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文系の blender 4.0 コンポジットによるイラストレーション

イラストレーションの作画に blender を使っている方も少くないと思いますが、ここではおもに、通常のセットアップでレンダリングした画像を、コンポジターを使い、イラスト風に加工する方法を紹介します。


環境 Blender 4.0.2 , Mac Mini M1 OS 14.2



cycles


イラストレーションには、EEVEE でのレンダリングが通常だが、ここでは最初に cycles のレンダリング画像のイラスト化を試みる。

ほぼデフォルトでの cycles でのレンダリングから、ワールドプロパティの背景光をホワイト 100% とし、レンダリングプロパティ - カラーマネージメントのビュー変換を「filmic」とした。

カラーマネージメントはレンダープロパティの下部


この画像をコンポジットノードで加工する。

コンポジットノードを表示するには、上部メニュー「Compositing」を選択し、「ノードを使用」をチェックし、レンダーレイヤーとコンポジットノードの間に、各ノードを接続する。


水彩画風

Kuwahara

kuwaharaフィルターは、ブラー効果のひとつで、油彩や水彩画のような雰囲気が出る。Photoshopのフィルターなどでもよくみかけるタイプ。

kuwaharaはおそらく桑原道義 京都大学教授。計測・制御工学が専門。

Kuwahara filter
フィルター > kuwahara


Diamond Sharp Filter


線画レイヤー。アウトラインをつける方法は、グリースペンシルやフリースタイルなどがあるが、ここでは、フィルター(ダイヤモンドシャープ)で表現した。細かいラインがつきやすい。

ラインの太さや強弱などは、RGBカーブやカラーランプで調整する。

フィルター > フィルター(ダイアモンドシャープ)


合成

上の2タイプの画像を、ここでは、カラーミックス(オーバーレイ)で合成した。

カラー > ミックス  > カラーミックス(オーバーレイ)



水彩画風 2


よりイラスト風にするため、洋ナシや、コーヒーカップなどの表面の凹凸(バンプによる)を無効にし、ベースカラーを単色に設定した。また、ライトによる表面の濃淡をなくすため、粗さは 1.0 とした。

カラーミックスは「暗い方」を選択

コンポジットによる加工は、1とほぼ同様。よりイラスト風になる。

ラインを加える方法は「ダイアモンドシャープ」の他に、「ボックスシャープ」、「ソーベル(Sobel)」がある。ソーベルの場合は、カラーランプで白黒を反転させる。太めのラインが出やすい。




EEVEE


そのままEEVEEに切り替え、Toonシェーダー風のイラストに加工する。設定はほぼデフォルト。レンダープロパティのカラーマネージメントのみ、下のように変更した。よりコントラストが明瞭になる。


水丸


ライトは影を作る左側からのサンライト 1 灯。コンポジットによる合成はない。


下は洋ナシのマテリアル。「シェーダーのRGB化」ノードを経由し、カラーランプでハイライト(明色)とシャドウ(暗色)の色をそれぞれ指定している。

コンバーター > シェーダーのRGB化


ブルーナ


画像ファイルのオブジェクト以外は単色とし、それぞれベースカラーを変更、加えて、ここではグリースペンシルを使用してアウトラインをつけた。

  • メニュー「追加」 > グリースペンシル > シーンラインアート を選択

  • LineArt(ラインアート)レイヤーが作成され、モディファイアプロパティから、ライン幅等を調整。

コンポジットのアウトラインよりしっかりとしたラインが出る。ここでは、ライン幅以外は調整していないが、エッジタイプなどさまざまな調整は可能。


草間


すべてのマテリアルにボロノイテクスチャを貼った。

洋ナシのマテリアル テクスチャ > ボロノイ


ペン画


ベースカラーにハッチング画像や、波テクスチャを貼り、上の cycles の場合と同様のコンポジットによる合成を行った。
左からのサンライトで、影と、テクスチャの濃淡を作っている。


中央、洋ナシのマテリアル。画像はFreepikから。右、鳥の置物は波テクスチャを使用
コンポジター ボックスシャープによる線画と、モノトーンにした元画像をミックスした



まとめ


上からも、ごく普通のレンダリング画像から、すこし手間をかけるだけで、さまざまな雰囲気のイラストを生成できることがわかります。

絵はかけないけど、モデリングはできます、という方に最適かもしれません。作品を手軽にイラストレーション風に仕上げたい場合に便利です。

参考になりますでしょうか。




先日、中学生の姪から「外国のひとがわたしがAIで作った絵を買いたいっていってるよ、アカウント作れっていってるけどどうしたらいい?」というメールがきました。最近よくある詐欺なんですね。いまどき中学生が作ったAI画が売れるほど世の中がズーズーしいとは思えません。

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