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【こんな映画でした】688.[カティンの森]

2020年 9月24日 (木曜) [カティンの森](2007年 KATYN ポーランド 122分)

 アンジェイ・ワイダ監督作品。予想はしていたが、ずいぶん過酷な内容である。そしてここでの直接の加害者であるナチスドイツとソ連とは、狂っているとしか言いようがない。国家というのは、狂ってしまうものだ、ということだ。

 妻アンナ役はマヤ・オスタシェフスカ(撮影当時34歳)で29歳から33歳くらいまでを演じている。夫であり軍の大尉アンジェイ役は、アルトゥル・ジミイェフスキ(撮影当時40歳)。

 音楽は、私はクラシック音楽の作曲家としてのみ知っていたクシシュトフ・ペンデレツキ。もっともラストのエンドロールは無音であった。音楽の付けようがないほどの内容なのだ。

 作中、驚かされたことの一つは、このカティンでの捕虜虐殺事件の首謀者のこと。最終的にプーチン大統領が認めているので、ソ連側のやったことと今ではなっているが、映画の中ではソ連側のプロパガンダとして、ナチスドイツがやったことだとする報道記録フィルムが作られていたということ。そしてそれは現に解放後(?)のポーランドの街角で映写されているのだ。

 元大将夫人がそれは嘘だ、と指弾する場面が描かれてはいる。しかし、ソ連の支配下にあるポーランドでは、その発言は許容されるものではなかったということ。もはや自由なポーランドはなくなった、そしてこれからもない、と高校の校長に言わせている。

 あと定かではないがネット上の記載によると、ロンドンに亡命していたポーランド亡命政府の画策により、彼らポーランド将校たちが(いずれ邪魔になるとして)殺戮されたのではないか、とある。あり得ることだろう。人間のやることだ。一筋縄ではいかない。とまれ残酷の一語に尽きる。

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