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中学3年「二通の手紙」【遵法精神、公徳心】の指導案はこうする!

こんにちは。
今日は
「中学3年「二通の手紙」【遵法精神、公徳心】の指導案はこうする!」
このテーマで教材解説をします。

今日の話題は「遵法精神」です。

今まで好きに行動していた子どもたち。
でも、中学生ともなると、大人の仲間入り。

自分の行動を「法律」の観点から考える必要もあります。
では、法律とどのように付き合っていけばいいのでしょうか?

法律やきまりで決められているから…
と何も考えずに従っておけばいいのでしょうか?

そう言われると、違う気がしますよね。

法律やきまりについて、いっしょに考えていきましょう!

では、解説です!

1 教材について
2 内容項目と教材
3 導入
4 発問
5 まとめ

順番に解説します。


1 教材について

C 主として集団や社会との関わりに関すること
「遵法精神、公徳心」
目標・・・・法やきまりの意義を理解し、それらを進んで守るとともに、そのよりよい在り方について考え、自他の権利を大切にし、義務を果たして、規律ある安定した社会の実現に努めること。

中学3年「二通の手紙」(光村図書)

あらすじ

市営動物園で働く佐々木さん。
入場券の販売時間を数分過ぎだだけで、お客さんを入れようとしなかった。
なんとか入れようとする山田に次の話をした。

*

数年前までこの動物園で働いていた元(げん)さん。
定年までの数十年働いていた。

定年間際に、奥さんを亡くし、楽しみをなくした元さんに、
退職後も動物園で働かないかという話があった。

その頃、毎日終了間際に小3ぐらいの女の子が、3歳くらいの弟を連れてやってきて、
入場門の柵のところから身を乗り出して園内を見ていた。

そんなある日、いつもの姉弟が現れ、「弟の誕生日だから」とお金を持ってきた。
なにか事情があって親と来れないことは察しがついた。

保護者同伴でないといけない規則は知っていたが、元さんは2人を中に入れた。
ところが閉園時間になっても2人は出てこない。
職員全員で探したところ、園内の雑木林で遊ぶ2人を発見した。

後日、2人の母親から手紙が届いた。
・大変ご迷惑をおかけしました
・お父さんが病気で倒れたこと
・お母さんの仕事が忙しいこと
・動物園に連れていくという目処の立たない約束をしていたこと
・2人はあの日の夜、とてもはしゃいで楽しそうだったこと
・一生忘れられない思い出をありがとうござました
という内容だった。

と同時に、元さんに上司から「懲戒処分」の通告の手紙も受け取った。

「子どもたちに何事もなくてよかった。
 万が一事故にでもなっていたらと思うと、考えさせられることばかりです。
 この二通の手紙のおかげです。」

元さんに失望の色はなかった。


2 内容項目と教材

とっても感動する、心を揺さぶられる教材ですね。

一つだけ注意してほしいことがあります。

「◯◯すればいい」と、方策を模索をしてはいけません。

道徳は、行為ではなく行為を生む心を考える教科です。
行為に注目して、方策を考えることは、
道徳的価値に迫る話し合いになりにくいからです。

例えば「法律を守らない人にはどうすればいいと思う?」と聞くと、

・罰金を払わせる
・逮捕する。
・厳しく取り締まる。
などの意見が出てくるでしょう。

これは、発問が悪いですね。
「どうしたらいいか。」と聞くと、
方策を答えるしかないからです。

でも、市長にでもなったつもりで罰則を考えることは、
道徳の授業ではほとんど意味がありません。

現実的ではないし、話が飛躍しやすいからです。
あくまでも子どもたちは、イチ市民です。
ほとんどの人が、法律を「守る」立場であり、
「取り締まる」立場になることはほとんどありません。

そうであるなら「法やきまりを守るために大切な心」
さらに発展して『公共のものを利用するために大切な心』をみんなで考えるほうが、
よりよい生活につながっていくことでしょう。

他にも、この教材では
「元さんはどうすればよかっただろう」という発問が考えられます。

しかしこれだと
・「入園させなければよかった」と元さんの行動を批判する意見や
・「元さんが園内をついて回ればよかった」という方法論になってしまいがちです。

方法論ではなく、
「きまりを守るとどんないいことがあるのか」を
考えていく方向にしていきましょう。

ポイントは想像力

「遵法精神」で大切なポイントはズバリ、想像力です。

・自分がこの行動をしたら、その後どうなるのか。
・みんなが同じ行動をしたら、どうなるのか。
と、まだ起こっていない未来を想像することが大切です。

元さんは、保護者同伴でないと入園できないと知りながら、
入園させて、全員で創作することになってしまいました。

毎日のように来ていた2人を見て、
ある意味では情が移ってしまったのでしょう。

・保護者がいなくても大丈夫だろう
・たった2人だし問題ないだろう
・佐々木さんも見ているし、大丈夫だろう

このように「だろう」をもとに判断を下したのです。

かといって、人として元さんの行動が間違っていたのか、
と聞かれたら、間違っているとは言い切れません。

毎日のように動物園を外から眺める2人の
動物園に対する思いはよっぽどだったのでしょう。

2人の思いを叶えてあげたいと思うのは、
人として当然でしょう。

この時の元さんの頭の中を考えてみるのも面白いですね。
・「もし問題が起きたら…」と考えなかったのか
・2人だけ入園させる、以外の方法は考えなかったのか
・過去にも同じようなことをしたのではないか

元さんの「想像力」について考えるということです。


この「想像力」は、全ての規則(ルール、きまり)に言えることです。

例えば、『ろうかは走らない』というきまりがあったとします。
このきまりを守るために、どんなことを想像すればいいのでしょうか。

・次の角から、人が飛び出してくるかもしれない。
・走ったら転ぶかもしれない。
・教室から勢いよく出てきた人と避けきれずにぶつかってしまうかもしれない。

こういったことを想像して、きまりを守ろうという意識になるのです。

「遵法精神」は想像力
このことにまとめが収束していくといいですね。

3 導入

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