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我が家のリノベーション録 <日干しレンガをつくってみた>

なるべくゴミを出さずに自然素材を使ってつくる。
そんなこだわりのもと2013年から数年にわたって歩んだ我が家のリノベーション記録。
断片的に小出しにしていきます。

ことのはじまりは薪ストーブ

築30年の民家、改装して薪ストーブを設置することは決めていました。
薪ストーブって夏は使いません。(当たり前。)
我が家は比較的温暖な地域なので、使うのはせいぜい半年です。
つまり残りの半年はただのかさばるオブジェと化すわけです。
なので、見惚れるくらい美しいもの、不使用時もニヤニヤできるくらい気に入ったものにしたいと思いました。
そして、そのストーブの存在感と調和し引き立ててくれるような炉壁については結構悩みました。
炉壁とは薪ストーブの熱によって壁や柱が炭化しないように守るもの。
通常、タイル、鉄、石、レンガ、など不燃物でつくります。
家の壁がくずれては困るので、必死で探したところ。
気に入ったものが見つからない。
レンガで感じがよいものはかなり高価で手が出せず。
タイルはストーブの重厚感に対して薄っぺらい感じがして。
石はモダンでかっこよくなりすぎてうちには合わない。。。
いろんなカタログやネットで調べに調べて、すごくすごく悩んだ結果。

気に入ったものがないならつくればいっか。
余った壁土で日干しレンガをつくってみよう。

ということで。
もともとの家が土壁の家だったので、改装にあたって壊した土を集めてまた水をかけて泥に戻して、また土壁として再利用するためとっておいたのがまあまあ余っていたのです。
(昔の家はこんなふうにゴミがでないんだなあとすごく感動したのを覚えています。大学ではこんなこと教わらなかった!)

土はなにしろ余っているのですからお金もかからないところも魅力です。
ということで、さっそく日干しレンガ製作にとりかかりました。
普通に日干しレンガをつくると黄土色になるので、松煙という墨汁にも使われてきた昔ながらの顔料をまぜてグレーの日干しレンガをつくることにしました。

日干しレンガづくりにチャレンジ

まずは土壁プールから必要なだけ壁土をとりだして、松煙とまぜます。
量とか全然わからないのですこしずつ。
しかも乾いたら色が変わるだろうから、まあちょっと濃いめぐらいで。
すんごく適当。
足で踏んづけてこねこね。

どこか懐かしいにおい。
松煙はパッケージも素敵、中は真っ黒。


図面からできあがり寸法が出ているのでそれを目指して少し大きめに型を製作します。
乾かしたらちょっと縮む想定で。
大きさも色もわからないので、とりあえず試作をつくります。
半マスも。

これはやってみてわかったのですが、粘度は水分が多いとゆるゆるで型からはずれないので、土粘土ぐらいの硬めの練り具合がよいようです。
型の角にぎゅぎゅっと土を詰める作業、けっこう指が痛い。

硬めの方がうまくいきました

完成! あとは乾かすだけ

意外とエッジもしゅっとしてどこからどうみてもレンガです。
かなりイメージ通り。

土を乾燥させただけなので水がかかれば、泥にもどります。

左は松煙なしのプレーンタイプ。


日干しレンガ工場と化す現場。

完成した炉壁はイメージ通り、鋳物の重厚な黒と相性バッチリです。
工業製品には絶対出せない味わいがなんともいえずとても気に入っています。

自慢の炉壁。と薪ストーブ。


完成してから10年近く経ちますが、崩れたり劣化することもなく不変の存在感。ゲストの評判も上々。
こんな日干しレンガをつくりたい!というお施主さんに出会うことはまだありませんが是非また作る機会があったらいいなあと思います。

夏はこんな感じ。

2023年4月28日 文:みもと


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