

          「鬼門(きもん)・あの世とこの世の境目」 ショート実話怪談

          「鏡の中の女性と目があった」 ショート実話怪談

          あらすじ これは私(Kitsune-Kaidan)が、カナダのある有名な美術館を訪れた時に体験した実話ショート怪談です。その大きな美術館には世界の有名な美術品や化石、民芸品、現代アート、写真など、さまざまなアートが展示されています。教科書で見たことのあるような展示品を通して歴史を感じることができる素晴らしい博物館です。 魅力的な芸術品に圧倒されながらも各階の展示品を楽しく見物していました。アール・デコやヴィクトリア朝時代の装飾品が展示されている階に足を踏み入れた時から少

          「鏡の中の女性と目があった」 ショート実話怪談

          「3名様ですね?」 お化けカラオケにて ショート実話怪談

          あらすじ 3名様 「いらっしゃいませ。お客様は3名様ですね?」 「いいえ、違います。2名です」 このやりとりを今まで何回繰り返してきただろう。私(Kitsune-Kaidan)がお店に入ると、こういった状況に陥ることが度々ある。カラオケ、レストラン、カフェ、回転寿司などなど…。普段何気なく暮らしていると、受付で人数確認をされる場面に出くわす。 最近ではデジタルでの事前予約など、店員との関わりが少なく入店できるビジネスも増えてきたのも事実だが、いまだにこうしたシン

          「3名様ですね?」 お化けカラオケにて ショート実話怪談

          「地獄の釜の蓋(じごくのかまのふた)」 その⓸完 おとなの絵本怪談 

          これまでのあらすじ 異次元通路 幾重にも連なる鳥居の向こうに見える宇宙のような景色に目を奪われ、しばらく無の状態になってしまった私。瑠璃色のポータルが透明な狐の置物のお腹の中で点滅し、完了を知らせる音が鳴り響いた。我に帰った私は、再び無意識にポータルを取り出していた。 鳥居へと続く道が七色に光る。私はその先に足を踏み入れることを怖いとか不安だとは思わなかった。何故かと問われると、正直言ってはっきりとした理由はわからないが、この七色の道を通ったことがあるような気がするの

          有料
          150〜
          割引あり

          「地獄の釜の蓋(じごくのかまのふた)」 その⓸完 おと…