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白ページの誘惑(前半) ~【本の編集】作るときに最初に決めること、成り行きで変わること~

最近仕事の現場で、ある章の章末を「白」とページ指定してある赤字原稿に遭遇しました。本文では白ページは指定するものではありません。本来はゲラで何も書かれていないページを確認するために用いられるものです。今日はこの話をしてみます。

白ページを早い段階から指定したくなる気持ちはなんとなく分かります。台割をつくってページごとの内容をとりあえず確定したい。これは制作過程での自然な思考の流れのように思えます。また、章扉のウラなど、実際はじめから白が確定しているページも、本のスタイルによって確かにあります。ほかにはコスト意識だったり、何も書かれていないページの存在を疑問視する(白ページ=印刷ミス?と思われてしまう)時代の風潮だったり、もありますね。もしかしたらデジタルネイティブな人ほど何も書かれていない領域に敏感に反応することが多いのかもしれません。

さて本題です。なぜ本文で白ページをあらかじめ決めてはいけないのか? この問いは、ページ物の制作過程を理解する一助になるでしょう。作業には死角ともいえる見落としがちなポイントがあります。今回、この死角ポイントの理解とその認識共有の大切さまで最後に届けられたらいいです。

なぜ白にするページを決めてはいけないのか?

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