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Apple Vision Pro / visionOS アプリ開発に必要なスキルセットとは

Apple visionOS アプリの開発に向けて必要となるスキルとは何でしょうか。現時点で visionOS が動く Apple Vision Pro は未発売ですが、Apple 公式より提供されている情報を元に整理していきます。

また、以下の記事では visionOS 開発者向けコンテンツのリンク集をまとめていますので必要に応じて参考にしてください。

visionOS アプリ開発のポイントはこれまでのiOSアプリ開発の延長線上にあるというところかと思います。既存のiOS開発者は過去の経験や資産を活かしながらも、全く新しいデバイスでこれまでにない体験を作り上げることができるようです。

最低限必要と考えられるスキル

基礎から始めて独自の AR 体験を構築するまでに必要なスキルは以下のようなものです。

  • Swift

  • SwiftUI と UIKit

  • ARKit と RealityKit

  • Xcode

また、これらとは別に Unity での開発方法があるようですが、どの範囲の開発を Unity で置き換えることができるのか筆者が把握できていないため、内容が整理でき次第、改めて記事としてまとめたいと思います。

個別のスキルについて

1. Swift

Swift は Apple が開発したオープンソースのプログラミング言語であり、iOS、macOS、watchOS、tvOS などの Apple 製品のアプリケーション開発に使用されます。モダンなプログラミングの概念を取り入れており、型推論、クロージャ、ジェネリクス、パターンマッチングなどの機能を提供しています。

また、可読性を向上させるための強力な文法も備えており、コードの記述やメンテナンスが容易になります。静的型付け言語でありながら、プログラミングの生産性を向上させるために型推論機能を利用することができます。
Apple の開発ツールである Xcode とシームレスに統合されており、豊富な開発環境を提供していることが特徴です。

2. SwiftUI と UIKit

SwiftUI は2019年に発表された Apple のネイティブ UI ツールキットで、宣言的な構文を用いたモダンな方法で UI を構築します。 SwiftUI の導入によって、iOS を含む Apple プラットフォームの開発スタイルには以下のような変化がありました。

  1. 宣言型
    従来の命令形プログラミングから宣言型プログラミングへの移行が促進されました。このアプローチでは、UIの見た目と動作がより直接的にコード上で表現され、それによりコードがより読みやすくなり、デバッグも簡単になりました。

  2. 統一性
    SwiftUIは、Appleのプラットフォーム全体(iOS, macOS, watchOS, tvOS, visionOS)で使用できるため、一度学んでおけば他のプラットフォームにも適用することが可能です。

  3. ライブプレビュー
    SwiftUIを使うと、コードの変更を即座にプレビューで確認することができます。これはレイアウトの調整を迅速に行えるため、開発サイクルを大幅に短縮します。

  4. 再利用性の高いコンポーネント設計が可能
    SwiftUI は再利用可能なビューを作るのが容易であり、複雑なUIもこれらの再利用可能なビューを組み合わせることで作り出すことができます。

  5. データのバインディングと監視
    SwiftUI はデータのバインディングと、データの変更監視を簡単に行うためのシステムを提供しています。これにより、データの変更が即時に UI に反映されます。

これらの変更は、Swift の新機能を最大限に活用し、モダンなUIを構築するためのスピーディな方法を提供しています。一方で UIKit は伝統的な UI フレームワークで、コントロール、ナビゲーション、およびコアサービスへのアクセスを提供します。

3. ARKit と RealityKit

ARKit
ARKitはApple社が提供する、Augmented Reality(AR:拡張現実)をiOSデバイス上で扱うためのフレームワークです。ARKitはデバイスのカメラとモーションセンサーを使用して、仮想オブジェクトを現実世界に組み込み、そのオブジェクトとユーザー間の相互作用を可能にします。

ARKitの主な機能

  • 置換追跡とシーン理解: デバイスの位置の追跡と現実世界の表面検出

  • ライト推定: 照明条件に合わせて仮想オブジェクトをレンダリング

  • Face Tracking: TrueDepthカメラを利用して顔の動きを追跡

  • 共有体験: マルチユーザAR体験の共有

RealityKit
RealityKit は ARKit と組み合わせて使用される、Apple 製の3Dレンダリングフレームワークです。高度な3Dシミュレーションやレンダリング、アニメーションといった機能を提供し、それらをスイフトの記述によって制御することができます。

RealityKitの主な機能

  • レンダリングとアニメーション: フォトリアリスティックなレンダリングとスムーズなアニメーション

  • 物理シミュレーション: オブジェクト間の当たり判定や重力といった物理効果

  • オーディオ: 3D空間内での位置に応じた音の出力

  • マルチユーザAR体験: オブジェクトの同期やユーザ間の対話

ARKit と RealityKit は、モバイルデバイス上でリッチな AR 体験を実現するための強力なツールセットを提供しています。

4. Xcode

Xcode は Apple 製の統合開発環境(IDE)で、開発者がmacOS、iOS、watchOS、tvOS, そして visionOS 向けにアプリケーションを作成するためのツールを提供しています。

主な特徴

  1. Source Editor
    Xcodeのソースエディタは、Swift、C、C++、Objective-Cなど多くのコーディング言語をサポートしています。シンタックスハイライト、コード補完、コードフォーマットを提供します。

  2. Interface Builder
    グラフィカルなユーザーインターフェースを直接作成し、画面遷移 (segues) を設計できるツール。直感的な操作でUIを設計でき、その成果物はストーリーボードやXIBファイルとして保存されます。

  3. SwiftUI の編集とプレビュー
    SwiftUIを使用してUIを作成している場合、リアルタイムのプレビュー機能やライブ編集機能により、コードを直接見ながら調整が可能です。

  4. Debugger と Console
    XcodeはLLDBデバッガと組み合わせて、ソースコードとリアルタイムのデータ、スタックトレースを表示します。コンソールはアプリケーションのロガーとして役立ちます。

  5. テスティングツール
    Xcodeには単体テスト、パフォーマンステスト、UIテストなどを作成、実行するためのフレームワークが組み込まれています。

  6. バージョン管理
    XcodeはGitなどのバージョン管理システムを直接サポートしています。リポジトリのクローン、ブランチ管理、コミット、プッシュなどの操作がGUI上で行えます。

これらの機能を備えつつも、Xcode は全体として統一されており、プロジェクト全体を一つのウインドウで管理します。これにより、開発者はコーディング、デバッグ、テスト、ビルド、そしてデプロイといった一連の作業を行えます。


以上、ざっくりとした内容ではありましたが、Apple Vision Pro の発売と普及を前にスキルの足回りを固めていきたいものです。

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